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line1 line2  2006 HONDA Dream Cup in 鈴鹿サーキット line3
   
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  ここ数年、メンバーの老齢化で弱体化の一途をたどってきたTeamSunlakeだが、今年の体制はいつもと違う!
鈴鹿のピットメンバーはドライバーを入れて8人しか登録できない。
今年はこの8人の中の4人までもが昨年の鈴鹿を見てメンバーになった新人君たち。
つまり彼らのデビュー戦なのである。
   
icon 車検
 
 

AM7:00 ピットに到着するとすでに大方のチームは到着していた。
天候は雲一つ無い快晴!
車を下ろすと同時に 車検の順番待ちに車を並べる。グリッドは当然1番。
しかし 新人ドライバーの平尾は未だ要領をつかんでおらずドライバーの順番待ちは2番となってしまった。

車検

今年の車のテーマは「信頼性向上」ということで車検は心配無いはず・・・
車検開始と同時に ドライバーの重量測定と車体寸法検査がはじまってしまい、どちらもフロントローの我々はテンヤワンヤになってしまった。
まあ 車検自体はなんの問題も無く極めてスムースにパス。
ブレーキテストなんかは「この距離で止まるとは?スピード足りなかった?」と思わせるほど短い制動距離を誇った。

ブレーキテスト

ともあれ 今年もダントツの1番で9時35分に車検合格した。
車検後は車体のディメンジョンチェック、特に3輪アライメントをとことんやって作業終了!
家族連れのメンバーはプールへ直行。
前田はオーストラリアのトップチーム”オーロラ”代表のDフューチャックと”ソーラーカー考古学”についてピットで対談。
思い思いの午後を過ごした。

ディメンションチェック

 
icon フリー走行
 
  今年は平澤に替わり新人ドライバーの平尾がステアリングを握る。
6月の試走会が雨だったので、新人平尾がまともにスピード出してサーキットを走るのは これが初めてだ。
いつもはファンキーな平尾の表情もNEOに乗り込む頃には緊張が隠せない。
フリー走行開始、PITレーンのシグナルが青に変わる。
・・・?     NEOが動かない。
ピットレーンは大渋滞。
キャノピー締めるときに誰かがブレイカーを落としてしまったらしい。

ピットレーンで渋滞

ともあれ平尾はフリー走行時間30分をフルに使い感覚をなじませていった。

いままでのsunlake号はドライバーに対して猛烈にスパルタンな車であった。
むちゃくちゃに重くて超クイックなステアリング。
効かせるにはコツの要るブレーキシステムはその代表的な仕様だった。

今年、ドライバーに新人を起用するに当たり、この2点の改良を重点的に行った。
ステアリングはレシオを落としラック&ピニオンでフリクションを飛躍的に低減し
劇的に操作しやすくなった。
ブレーキはオーバースペックとも思える2ポットに変更、マシターシリンダーの大型化とペダルを常識的な形状に変更。
その結果、これも操作しやすく超強力な制動力を得ることが出来た。
さらに車両の前後重量バランスを適正化して、ただでさえ速いコーナリング性能をさらに上げることに成功。
コーナリングのラインどりの自由度、ドライバーの精神的な余裕を確保出来た。
ようやく 誰もが運転できる車になったのである。

 
icon 予選
 
  ドライバーはベテラン高橋を起用。
タイムアタックは1回のみ。
4:39で10番グリッドを確保。
低速仕様のモーターからすればなかなかのタイムである。

タイムアタック

タイムアタックのあとはペースを落として本番用データをとる。
データは悪くは無いが期待したほど良くも無いという感じだ。
これで、強力なライバルに太刀打ちできるのか?
エネマネの平澤は不安だった。

予選終了後に本番用のセットアップを行った。
アライメント調整において何度やっても、なかなか合ってくれない。
どうしてだ?原因は新設したステアリングシステムのラック&ピニオンボックスの取りつけ部がグラついている。
ボックスをボルト留めしてあるCFRPシャーシが破壊されている。
取り付け部は単なる平面で取り付けのための補強など行ってないので強度が足りなかったらしい。
これではトーインが安定せずロスが大きい。最悪操舵不能に陥る可能性もある。

普通だったらかなり焦る内容のトラブルだけど「トラブル無しでは面白くない!」と公言するsunlakeメンバー。
対応策を考える速さと決断は並じゃない。
「前輪チェッカーを使おう。」
前輪チェッカーとは前輪平行度調整の際に定規代わりに使っている1m長のアルミアングルである。
そのアングルを補強材に使うことで最悪の事態は起こりえないように対処した。
出来れば2本補強したかったのだが時間的余裕がないので1本のみとした。
迫る時間の中、竹原と新人の東が的確に補修を進めていく。
出走は可能となったがそのドタバタで本番用バッテリーの攻めた充電を行うことが出来なかった。

補強

 
icon 第1ヒート
 
  スターティングドライバーは新人平尾。
フリー走行のときよりもかなり緊張している様子。
日頃ファンキーで饒舌な彼が、まるで蝋人形と化している。
暑さ対策でグリッドへの押し出しは12時45分と少々遅め。
平尾には平澤と高橋が走り方などを繰り返しレクチャーしていた。
内容はかなり濃密なものでレクチャーどおりに走りさえすればPIT指示通りにペースをそろえることが出来るであろう。
そのノウハウもTeamSunlakeの売りなのである。
ただし、ノウハウを忠実に実行するにはドライバーのセンスが問題。
フリー走行では平尾のセンスは見切れていなかった。
しかし、第1ヒートでメンバーは平尾の天才的なセンスに驚愕することとなる。

ドライバー平尾

スタート前

13:00ジャストに 第一ヒートスタート
平尾のスタートはずいぶんと遠慮がちで、後ろに大渋滞を引き起こしている。
スタート前 監督は平尾に「とりあえず6分くらいで入ろう。その後徐々にペースを上げよう」と指示をしていたのだが
2LAP目にはいきなり6分フラットでLAPを揃えその後のピット指示に対していきなり±2秒のラップコントロールを見せた。
ソーラーカーレースにとってドライバーは重要なパーツである。
ドライバーの良し悪しで消費が恐ろしく違ってくる。
当初は平尾に1時間のみドライブさせて残りをベテラン高橋に任せることを考えていたが、
平尾の正確なLAPコントロールと新人としては驚異的に良好な消費電力を見て監督は平尾に長くドライブさせることを決断した。

一時間が経とうか?という頃、プラットホームの竹原が首をかしげた。
ブレーキランプが点灯したままになっているという。
ブレーキランプは旧式のLED、消費電力が大きく、これが点きっぱなしだと補機用バッテリーがあがってしまう。
最近のスピードレースで肝心なときにブレーキランプが点灯しないのはまずい。
かといって ブレーキ部のセンサーを弄るためにはピットインさせてカウルをあけなければならず大幅なタイムロスとなる。
ドライバー交代も兼ねないといけないので平尾を予定より早く交代させてしまうことになる。

だめもとでのPITからの指示は「ブレーキペダル根本にあるランプのスイッチ周りを足でグリグリしろ」というものだった。
平尾は云われたとおりに「グリグリ」。するとなんと正常動作に!
やっぱ、あいつは大物だとピットでは絶賛するが、このグリグリ効果は残念ながら2周しか持続しなかった。
グリグリが効いたことから、トラブルの原因は大方予想が付いたので、結局ドライバー交代時に、アッパーカウルを空けて応急修理することにした。

ピットイン前にピットクルーで入念なシュミレーションを行った。
14:35 ドライバー交代同時に素早くカウルを持ち上げて、ブレーキペダルに隣接するランプのオンオフスイッチのレバーにガムテープ巻き付けて応急修理完了。

ドライバー交代

通常のドライバー交代に必要な時間が1分だが、カウルをあけたために所要時間3分と少し。
約2分強のロスタイム。
平尾に抑え目のペースを指示していたため、高橋にはロスタイムの分さらにハイペースで走らせなければならない。
エネマネ的にはこのロスは大きくその後の判断を狂わせることになった。

スタート前の第一ヒートの目標LAPは42周 ロスタイムが無ければ無理無く周回できるはずだった。
ドライバー交代後は目標LAPに向けて高橋にLAPタイムの指示を出す。
ロスタイムの影響で入力と出力のバランスが悪い。
ただでさえ割れた太陽電池で入力が少ないので僅かなバランスの崩れは予定していたバッテリー残量まで残せないことをパソコンのシュミレーション画面に残し始めた。

41LAPペースに落とすか?否か? 
ライバルたちは43〜45LAPペース。
ミツバ賞圏内に残るには最低でも42LAPは必要と思われた。
41LAPペースに指示するにはかなりの勇気が必要だった。
「落とそう」残り45分でようやく決断。
「43LAPペースのライバル達の数チームはかなり無理をしている」
そう読んでの決断であったが、かなりの電力ロスを招いてしまった。

第1ヒートはクラス8位 
目標のミツバ賞入賞まで2チームに逆転しないといけない。
同クラスの5〜7位は43LAP 
通常で考えると2LAP差はきつい。
でも、最後までわからないのがレース。
逆転するほうがされるほうより面白いじゃないか。

ピットの様子

17:50頃 車両保管解除、18:30からのバッテリー保管までの間、僅かな入力を求めて懸命の充電タイム。

充電

   
   
   
整備
 
  充電後はいろいろ不具合対策を行った。
中でも問題はラック&ピニオンボックスのぐらつき対策。
1本のアングルでは不十分だったようで、トーインは大きく狂っていた。
2本目のアングル補強を行うが難航し、作業が終了したのは21時半くらい。
楽しみにしていた花火はPITのモニターを作業の合間に見るくらいしか出来なかった。

不具合対策

 
充電時間
 
 

天候はむちゃくちゃなピーカンでまさに充電日和。
NEOに使ってる太陽電池はドリーム仕様のSunlake号から移植したものである。
暦年の経年劣化に加え、ギリシャ遠征時に割れまくったので発電効率が著しく落ちている。
バイパスダイオードが付いているので未だそれなりに発電しているが、それでもクラス4連覇時代に比べると軽く20%以上発電量は少ない。

太陽で走るソーラーカーだけど 晴れれば晴れるほどライバルたちと差が開くので、できれば曇って欲しかった。
少しでもハンデ減らすために絶えず氷水でパネルを冷やし、MPPTをウチワで仰いだりして必死に充電。充電にも体力は必要なのだ。

PPT仰ぎ

甲羅干し

 
第2ヒート
 
  12:50 昨日に機続き遅めにグリッドに着く。
平尾の表情は昨日とは打って変わって余裕が見られた。

余裕の平尾

13:00 第2ヒート開始。 平尾のスタートは?
竹原、前田に言わせると
「まだまだ遠慮している。ガーンといかな、ガーンと」ということだ。
まあ来年はガーンとやってくれるだろう。

第2ヒートの目標LAPは43LAP
平尾も慣れてきたので第1ヒートよりも速いLAPを指示。
慣れて来たせいか?第1ヒートよりはLAP精度はラフになったが消費電力は安定を増してきた。
上手い、2、3年もすれば並み居るベテランドライバーを越えるだろう。

14:38 ドライバー交代。
もう少し平尾を乗せておこうか?迷ったが、バッテリーの状態を正確に把握したいのでベテラン高橋にチェンジ。
所要時間は1分20秒。ドライバーのシートベルト処理の引継ぎをしてなかったので手間取った。

ドライバー交代

ドリームカップが始まって以来 チャレンジクラスがここまでレベルの高い激戦を見せたことは無い。
首位争いは、柏会の武蔵と堺市立工業高等学校科学部のSCIENCE706。
2003年以来チャレンジクラスの2強時代をきづいてきて他のついづいを許さない。
この2台が落ちてくることはまず無い。

3位争いは、紀北工業高等学校生産技術部の紀北SOLARと、長野工業高等学校 BIGWAVE SONIC。
紀北は昨年のエンジョイクラスで3連覇を達成。
業界では今最もLAP毎の消費電流が少ない車と評判の車である。
長野工業高校はミツバ必殺の可変磁界式モーター搭載。
この2台も手が届かない。

となると ミツバ賞対象の6位までに入るには、
熾烈な5位争いをしているキョンシー、バカボンズ、マックススピード、KIT(金沢工業大学)のうちの3台に勝つ必要がある。
第1ヒートではKIT(金沢工業大学)は
Sunlakeと同じ41LAP
キョンシー、バカボンズ、マックススピードは
2LAP上の43LAP周回している。
Sunlakeを含んだ5位争い集団のペースは
おおよそ43LAPを狙えそうな42LAPペースを維持。
Sunlakeにとって42LAPペースは楽勝だけど43LAPペースはギャンブル的な雰囲気。
かといってライバルたちは落ちてくる雰囲気ではない。
どうするか?ここからがエネマネと戦略のたてどころである。

ピットの様子

監督平澤と参謀の恵島、竜田は必死に考えた。
KITのペースはsunlakeより遅い、しかも第1ヒートでのディファレンス差があるので勝てる。
とすると第1ヒートで43LAP周回したキョンシー、バカボンズ、マックススピードが力尽きるのを待つしかない。
この3チームも最低ミツバ賞は欲しいはずなので、意地の張り合いになるはず。
冷静に考えると3チームともに昨日の43LAPは明らかに無理してると考えた。

そこでだ・・・
 昨日無理してるとすると第2ヒートの今のペースは明らかにオーバーペース。
つまり力尽きて止まるギャンブルペースだ。
平均ペースでそろえても 実は42LAPもきついはず。
しかしSunlakeより2Lap有利。

Sunlakeが逆転するためには3チームのうち少なくとも2チームにはオーバーペース維持で力尽きてもらう必要がある。
とするとSunlakeは43Lapを狙わずに確実に42LAP周回させて ライバルが落ちてくるのを待つしかない。
かといって 速めにペースを落として逆転される可能性が無くなるとペースを落とされる危険性がある。
当然、前後の順位のペースはLAPタイムモニターでチェックしてるはずだ。
ということで、LAPタイムは43LAPの可能性がギリギリ残る42LAPペースに固定。
そのままでは少し電力がきついのでどこかでペースを落とさないといけないのだが早めに落とすと効果が薄いのでギリギリまで待った。

残り時間が1時間を切った。
まだライバル達のペースは落ちない。
「彼らは走りきってしまうのか?」
Sunlakeのピットには倦怠ムードが漂い始めていた。

残り40分「未だか?」にらみ続けるラップタイムモニター
「絶対確実に走りきらせよう」 
ここで42LAPをキープするために高橋に6分フラットまでタイムを落とすように指示。
ほぼ同時に?バカボンズのラップが7分台に落ちた。ついに来た。
意図的に落とすにしても落としすぎ 明らかにバッテリー切れだ。
あと1台・・・

残り20分キョンシーのタイムが8分台に落ちた。気が付けばマックススピードもペースを落としている。
「やったぜ 上手くいけば3台ごぼう抜きだ!」逆転のチャンスとピット内は沸いた。

が・・・ドライバー高橋からは信じられない連絡が入った。
MPPTが動作せず太陽光入力が零になったという。
長いレース経験の中でトラッカーのトラブルは初体験だ。
よりによってこの一番肝心なときに・・・

余裕でいけるはずが一瞬にしてギャンブルに・・ドラマチック こうでなきゃ面白くない!
残り25分前から急激に入力が減り、残り20分時点で完全に太陽電池からの入力が絶たれた。
終了直前の残り少ないバッテリーが出力一方向で急激に消耗が加速されてしまう。
「なんとか走りきらせよう」電圧と積算電力計の値を眺めながら平澤は高橋に6分半にペースを落とすように指示。
それでも、入力のまったく無い状態では電力的につらくあとは高橋のドライビングに全てを託すことになった。

残り1分前に最終ラップに突入。
「パワーモード全開!とにかく走りきってくれ!」
最終LAPでは高橋から逐一報告が入る「8%何とか上りきりました。でもヘロヘロです」
「ヘアピンの坂上りました。」「130R回りました。なぜかMPPT復活!これで行けそうです」
最終ラップタイムは7分6秒。
チェッカーを受けた高橋はホームストレートのプラットホーム寄りを最後のエネルギーを絞り出して快走。
メンバー全員の祝福を受けた。
しかし、チェッカー後のS字の登り坂は止まってしまい
オフィシャルに手押しして貰うというギリギリのエネルギーマネージメントであった。

第二ヒート順位はチャレンジクラス5位、総合10位まで浮上。
8時間トータルでは第1ヒートの2LAP差を逆転しクラス6位、総合12位。
昨年より順位は下がったが、トータル83周はチャレンジ自己新記録。
目標にしていたミツバ賞を手にすることが出来た。

なんとか走りきる

トータル83周で完走

今回新設のミツバ賞も表彰式で表彰してくれるらしくアナウンス呼び出しがあった。
表彰台に登った新人メンバー3人は本当に嬉しそうだった。
シャンパンファイトはさせてあげれなかったけど旧メンバーにはなんともいえない喜びに満たされた。

ミツバ賞を受賞

クラス6位は必ずしも満足できる結果ではない。
しかし、今回ほどチームワークを感じた年は無かった。
新旧メンバー入り混じって、まさにチーム一丸となって勝ち取った6位入賞。
このミツバ賞の目玉は無料でモーターチューンをやってもらえること。
来年さらに戦闘力をアップして今度はシャンペンファイトを狙おう。

 
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