■■■ <概要> ■■■
浜松オートレース場を舞台に開催される電動バイクレース *)。独立イベントとしては2006年が第1回大会となる。主催者側から貸与される出力300wの固定式ソーラーパネルをエネルギー源に用い、二日間、4ヒート制の6時間耐久レースと、各ヒート間に行われる5周スプリントレース、フリースタイル・パフォーマンス・コンテストの総合点にて競われる。
# ソーラー/人力併用のソーラーバイシクルは含まれない。
2002年に、併催された浜松市「労福協まつり」と浜松オートレース場ファン感謝祭の中で、市民参加型イベントとして開催されたエコバイク(電動バイク)レースがルーツである。電動バイクの電源を会場内に設置されたソーラー発電パネルから供給することで、太陽エネルギー利用をアピールする狙いもあった。
以後、ソーラービークルのデモランや、手作り電動バイクの耐久レースを取り入れて規模を拡大し、2006年に独立したレースイベントとしての開催に至った。
主催は、「ハマ零」代表の山脇一氏が事務局長を務める日本ソーラービークル協会と浜松オートレース場プロジェクトチームにより構成されるエコノソーラーバイクレースin浜松実行委員会。オートバイメーカーが集まる「浜松」からのエコバイクのアピールと同時に浜松オートレース場の有効活用アピールの狙いも込められている。
■■■ <詳細> ■■■
名称
エコノ ソーラー バイク レース in 浜松
2.主催
浜松オートプロジェクトチーム
日本ソーラービークル協会
3.日時
第1回 2006年11月18日 午前8時 〜 11月19日 午後5時
4.後援
浜松市、柳川市、北見市、(財)静岡県生涯学習振興財団
独立行政法人 新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)
日本小型自動車振興会、日本太陽エネルギー学会
5.会場
浜松オートレース場
6.車両規定
国土交通省の定めるオートバイの規格サイズ
長さ2500mm × 幅1300mm × 高さ 2000mm
内に入る2輪、ないし2輪をベースとした3輪(側車)の電動車。
100w以下のソーラーパネル搭載可。
エコバイク実用化アピールが主眼であるため、通常のレース競技では外すことが多い、
前照灯、方向指示器、後尾灯、サイドミラー、積算距離計の設置が義務づけられている。
バッテリー総容量は最大2kW/H。複数に分割してレース中に取り替え、
ピットに設置された固定式ソーラー発電パネルから充電しながら使用する。
第1回大会では周知期間が短かったこともあり、
3輪のエコランカー、小型ソーラーカーの参加も認められた。
サレジオ高専「イヌバウアー」。こういうのもOK。
分類上は軽車両か? 二輪車には間違いない
7.競技
(1)6時間耐久レース
第1ヒート 1日目午後 1.0時間 ポイント=走行km×1.0
第2ヒート 1日目夕刻 1.5時間 ポイント=走行km×1.5(前照灯点灯)
第3ヒート 2日目午前 1.5時間 ポイント=走行km×1.2
第4ヒート 2日目午後 2.0時間 ポイント=走行km×1.0
第1回大会6時間耐久レース第1ヒート スタートライン
前照灯点灯が義務づけられた第2ヒートの夕暮れ時、この後は真っ暗。
(2)5周スプリントレース
5周スピードレース。勝ち抜き戦で順位に応じてポイントが与えられる。
約30mを走ってライディングに入る「ルマン」式スタート
(3)フリースタイル・パフォーマンス・コンテスト
200m区間、1分30秒間に演技を行い、
審査員8人、各持ち点8点での審査点と時間誤差によるマイナス点がポイントとして加算される。
8.参加チーム、結果
2006年
仮エントリーには25台が手を挙げたが、実際の参加は賞典外参加の1台を含め全14台であった。
ゼッケン | チーム名 | 車両名 | 6時間 耐久 | 5周 スプリント | フリー スタイル | 総合点 | 順位 |
1 | 大阪産業大学 A | - | - | - | - | - | - |
2 | 長野県池田工業高等学校 1 | Ridge Line | 239.3 | 26 | 32 | 297.3 | 総合2位 スプリント2位 |
3 | 長野県池田工業高等学校 2 | BHM | 194.9 | 13 | 30 | 237.9 | |
4 | 長野県池田工業高等学校 3 | さっちゃん | 188.7 | 4 | 29 | 221.7 | |
5 | 長野県池田工業高等学校 OB | ケッタマシーン | 141.4 | 6 | 42 | 189.4 | |
6 | Team Prominence | Prominence 4X-8 | 262.1 | 20 | 41 | 323.1 | 総合1位 |
7 | 長野県長野工業高等学校 | - | - | - | - | - | - |
8 | MAXSPEED | RT田中板金YSR48V | 205.7 | 29 | 33 | 267.7 | 総合4位 スプリント1位 |
9 | Team Otus-Sunlake Vintage | FUJIO | 186.3 | 12 | 45 | 243.3 | 総合5位 フリースタイル2位 |
10 | Team Otus-Sunlake Sprout | HANA | 108.5 | 21 | 45 | 174.5 | フリースタイル3位 |
11 | 立命館大学EVレーシング 「我楽多連」 | Green Moss | 170.0 | 12 | 42 | 224.0 | |
12 | サレジオ工業高等専門学校 1 | ドキューン | 167.2 | 5 | 32 | 204.2 | |
13 | サレジオ工業高等専門学校 ワンワン | イヌバウアー | 40.8 | 2 | 58 | 100.8 | フリースタイル1位 |
14 | 静岡大学工学部 | 銭形号 | 26.5 | 2 | 25 | 53.5 | |
15 | HAMA零 | 隼号 | 256.8 | 25 | 0 | 281.8 | 総合3位 スプリント3位 |
16 | 欠番 | - | - | - | - | - | - |
17 | エナックス | e-バイク | 115.3 | 6 | 0 | 121.3 | 賞典外参加 |
■■■ 開催までの歩み ■■■
1999年
浜松オートレース場におけるエコバイクレースの伏線は1999年に遡る。この年、北海道北見市で行われるソーラーカーレース「ソーラーチャレンジin北海道」のプレイベントとして、九州の福岡県の柳川市から、北海道北見市までの陸路約2200kmをソーラーカー2台を用いてデモ走行するという「ソーラーカー全国キャラバン」が行われた。キャラバンの計画は同年8月1日〜9月6日。実際には9月11日までの42日間を要したが、最後は無事に9月10〜12日に開催されていたソーラーチャレンジin北海道に合流することができた。
このキャラバンで用いられたソーラーカーは再輝チームの高崎氏の手により製作され、ミニカー扱いで公道走行可能なナンバープレートを有する車両。広いソーラーパネルを搭載することは出来ないため、ソーラーパネルにより発電する電力に加えて、夜間の割安な夜間電力を使って充電されたバッテリーの両方を用いてのデモ走行であった。
資料
http://www3.coara.or.jp/REPORT/1999/08/0802solarcar/
http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/index.html
http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/course.html
http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/challenge.htm
http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/caravan.html
http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/keika.htm
2000年
先年のソーラーカーキャラバンに応える形で、北海道北見市から福岡県柳川市までを、今度はソーラーバイクで走破し、最後は柳川ソーラーボート大会に合流するというプロジェクトが計画され、見事に成し遂げられた。
北見市と柳川市という地名に加えて「ソーラー」と聞けば、そのバックにハマ零チームの山脇一氏の存在があることは容易に類推できるだろう。ご承知の通り、日本列島を縦断したソーラーバイクはハマ零チームの「隼号」である。
ソーラーバイク「隼号」(エコカーフェスタ2005にて)画像提供:ハマ零、山脇一氏
資料
http://www.yazaki-group.com/j/YazakiNews/200008/224.htm
http://prweb.org/data/02973.htm
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/2623/html/ecocat/ecoman.html
2001年
2002年 10月19−20日
浜松市の労福協主催の秋のイベント「労福協まつり」は例年、浜松オートレース場を会場に開催されてきた。2002年は第17回となる労福協まつりに合わせ、オートレース場の第1回ファン感謝デーが併催され、さらにその中のサブイベントとして第1回エコバイクレースが開催された。
競技は、ソーラー電力により充電された小型電動バイク8台を用い、二人一組となって一周毎にライダーが交代するという形式での追い抜きレース。参加者は当日公募した一般客である。当初は全10レース160人の参加を目論んだが、実際には参加希望者多数で12レースまで行われた。
競技に用いられた電動バイクは地元の城北工業高等学校の卒業生で組織される「城北会」の手によりハンドメイドされた特製バイクである。ピットに設けられたソーラー充電スタンドにて充電。フル充電で約1時間の連続走行が可能であるとされている。
資料
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2002/10_19rou.html
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2002/10_20rou2.html
2002年、第1回エコバイクレース
上:充電スタンド準備中、下:レース風景
(画像提供 Bun! Bun! Hamamatsu Auto)
2003年 10月19日
第18回 労福協まつり/第2回ファン感謝デー
第二回目となった2003年も、前年と同様、一般参加車によるエコバイクレースが開催された。さらにこの回にはソーラーカー、ソーラーバイシクル、ソーラーバイク、エコノムーブ等によるデモ走行が行われ、ソーラー駆動による乗り物のアピールが行われた。その気になれば時速100km近く出せる車両もあるのだが、レース車両以外は高速で走行してはならない、というオートレース場の規定により、時速30km前後のおとなしいデモランであったと記録されている。
資料
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2003/10_18rou.html
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2003/10_19rouA.html
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2003/10_19rouB.html
2003年、第2回エコバイクレース
上:客席から見えるコース脇に設置された充電スタンド、下:レース風景
(画像提供 Bun! Bun! Hamamatsu Auto)
ハマ零チーム 勢揃い
2003年、エコカー、ソーラーカーによるデモラン風景
(画像提供 Bun! Bun! Hamamatsu Auto)
2004年 10月17日
第19回 労福協まつり/第3回ファン感謝デー
第3回となったエコバイクレースは、一般参加者向けのレースと、レーシング用車両による20分耐久手作りEV&ソーラーバイクレースの二本立てとなった。一般参加者向けのレースに使用される車両は、よりキュートな形にモデルチェンジされた。
20分間耐久レースの部では、大阪産業大学交通機械工学科の応用電気(岡本)研究室の「岡っぴき5号改」が、周回数28周の成績で優勝した。
資料
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2004/10_16.html
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2004/10_17rouA.html
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2004/10_17rouB.html
http://www.osaka-sandai.ac.jp/koho/topics/t27.html
2004年、第3回エコバイクレース
上:充電スタンド準備中、下:20分耐久レース、スタート直前風景
(画像提供 Bun! Bun! Hamamatsu Auto)
2005年 10月16日
第20回 労福協まつり/第4回ファン感謝デー
第4回大会では、耐久レースに加えて、ポスト間を往復するスピードレースが新に種目に加えられた。充電スタンドの様式が2006年度に用いられる形式に変更されているのが解る。回を重ねるに連れて、イベントの性格が初期のエコバイク体験を主体とするものから、より競技色を濃く打ち出したイベントへと変化している様子が伺える。
長野県池田工業高校が3輪部門にて優勝、2輪部門でも2位に入賞した。チーム・マックススピードが予選トップ、決勝3位入賞。
資料
http://yaramaika.hp.infoseek.co.jp/2005/10_16.html
http://www.ikeda-th.ed.jp/soui/h17/h17soui.html
http://blog.livedoor.jp/t_kurajo/archives/50040094.html
2005年、第4回エコバイクレース 競技風景
(画像提供 Bun! Bun! Hamamatsu Auto)
2006年 11月18〜19日
第1回ソーラーバイクレースin浜松
四年間にわたり、根付くと共に競技色を強めてきたエコバイクレースは、労福協まつり/ファン感謝デーから切り離され、独立したレースイベントとして開催される事になった。
2006年大会 フリースタイルコンテスト
■■■ 謝辞 ■■■
快く画像転載を許可いただきました「浜松オートレース場」および「Bun! Bun! Hamamatsu Auto」サイト管理者様、ハマ零 山脇一様に感謝いたします。
第一稿 20061026
第二稿 20061127
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太陽能車考古学研究所トップ
Copyright Satoshi Maeda@Solar Car Archaeolgy Research Institute
太陽能車考古学研究所 2006.01.01