何が悲しくてこんなに気温の低い時期にエポキシで積層作業しないといけないのか?毎年この疑問を抱いて冬に製作は行なわれる。
気温が低いとエポキシの流動性が損なわれて硬化剤との攪拌も難しく何よりザイロンに染込んでいかない。しかもスチレンボードはもともと接着性が悪いというわけであえなく失敗。何か対策を打たないと前に進めないことがわかった。
正月休を挟んで考えた結果、対策としてコンクリートの床に断熱材を置いてから薄いベニヤ板を上におきその上に2重にしたホットカーペット、その上に厚さ0.8mmtのステンレス版を置いてその上で材料を暖めながら作業を行なう事にした。
エポキシは午前中にスチーム暖房の直接当るところで暖め、さらにはお湯の中に漬けて温度の低下を防ぐ。そこまでしないといけない理由は我々の作業場は基本的に外!滋賀県の冬は厳しく−2℃の環境下、雪が降っている中でも作業は進めないと間に合わないのである。
考えついた工法は非常に上手くいき次々とパーツは出来上がった。我々のエポキシ積層は単なるハンドレイアップである。バキュームで圧力をかけないこの方法で一番大切なのは“どうやって面圧をかけていくか?”ということだ。
単純平面パーツであれば、上からバッテリーや鉛板などの重りをかけておさえていくだけでよいが組み上げていく際にはかなりややこしい固定をする必要がある。当然綺麗な状態にはほど遠い仕上げしか出来ないが、10年やってきてシャーシ関係が壊れたことは無いので実質上問題は無い。
しかしながら従来法の発泡スチロール原寸大削り出しに外側一層のみザイロン-エポキシ積層という方法で出来たものはサーキットでのレースには持つが公道では明らかに強度不足であった。
冬の気温の低い時期に行う積層はエポキシ粘度が高いためにザイロン及びスチレンボードになじみ難く強度が落ちやすいので慎重に作業は行われた。そんなパーツ作りは4月までたっぷりと時間がかかった。
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