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三文楽士の休日

SOLAR BYKE RACE IN HAMAMATSU 2014

2014浜松巡礼編

2014 PILGRIMAGE TO HAMAMATSU


ペロポネソスの既視感  PELOPONNESOS DEJA VU


第零章  ソーラーバイクレース浜松

Section 0: The Brief History of "Solar Bike Race in HAMAMATSU"

ソーラーバイクレース浜松

 「ソーラーバイクレース浜松」は、浜松市にあるオートレース場を使って行われる電動バイクの競技会である。主催者から貸与される定格300w分の定置ソーラーパネルがエネルギー源で、太陽光にて発電された電力でバッテリーを充電し、そのバッテリーを使ってバイクを走らせ競争を行う。主競技の6時間耐久レースに加え、短距離のスピード競技、フリースタイル競技の3種目の総合得点で争われる。

 実行委員長の山脇一氏=「HAMA零」主宰者は、日本で最初に太陽電池をエコランカーに搭載し、1987年の第1回豪州縦断レース:WSC1987に個人で出場した世界的に有名なソーラーオタクである。


第1回は何年?

 今年は第10回記念、あるいは10周年などとアナウンスされているのだが、実は「第1回」が何年だったのかがよく解らない。

 最初の「第1回」は2002年。浜松市の「第17回労福協まつり」と浜松オートレース場第1回ファン感謝祭が弊催された際に、市民参加型イベントとして開催されたエコバイク(電動バイク)レースが開催された。
 競技は、ソーラー電力により充電された小型電動バイク8台を用い、二人一組となって一周毎にライダーが交代するという形式での追い抜きレース。参加者は当日公募した一般客、競技に用いられた電動バイクは地元の城北工業高等学校の卒業生で組織される「城北会」の手によりハンドメイドされた特製バイクであった。

 2回目の「第1回」は2004年。第19回 労福協まつり/第3回ファン感謝デーである。この年、一般参加者向けのレースに加え、レーシング用車両による20分耐久手作りEV&ソーラーバイクレースが開催され、大阪産業大学交通機械工学科の応用電気(岡本)研究室の「岡っぴき5号改」が、周回数28周の成績で優勝した。今年が10周年なのであれば、この回が第1回になる。

 今回が「第10回記念」ということであれば2005年が「第1回」であるはずだ。この年は第20回の労福協まつり/第4回ファン感謝デー。耐久レースに加えて、ポスト間を往復するスピードレースが新に種目に加えられ、充電スタンドの様式が今日のタイプに変更されている。常連チームである長野県池田高等学校やMAXSPEEDが出場した記録が残されている。

 労福協まつり/ファン感謝デーの一部として開催されていたエコバイクレースが、独立したレースイベントとして開催される事になったのが2006年である。僕たちが「第一回目だから」と勧誘されて初参加したのはこの回からだ。イベント名は「エコノ・ソーラーバイク・レース」。おまけにイマドキ、ホームページでの発信は無いのか?と問い合わせたところ、公認頁の運営係にされてしまった(2006、2007年)。

競技形式と特徴

 競技は浜松オートレース場を借り切って行われ、以下の三種目が行われる。
(1)6時間耐久レース
 6時間を4ステージに分け、定置太陽電池にて充電したバッテリー複数組を取り替えながらオートレース場の周回コースを走り、総走行距離を競う。コースにはスピードを抑えるためパイロンによるスラロームが設置されている。

(2)スプリントレース
 短距離のスピード競技。当初は5周のタイムレース、2014年からは約半周の勝ち抜き戦に改訂。ルマン式スタート採用が伝統。

(3)フリースタイル競技
 制限時間1分、50mのコース内でパフォーマンスを披露し、複数の審査員が独断で採点し、総得点と時間誤差を競う。コースを汚さなければ原則何をしても自由。
 以上3種目の種目ごとの順位と、全ポイント合計による総合順位が与えられ、さらには夜間の部の華やかさを競うイルミネーション賞や、ベストドライバー賞(男女)、デザイン賞などの特別賞が別途設けられている。

 配点的に耐久レースが重視されてはいるものの、フリースタイル競技の比重も重く、単に車両性能だけでは上位入賞できないところに影の主催者「山脇氏」のイベント思想を見ることができる。
 ソーラーカーとは異なり、中古のバイクや自転車の改造車を使って低コストで参加できるところが魅力で、中学校、高等学校チームの参加も少なくない。本来は中高生出入り禁止のギャンブル場での開催になるため、環境省、静岡県、静岡県教育委員会、浜松市、太陽エネルギー学会の後援を取り付けるなど、主催者側も最大限に気を使っている。

SUNLAKE参加記録

2006年
  主催:山脇氏からの勧誘を頂き、TEAM SUNLAKE 新人研修のつもりで参加。バイクは Team Otus(太田鉄工所さん)からお借りした小型電動バイク「Hana号」と新作された「Fujio号」である。Fujio号のモーター駆動電流が予想より大きく、HANA号と同仕様の制御回路を使ってIGBTを何台も破壊してしまい、ついには在庫が無くなって最終的には直結リレー駆動を選択。さらに大会直前にバッテリー逆接続により動力計配線の被覆を全て溶かしてしまうという大トラブル。しかしフリースタイルではバイク+トランペットがウケて2位と3位を獲得した。

  

2006年 左:Fujio号、   右:Hana号

2007年
  前年トラブルに懲りたか?新人達はほぼ脱落でオジサンチームに復帰。大容量のIGBTを入手できたので、Fujio号のリレー駆動を電子制御に戻し、さらにメカ系もギア比を見直して参加した。しかし、バッテリーの総容量が規定値を大幅オーバーしており、マイナス80kmのハンディを抱えてスタート。2匹目の土壌を狙ったフリースタイルは撃沈で結果残せず。



2007年 制御系改良(直結をリレーにてON/OFF」→ IGBT駆動)+ギア比適正化

2008年
  前年の結果より、車体重量の大幅軽減が必要なことを悟り、Liイオン電池に手を出した。2004年のギリシャ遠征でパンクした電池の残りである。これにて30kgの軽量化が図れるのである。しかし、実際に走ってみると何故か全くスピードが出ず、小型バイクのHANA号の方が性能が上。ローラースケーティングとのコラボを披露したフリースタイルは、某監督が転倒して手をすりむくほどの熱演だったが全くウケず。



2008年 Liイオン電池(Sunlake Dreemの遺品)使用

2009年
  前年にレースを見に来た山梨某科学大博士氏がY社製の中古電動バイクを入手、これで浜松に出場したいというので、お手伝いすることになった。チーム名は「JunLake」、メンバーは山梨、横浜、東京、滋賀、大阪、浜松と全国区である。中古電動バイクは完動品との情報であったが、いざレース場で試走してみると付属のLiイオン電池がほとんど死んでいて5分足らずで電欠、さらに太陽電池からの直結では安全装置が働いて充電できないことが発覚。レース参加以前の問題であったが、放っておく訳にもいかず、あり合わせの装備を寄せ集めて充電系を組み上げて、断続的ながらも、なんとか最後まで走り続けた。フリースタイルには「20世紀少年」を取り上げたが、審査員の年齢層が高く、全く理解されなかった。



電動バイク、未改造

2010年
 大阪メンバーがネットで出力250wattの中国製ポケットバイクを調達してきた。¥8000である。こいつをソーラー仕様に改造して走ろうという魂胆。「JUNLAKE関西ファクトリー」の立ち上げである。車載用パネルはSUNLAKEの旧パネルを使えばよい。発泡スチレンボードの両面にザイロンクロスをラミネートし、パネルボードを作製。ついでなので関東組(山梨+横浜)のY社製バイク用も作ってしまった。関東組のバイクは、パネル装着と昨年散々だった純正のLiイオン電池を廃棄して鉛蓄電池駆動に変更した以外は未改造である。



ポケットバイク+ソーラーパネル

 さて、大阪組のポケバイ改造車、実に乗りにくかったのだが、小さなDCブラシモーターでも、工夫すれば耐久レースでそこそこ走れる、という示唆に富む結果をもたらしてくれた。フリースタイルは、脚本・演出家「岡田」作による「ソーラーバイクのクリスマスプレゼント」。過去結果の解析から見出した鉄板の方向性で3位に食い込む健闘であった。



フリースタイル3位入賞


2011年
 浜松市の市政100周年の記念行事として開催されたが、オートレース場改修の影響で開催時期が鈴鹿に重なり、無念の欠場。

2012年

 関東組は引き続きパネル付きY社製バイク。SUNLAKEからソーラーカー用に購入したものの、結局使えなかった Power Sonic社の新古バッテリーを進呈。
 大阪組はメン君が愛用していた自転車を電動仕様に改造しての参加になった。ある意味、初のオリジナル車両とも云える。モーターは高橋がネット通販で見つけた450wattのDCブラシモーターである。崩壊寸前の自転車フレームに無理矢理モーターを取り付けた車体だったため、走行中の車体の歪みで、しょっちゅうチェーンが外れるという情けない出来映えだったが、車体軽量化の効果は絶大で、想像以上に良い効率で走ってくれた。駆動系がこれで行けるとなると、次は車体そのもののデザインが課題になってくる。どう贔屓目に見ても、格好良くないのだ。



自転車フレームを使ったオリジナル車両

 フリースタイルは、脚本家「岡田」による、大会史上最高傑作と思える秀逸な作品と、過去、最も手間暇かけた衣装による大作であったが、人手不足による時間管理の甘さゆえ結果は残せなかった。関東組に主演男優として参加したメン君が3位入賞に大きく貢献している。



フリースタイル衣装

2013年
  大阪組の大半が仕事で参加できず欠場。関東組はパネル付きY社製バイクにて参加するも、場外トラブルでリタイヤした模様。

2014年

  こうして迎えた2014年、大阪組独立宣言である。


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Solar Bike Race in HAMAMATSU 2014

2014浜松巡礼編 「ペロポネソスの既視感」

公開  2014.09.30.
一部追記  1024.10.04.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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