12:50 昨日に機続き遅めにグリッドに着く。
平尾の表情は昨日とは打って変わって余裕が見られた。
13:00 第2ヒート開始。 平尾のスタートは?
竹原、前田に言わせると
「まだまだ遠慮している。ガーンといかな、ガーンと」ということだ。
まあ来年はガーンとやってくれるだろう。
第2ヒートの目標LAPは43LAP
平尾も慣れてきたので第1ヒートよりも速いLAPを指示。
慣れて来たせいか?第1ヒートよりはLAP精度はラフになったが消費電力は安定を増してきた。
上手い、2、3年もすれば並み居るベテランドライバーを越えるだろう。
14:38 ドライバー交代。
もう少し平尾を乗せておこうか?迷ったが、バッテリーの状態を正確に把握したいのでベテラン高橋にチェンジ。
所要時間は1分20秒。ドライバーのシートベルト処理の引継ぎをしてなかったので手間取った。
ドリームカップが始まって以来 チャレンジクラスがここまでレベルの高い激戦を見せたことは無い。
首位争いは、柏会の武蔵と堺市立工業高等学校科学部のSCIENCE706。
2003年以来チャレンジクラスの2強時代をきづいてきて他のついづいを許さない。
この2台が落ちてくることはまず無い。
3位争いは、紀北工業高等学校生産技術部の紀北SOLARと、長野工業高等学校 BIGWAVE SONIC。
紀北は昨年のエンジョイクラスで3連覇を達成。
業界では今最もLAP毎の消費電流が少ない車と評判の車である。
長野工業高校はミツバ必殺の可変磁界式モーター搭載。
この2台も手が届かない。
となると ミツバ賞対象の6位までに入るには、
熾烈な5位争いをしているキョンシー、バカボンズ、マックススピード、KIT(金沢工業大学)のうちの3台に勝つ必要がある。
第1ヒートではKIT(金沢工業大学)は
Sunlakeと同じ41LAP
キョンシー、バカボンズ、マックススピードは
2LAP上の43LAP周回している。
Sunlakeを含んだ5位争い集団のペースは
おおよそ43LAPを狙えそうな42LAPペースを維持。
Sunlakeにとって42LAPペースは楽勝だけど43LAPペースはギャンブル的な雰囲気。
かといってライバルたちは落ちてくる雰囲気ではない。
どうするか?ここからがエネマネと戦略のたてどころである。
監督平澤と参謀の恵島、竜田は必死に考えた。
KITのペースはsunlakeより遅い、しかも第1ヒートでのディファレンス差があるので勝てる。
とすると第1ヒートで43LAP周回したキョンシー、バカボンズ、マックススピードが力尽きるのを待つしかない。
この3チームも最低ミツバ賞は欲しいはずなので、意地の張り合いになるはず。
冷静に考えると3チームともに昨日の43LAPは明らかに無理してると考えた。
そこでだ・・・
昨日無理してるとすると第2ヒートの今のペースは明らかにオーバーペース。
つまり力尽きて止まるギャンブルペースだ。
平均ペースでそろえても 実は42LAPもきついはず。
しかしSunlakeより2Lap有利。
Sunlakeが逆転するためには3チームのうち少なくとも2チームにはオーバーペース維持で力尽きてもらう必要がある。
とするとSunlakeは43Lapを狙わずに確実に42LAP周回させて ライバルが落ちてくるのを待つしかない。
かといって 速めにペースを落として逆転される可能性が無くなるとペースを落とされる危険性がある。
当然、前後の順位のペースはLAPタイムモニターでチェックしてるはずだ。
ということで、LAPタイムは43LAPの可能性がギリギリ残る42LAPペースに固定。
そのままでは少し電力がきついのでどこかでペースを落とさないといけないのだが早めに落とすと効果が薄いのでギリギリまで待った。
残り時間が1時間を切った。
まだライバル達のペースは落ちない。
「彼らは走りきってしまうのか?」
Sunlakeのピットには倦怠ムードが漂い始めていた。
残り40分「未だか?」にらみ続けるラップタイムモニター
「絶対確実に走りきらせよう」
ここで42LAPをキープするために高橋に6分フラットまでタイムを落とすように指示。
ほぼ同時に?バカボンズのラップが7分台に落ちた。ついに来た。
意図的に落とすにしても落としすぎ 明らかにバッテリー切れだ。
あと1台・・・
残り20分キョンシーのタイムが8分台に落ちた。気が付けばマックススピードもペースを落としている。
「やったぜ 上手くいけば3台ごぼう抜きだ!」逆転のチャンスとピット内は沸いた。
が・・・ドライバー高橋からは信じられない連絡が入った。
MPPTが動作せず太陽光入力が零になったという。
長いレース経験の中でトラッカーのトラブルは初体験だ。
よりによってこの一番肝心なときに・・・
余裕でいけるはずが一瞬にしてギャンブルに・・ドラマチック こうでなきゃ面白くない!
残り25分前から急激に入力が減り、残り20分時点で完全に太陽電池からの入力が絶たれた。
終了直前の残り少ないバッテリーが出力一方向で急激に消耗が加速されてしまう。
「なんとか走りきらせよう」電圧と積算電力計の値を眺めながら平澤は高橋に6分半にペースを落とすように指示。
それでも、入力のまったく無い状態では電力的につらくあとは高橋のドライビングに全てを託すことになった。
残り1分前に最終ラップに突入。
「パワーモード全開!とにかく走りきってくれ!」
最終LAPでは高橋から逐一報告が入る「8%何とか上りきりました。でもヘロヘロです」
「ヘアピンの坂上りました。」「130R回りました。なぜかMPPT復活!これで行けそうです」
最終ラップタイムは7分6秒。
チェッカーを受けた高橋はホームストレートのプラットホーム寄りを最後のエネルギーを絞り出して快走。
メンバー全員の祝福を受けた。
しかし、チェッカー後のS字の登り坂は止まってしまい
オフィシャルに手押しして貰うというギリギリのエネルギーマネージメントであった。
第二ヒート順位はチャレンジクラス5位、総合10位まで浮上。
8時間トータルでは第1ヒートの2LAP差を逆転しクラス6位、総合12位。
昨年より順位は下がったが、トータル83周はチャレンジ自己新記録。
目標にしていたミツバ賞を手にすることが出来た。
今回新設のミツバ賞も表彰式で表彰してくれるらしくアナウンス呼び出しがあった。
表彰台に登った新人メンバー3人は本当に嬉しそうだった。
シャンパンファイトはさせてあげれなかったけど旧メンバーにはなんともいえない喜びに満たされた。
クラス6位は必ずしも満足できる結果ではない。
しかし、今回ほどチームワークを感じた年は無かった。
新旧メンバー入り混じって、まさにチーム一丸となって勝ち取った6位入賞。
このミツバ賞の目玉は無料でモーターチューンをやってもらえること。
来年さらに戦闘力をアップして今度はシャンペンファイトを狙おう。
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