The Place in the Sun

三文楽士の休日

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2008

2008鈴鹿 予告編

「SUNLAKE EVO 製作記」
How to Make the SUNLAKE EVO

Volume 2


SUNLAKE EVO ボディカウル構想図 ver.0.5

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2007年〜2008年 年末年始

 年末年始は東京オリンピックの開会式演奏に使われた日本管楽器製造株式会社製のファンファーレ・トランペットの調査に没頭していた。

ニッカン・ファンファーレ・トランペット保存会

 Phaethon2004から4年、本当なら五輪プレイベントのソーラーカーレースに参加したいところであるが、北京で行われる気配はなく、代替イベントとも解釈できる国際レースはイタリア−ギリシャ。今の僕たちには、海外イベントに参加するだけの資力も実力もない。
 思い出から歴史になろうとしている1964年の東京五輪、その開会式でファンファーレを演奏するためだけに、たった30+α本だけが製作された歴史的な楽器の足跡を辿り、それを書き残すこと、それは、同型機のオーナーの義務として、同時に、2008オリンピック年を迎えるための、自分が自分に課した務めだった。


2008年01月13日(日) 「ソーラー初め」



サンレイク、ソーラー初め

 天板はスチレンボードを曲げて組み合わせた多二次曲面。元々は平面だったわけだが、貼り合わせた時点で三次元化されているので、直角、平行の関係が全て変わってくる。ここで、先の天板受け型を作った際に切り落としたポジ相当部分が役に立つ。少なくとも井形と同じ場所であれば上下がピタリと合い、垂直に立つはずなのである。そこで、このポジ部分を使ってリブを垂直に立てるための治具を製作した。



縦リブ支持用治具 イメージスケッチ

 さて、と治具を天板に仮置きしたところで問題に気が付いた。リブを固定する場所を決めることが出来ない。三次元化されているため、車体の前から後ろまで、真っ直ぐな直線を引くことすら出来ないのである。

この問題の解決には、キョンシー・チームさんも
御推薦のハイテク大工道具の登場を待つことになる。


2008年01月20日(日) 縦リブ接合作業

 天板に次ぐ大きさであり、かつ、ボディ強度のかなりの部分を背負う構造材である縦リブの接合は、今回の製作作業の隠れた重点課題の一つである。ポイントはボディ後半部分をを如何に軽く、かつ、丈夫に仕上げるか?である。

 2002年まで使っていた旧チャレンジクラスボディ(チーム内では4連覇ボディと呼ぶ)の後尾は、アクシデントに見舞われて作り直したとはいえ、意外に丈夫だった。

 2003−2004年に使ったドリームクラス用ボディの後尾部は、アテネ市街のデコボコ道を走った際に裏面側が座屈破壊し、折れてしまった。2004年の鈴鹿には応急処置して出走したが、短時間で修復せざるを得なかった裏面はツギハギだらけになってしまった。

2005ー2007年の再チャレンジクラス「NEO」の後尾は、2006年のレース前夜に折れているのが発覚し、後付でカーボン補強しなければならなくなった。

これまでの反省から、今回は特にボディ内に埋め込まれる事になるリブの要所をあらかじめ補強しておくことにした。




接合前の縦リブ部品

 縦リブ部材に細いスチレンボードを貼り足し、側面に折り返しを付けてカーボンクロスを貼り込もうという作戦。凸凹のピッチが1〜2cm程度になるとカーボンクロスは素直には沿ってくれないので、押さえるための治具が必要になる。今回は溝になる部分にこれまた補足スリットしたスチレンボードを押し込み、硬化後に強引に取り去ってしまおうと考えた。結果はこちら、これはかなり丈夫(自己満足)



作業スケッチ。残念ながら積層時の画像は無し。



少々分かりにくいが、ボディに組み込まれた縦リブとその補強箇所の終端部(後日撮影))


2008年01月26日(土) ソーラーカー製作講習会in東日本

 毎年、東京都と大阪近郊にて開催される太陽エネルギー学会主催の製作講習会に某監督が出席。非常に聞き応えが有ったとの感想。彼は勢いで夜の大宴会にまで参加したようだが、自己紹介への応えは過去形で語られるサンレイク。ショックを受けた彼は、ミツバSCRプロジェクトのU山氏に唆され、もとい、勧められて、禁断のモーター巻線の巻き替えに手を出す決断をしてしまった。

 体力、忍耐、根気、に加えて緻密さが要求されるであろう巻き線作業が彼の手に負えるだろうか・・・・・。体力は大丈夫そうだし、忍耐は負けん気の強さが補ってくれるだろう。根気が有りそうには見えないが少なくとも自動車は根気よく弄っている。でも最後の一項が・・・・・。関西在住メンバーは向こう数ヶ月間、不安の中で過ごすことになった。

2008年02月03日(日) 尼崎市 アルカイックホール

 この週末は音楽モード。全国小学生管楽器バンドフェスティバル西日本大会。滋賀県代表に選ばれた竜王公民館吹奏楽教室(竜王ユースブラス)を引率して尼崎市のアルカイックホールで演奏。演目はこのステージのために構成・編曲した金管バンド版「琵琶湖周航の歌」と「ベートーヴェンの田園交響曲」。演奏は、週二回の練習にしては上出来の部類。どちらの曲も10年近く暖めていたアイデアだったので、アレンジャーとしても感無量。

2008年02月8日(金) 鈴鹿2008公式サイトオープン

 ドリームカップ・ソーラーカーレース鈴鹿2008の公式サイトが開設された。オリンピアクラスだって? 内容はソーラーカーJに似てるが、序文がやけに高飛車なのが気に入らない。ところで従来クラスの規則書は何故掲載されていないんだろう?

 胸騒ぎはあったが、この時はまだ音楽モード。翌々日に迫ったステージの幕間演奏のアンサンブルのためにアレンジした曲に出てくる早いパッセージをアルトトランペットで演奏するために、数年ぶりにかなり根を詰めた練習をしていた最中だった。アレンジャーは僕自身なので自業自得だったのだが。


2008年02月10日(日) 滋賀県日野町 わたむきホール「虹」

 三連休であるが、先週に引き続いて音楽モード。10年前に音楽仲間と立ち上げた吹奏楽団:日野ウインドアンサンブルの9回目の定期演奏会。幕間の余興にピッコロからアルト、バスまでの特殊管を加えたトランペットのアンサンブル演奏を披露できる団体は全国的にも多くはないと自負している(ましてや、滋賀の片田舎である)。いずれにせよ積雪に見舞われたため、ソーラー作業はできなかった。

2008年02月16日(土) ソーラーカー製作講習会in西日本

 芦屋大学を会場として、太陽エネルギー学会主催のソーラーカー製作講習会in西日本が開催された。



会場ロビーに展示されたTIGA

 毎回、トリを努める東海大キムヒデ先生が自分の持ち時間を割き、オリンピアクラスに関する意見交換の場を設けてくれた。進行役の芦屋大学の中川教授が、お忍びで出席されていたJAF電気自動車・ソーラーカー部会長の岩田氏を壇上に引っ張り出した。

・・・・ ここから先は別頁で続けることにしよう。・・・・



会場風景


2008年02月23日(土)〜24(日) 作業予定日だったのだが・・・・・

 講習会で充電して、さあ作業だ!と行きたいところだったのだが、土曜は吹雪。日曜に天候は回復したもののしっかり積もった雪のため日中はグシャグシャのシャーベット・コンディションということで泣く泣く作業中止。おかげで(?)久々にセミナリオホールに足を運ぶことができた。



琵琶湖岸で雪化粧した木々


2008年02月25日(月)

 製作講習会にて予告されたオリンピアクラス説明会の案内が到着。
 
東京会場 
 日時 2008年3月22日(土)14:00-16:00
 場所 財団法人日本教育会館9楷 第5会議室

大阪会場
 日時 2008年3月29日(土)14:00-16:00
 場所 堺市立工業高等学校



琵琶湖 冬景色


2008年03月02日(日) サンレイクガレージ



木製特大C型クランプ

 板付きボルトを使った木製の特大C型クランプを作製した。縦リブ接合に大活躍するはずだったのだが、正直なところ企画倒れに終わりそうだ。心棒の長さを変えれば狭幅にも広幅にも対応できる設計なのだが、1×1材を使ったのが失敗。こいつの太さのばらつきが1mm以上あり、細いのに合わせて作ってしまうと入らなくなる場合が出てくるのである。

 教訓:材木を選ぶ際は JASマークを確認しよう。

2008年03月04日(火) 東京駅近郊某居酒屋

 都内某居酒屋にて、導師Mr.Slimと某監督を交え、情報交換会を実施。東西ソーラーカー製作講習会でオリンピアクラスならびに従来クラスの扱いに関する事務局側応答のニュアンスを確認。鈴鹿事務挙内部でもまだ方針は固まってはいないこと、関西会場にて、オリンピアクラス説明会の時には態度を明らかにすると予告されたことを相互確認した。

 事務局側が参加者の意向を全く配慮していないのは、これまでの短いやりとりだけでも十分明らかになった。有力チームに根回しした様子も見られない。参加者不在のままで、的はずれな運営方針が事務局により「決定」されてしまう前に、僕たちの声を伝えなければならない。

すぐに行動を起こさなければ。

 ここからもう一つのファイトが始まった。全貌が顕わになるのはまだまだ先のことである。


2008年03月08日(土) サンレイクガレージ

 いよいよ車体の組み立てに着手。まずは縦リブと天板とを接合する。ソーラー初めの日に気づいたとおり、まず曲面状に直線を引くという哲学的・数学的に難しい作業が必要だ。



まずガレージを閉め切って



これがハイテク大工道具:レーザー水準器



電灯を消したり、



電灯を点けたりしながらレーザーの軌跡を辿り。



その跡を繋げて罫書く。



垂直出しの治具をセットして動かないように鉛のブロックを乗せ、



あらかじめ、エッジ部に、はみ出す様にカーボンクロスを貼っておいた
縦リブを添えて、エポキシ樹脂で天板に接着し、板を渡して重しを乗せる。

この日はまず外側を接着。後日、治具自体を抑え部材に使って内側を接着した。

2008年03月09日(日) サンレイクガレージ

 縦リブが固定されたら、横リブはホゾに合わせて差し込むだけ。今回の車両のデザイン上の最大の特徴は、車体全長の約半分にもなる長大な前輪カバーである。



前輪カバー部の稜線になる竜骨部材のスケッチ。
 今回のデザインの肝であるにもかかわらず、設計者自信による図面に引いてあるのは定規を無理に曲げて引いたと思われるアバウトなラインのみ。しかも方眼紙の余白にはみ出して作図されているためそのラインから寸法を拾うことも出来ない。このアバウトなラインから製作担当者が図面を起こさなければならないのである。
 2005年〜2007年シーズンの車両「Sunlake NEO」では、アンダーカウルと車輪を覆うスパッツが別体になっていた。この様式は、昨今のソーラーカーでは多数派といえるが、サンレイクではむしろ例外的である。サンレイクが車輪カバーを初めて導入した1998年以後、2004年までは、アッパーカウルと車輪カバーが一体になるデザインを採用していたのである。今回の車体製作にあたっては、一体型の方が製作上、ボディカウルと車輪カバーの連続性が確保しやすいく車体下部側の空力改善効果を出しやすかろうとの判断から一体型に戻すことにした。



組み立てたリブに、前輪カバー部の竜骨を組み
入れると車体の全体像がさらにはっきりしてくる。

 組み立てられたリブとリブの間に発泡スチロールのブロックを入れて接着して行く。リブは垂直に立っているのだが、天板との接合面は、傾斜した二次曲面である。ブロックを先に削ってフィッティングさせていかなければならない。この作業に予想以上に手こずってしまった。



ニクロム線による発泡スチロール切断作業



同拡大

 隠れて見えないが、ブロックの下側=テーブルの端にはアルミのアングルを被せてある。切り代が切断スピードに依存するため等速度で切り進めなければならない。途中で止まったり、極端に遅くなったりすると熱のためそこだけ切り代が太くなってしまう。

2008年03月16日(日) サンレイクガレージ

 発泡スチロールブロックの切断とリブ構造体への組み込み作業

2008年03月20日(木) サンレイクガレージ

 またまた、発泡スチロールブロックの切断とリブ構造体への組み込み作業

2008年03月22日(土) 東京都千代田区(財)日本教育会館9楷 第5会議室

 JAF主催のオリンピアクラス説明会、東京会場となった日本教育会館に場違いな怒鳴り声が響いた。半ば予想してはいたが、あまりに予想どおりの高飛車な説明に某監督が切れたのである。某監督からの事前質問に対する事務局からのメール回答において「説明会で説明する」とされていた内容に関しても曖昧な説明しか無かったことも燃え上がる某監督に油を注ぐ結果となった。もちろん怒っていたのは某監督だけではない。彼の表現力が、他の参加者より少し勝っていただけに過ぎない。続きと詳細は別頁で。


2008年03月23日(日) サンレイクガレージ

 さらに、発泡スチロールブロックの切断とリブ構造体への組み込み作業は続く。



進まないんだな、これが。


2008年03月27日(木) 六本木 某ビル4F



倫界点2008℃  「近未来ソーラーカー・エティカのデザイン」

 日本ソーラーカーのパイオニアの一人、ソーラージャパン代表の江口倫郎氏のデザイン展が東京・六本木某所で開催された。デザイン事務所「エリプスガイド」の社長業の傍ら、母校・愛知芸術大学大学院で一学生として研究されてこられた近未来の実用的ソーラーカーのデザインの研究発表でもある。とっても行きたかったのだが、期末の喧噪に加えて週末にはオリンピアクラス関西説明会、この時ほどオリンピアクラスの存在が癪に障ったことは無かった。(涙)。

 代わりにH澤監督にご挨拶を依頼。彼はオープニングパーティに潜り込み、来賓の居並ぶ著名なカーデザイナーの皆さんと、たっぷりと異文化コミュニケーションを楽しんだようだ。悔しいなあ。行きたかったなあ・・・・・・。

 ところで、このエティカの車輪はいくつあるでしょうか?

 ソーラーカーの車輪の数は4輪限定なんて決めたヤボな貴方。人類史上最初のソーラーカーデザイナー氏の提案を真摯に受け止めなさい。





2008年03月29日(土) 大阪府堺市 堺市立工業高等学校

 JAF主催のオリンピアクラス説明会、大阪会場。

 先週の東京会場での様子を某監督から聞いた限りでは、我々が求める回答が準備できている様子はない。東京会場での質疑内容については鈴鹿公式サイトに掲載されてはいたが、会場で質疑の中心になった規格の背景や理念に関する話題は避けられ、技術的な内容に関する物だけになっている。僕からは、東京会場での監督の振舞への釈明+全7頁の事前質問を送付してある。

 東京会場での参加者は50人くらいだったそうだが、大阪会場は定員80人が満席となり、満員御礼で受付が締め切られた。参加したくても参加できなかった人がいる可能性があるわけで、公正を期する上でこの措置はいかがなものかと思う。日本のソーラーカー業界は歴史的背景もあって西高東低、人数が増えるのは予想できただろう。後で分かったことだが、はるばる宮崎県からの参加者もおられたようだ。定員オーバーになったらさらに大きな会場を探すなり、別室に中継するなりするのが「説明を聞いて頂く」説明者側の責務である。

 さて、こちらは、というと、準備万端のつもりだったが、駅に降り立った瞬間に気が付いた。鞄を軽くしようと、いつも詰め込んである書類やノート類を出した際に説明会への入場証も鞄から出して家に置いてきてしまったのだ。あわてて会場で合流する手はずだった高橋氏に電話し、プリントアウトして持ってきてもらうことにした。入場証が届いた際にpdf化して関係者に送っておいたのである。
 動揺していてはマズイし、喧嘩腰になってはさらにマズイと思い、会場入り前に仁徳天皇陵を一周して気を静めようとはしたのだが。



会議の名前より主催者名の方が大きいぞ。

 受付で入場証(受付番号001)を出したとたん、名前を確認した事務局氏から、「会場使用時間が限られているので全ての質問に答えることは出来ないと予想される。回答できなかった質問へは説明会終了後別室で・・・」と耳打ちされた。公開説明会の意味が無いでしょうと言いかけたが飲み込んだ・・・・やっぱり平穏には終われないのかなあ・・・・と溜息。僕は紳士なのに。

 説明会冒頭、「東京会場での質疑で学習したから」ということで、「従来クラスのデビューを2010年まで認める」との明確な説明が」あった。某監督が怒鳴った意味はあったということだが、この内容には全く満足していない。従来クラスは危険だから安全なオリンピアに統一して行く、という大前提自体に疑問がある。オリンピアクラスが、従来クラスの持つ危険要素の低減という課題に対する回答になっているとは思えないからである。

 おっと、また書きすぎてしまった。続きは別頁



会場風景


2008年03月30日(日) サンレイクガレージ

 まだまだ続く発泡スチロールブロックの切断作業とリブ構造体への組み込み作業


2008年04月01日(火)

 仮エントリーの案内が来た。エントリー用紙には車両名の欄がある。名前を考えなくては。


2008年04月05日(土) サンレイク・ガレージ



一見、かなり組上がってきたように見えるブロック体。



後ろから見ると、先は長い。

 今日は、ボディカウルとシャーシとの勘合を見るために、暫く手を付けていなかったシャーシの改造に着手した。ボディ後半を絞るために、まずシャーシ・フラップ部分の後ろを斜めにカット。さらにバッテリーを乗せるスペースを確保するために(前後の重量バランスの関係から、出来る限りフラップの前の方にバッテリーを乗せたい。横置きになってしまうので幅が必要になる。)フラップを張り出さなければならない。



養生テープを貼って罫書き、ディスクサンダーで切り落とす。



カーボンクロスの切り粉を防ぐための完全防備のつもりだったが、
・・・・・・・一番防ぐべき所はジーンズだった。・・・・・・・



張り出しフラップを仮接着し、光に透かして満た図。けっこう穴だらけ。

 この後、仮接着した心材にザイロンクロスを貼り付け、既存フラップに固定する。


2008年04月06日(日) サンレイク・ガレージ



張り出しフラップ完成



こちらは車体後部のブロック作り。

 積層後に内側から発泡スチロールを刳り抜いて軽量化するのだが、構造上手が届かないところは先に有る程度刳り抜いておく。内側を刳り抜きすぎると変形しやすくなり、外郭積層時の加重により車体が歪んでしまうおそれがあるので、その手加減が難しい。刳り抜きに使っているのは半田ゴテを改造した刳り抜き機。



今回の目玉の一つ。新しい太陽電池パネル。引き出し線が
付いていないので自分で半田付けしなければならない。



それなりに進んでいるはずなのだが、
写真だと皆同じに見える・・・・・・・。


2008年04月07日(月) 名称決定

SUNLAKE EVO

EVOは、EVOLUTION または 
Emotional Vintage Obstinacy 感情的な熟成された頑固さ


2008年04月12(土) サンレイクガレージ

 後輪スパッツのリブと下地台作製。



後輪スパッツ・イメージスケッチ


2008年04月20(日) サンレイクガレージ

 五月の連休に外郭積層作業を行うには、何とか四月中に外形を削り出してしまいたい(結果的には3週間遅れた)。しかし、流石にサラリーマンの4月は忙しく高橋が4月後半、月末まで中国出張になってしまった。一番削りたがっていた彼を差し置いて作業に着手するのは心苦しいが、月日は待ってくれない。ブロック体の最後尾はまだ完成していないのだが、痺れを切らした竹原が「やるぞー」と宣言し、4ヶ月待ち望んだ、一番楽しい削り出し作業に突入することにした。



ほぼ完成したブロック構造体

 これに、まずはザクザクとニクロム線カッターと鋸の歯を入れて荒く外形を作って行く。



ザクザクっと外形を出した状態



真正面から見るとこういう感じ。


2008年04月26(土) サンレイクガレージ



車体後部をトリミング中



後部の中央部分にはスチレンボードを曲げて使う

 今は仮置きのために定尺矩形のスチレンボードをそのままはめ込んでいるが、後輪が出る部分をシャーシの後端を底辺とする二等辺三角形に刳り抜くため、最終的にはほとんど平面に近い円錐になる。

2008年04月27(日) サンレイクガレージ



車体後部に後輪スパッツのリブを置いてみた。



後輪スパッツのリブ部分拡大
前輪ほどではないが、このパーツも長い(160cm)

 サンレイクの後輪サスペンションは左右非対称である。しかも実物は分解されて、倉庫の奥深くに仕舞い込まれているため採寸したり見比べながらデザインすることが出来ない。頼りは一昨年作ったNEO用の後輪スパッツだが、車輪の中心線が片側に5mm程ずれているのである。車輪が歪んで付いているのか、あるいはスパッツの位置がずれていたのか・・・・? 現物あわせの結果、そうなったのは確実だが、その理由を明確に答えられるメンバーは居なかった。入らなかったらどうしよう・・・・・。

2008年04月29(火) サンレイクガレージ

 黄金週間突入



これが発泡スチロール削り出し用の七つ道具
左の黄色いのと、中央の大きいのが荒削り用、赤いのが仕上げ用



まず、向かって右側を削り出してみた。



ちょっと削り過ぎたかなあ・・・げっそり痩せた頬って感じ



 後輪スパッツ用リブに、本体と同じように発泡スチロールブロックを挟み込んでブロック体を作る。乗せているのは、本体の縦リブと同じ曲線で作った専用台。一昨年は車体底面の曲率が小さく、かつ、スパッツの全長も短かったため、平面上で作って、目分量で曲げてボディにフィッティングさせた。しかし今回は全長160cmあるので、きっちりカーブを合わせなくてはならない。しかも後輪スパッツはシャーシにのみ固定し、ボディカウル側には直接固定しない構想である。はたして、思惑通りに作れるのか?


2008年05月01(木) サンレイクガレージ

 平澤監督上洛、というか、宮崎からの帰りに寄った、というか。久々のSVX。一気に削り出して、大型連休中に外郭積層作業まで進みたいところだが、ここで監督のダメ出し。
 「これは僕がイメージしたライン(曲面)ではない」
 「図面から採寸して、実体と合わせるとこうなっちゃうんだ。」
 「だから、図面なんかに頼っちゃダメって云ってるじゃないか。(おいおい・・・・・)風の気持ちになって削らないと。」
 サンレイクでは、誰も監督の云うことなど聞かないのだが、風の気持ちに逆らうわけには行かない。目指しているのは究極の空力コンセプトである。



と、云うことで仕上げてあった部分をバリバリとはぎ取り



新たにブロックを切り出して、



剥ぎ取った部分に填め込み、再接着。

 この段階では、やり直しが簡単に出来るってところが、この工法の大きなメリットの一つである。納得がいく形が出来るまで、何度でもやり直す。



車体後半部分に取りかかる監督

 前輪カバーの後ろの終端部付近は、ボディ後半に溶け込むわけだが、ボディ自身も後尾に向けて緩やかな膨らみを持った曲線で絞ってゆく。微妙なラインどうしが重畳された絶妙の曲面。この部分も削っては貼り直し、貼り足しては削り出しを何度も繰り返した。左右対称に仕上げなければならないのだが、これがなかなか・・・・・。



前輪サスペンションの下側カバーの勘合を見る。



ボディにシャーシを納め、各部と前輪サス下カバーのフィッティングを確認中。
前輪カバー部は、失敗部分を再び剥ぎ取り、新しいブロックが再接着されている。

 上下一体型のボディカウルの欠点の一つに、前後輪のサスペンション部分の下側のカバーリングが難しいことがあげられる。この部分は製作が面倒で、かつ、ボディカウルの外形が仕上がり+シャーシに車輪が取り付けられた状態、すなわち他の部分がほぼ完成していないと着手しづらい。サンレイクでは毎度まいどボディ製作中は見て見ぬふり、取りかかるのはいよいよレース直前、結果的に「取って付けたような」カバーしか出来上がらず、車体底部の両前輪に挟まれた部分=風が通り抜ける空力的に重要な部分がどうしても凸凹してしまっていたのである。

 今回は、逆に、先にシャーシに組み付ける形でこのカバー部分を作ってしまい、形状自由度の高いボディ側をそのカバーに合わせて行くという工法を採ることにした。前輪サスペンションをシャーシに取り付けるためのボルトの頭が、取り付け強度上、シャーシ下面に飛び出さざるを得ないため、この部分を覆う空力パーツとの一体構造である。この部品をタイヤハウスの下面まで延長して一体化しなければならない。先は長い。苦労の割に目立たないし、万一ダートに入り込んだりしたら壊れるのは必至。いやむしろその後の走行にじゃまにならないように、後腐れ無くあっさり壊れてくれた方が良い。最初から全体を成型する型を木工で作った方が早かったかなぁー?と、この時、既に後悔中。

2008年05月03(土) サンレイクガレージ



削り直して、ふっくらした前輪カバー部



ボディ後部の下側にもスチレンボードを接着

 後輪が顔出し、後輪スパッツで覆われる部分を予め切り取り、切り口に後輪スパッツを受け止めるための桟を接着し部分的にCFRPにて補強してある(黒い所、分かるかな?)。この部分は曲面であるため、平板で圧力をかけることはできない。後輪スパッツ製作用につくった専用台(ボディ後尾部のカーブに合わせてある)の余材を使ってボディ後尾部のネガ型になる台を作り、その上で成形を行っている。




夕闇迫る憲法記念日。外形完成!・・・・・のはずだったのだが

 4(日)、5(月・こどもの日)は作業お休み。各自家族サービス。僕の場合は、4日は昨年若くして亡くなった音楽仲間の追悼コンサートに出演。5日はJAMELLA:全日本メロフォン連盟の総会。世間は休みだが6日は出勤日。結局連休中に外郭積層するという予定は3週間ほど遅れてしまった。なあに、遅れるのも計画に織り込み済み(あれ?)。

2008年05月10(土) サンレイクガレージ



作業台から、初めて持ち上げられたボディ。予想以上に剛性がありガッシリしている。
いつもは、外郭積層前はフニャフニャなのだが。補強入れすぎた(重くなった)かな?



車体先端のノーズ部分を貼り付け、仕上げ加工中。

 今回のデザインでは幅を絞ったため外形ギリギリまでパネルが来る。サンレイク伝統の尖った顔にしたかったのだがそれだけの余白が無い。出来上がってみると・・・・・・・・・なんか「普通」のソーラーカーだなあ・・・・・・・少々不本意。



作業台には今後の積層作業に備えてポリエチレンフィルム(特大ゴミ袋)を敷いた。

 先に敷いてある白いシートはワックスを塗ったクリスパー。このワックスが後に災いを呼ぶ。天板になるスチレンボード表面に転写したワックスは、外郭積層時にエポキシの硬化発熱で融け出してエポキシ層に溶出し、エポキシ樹脂の硬化の従って今度は外郭FRP層の外側に染み出てくるのである。外郭層と心材との接着をじゃまするばかりか、次はソーラーパネル接着を阻害することになる。入念に拭き取らなければならない。



改めてボディシェイプを見ると(画像はノーズ接着前)少し頬がそげすぎている感じ

2008年05月11(日) サンレイクガレージ



削げすぎた頬の肉付けに2cm厚の発泡スチロールを側面に貼り付け、再び削る。アバウトな作業に思えるが、5mもある大きな車体の印象が、厚さ3mm程の差でガラリと変わってしまう。

2008年05月17(土) サンレイクガレージ



本日は立命館大学チームが見学に

君たちが、いかに恵まれた環境で作業しているか解ったかい?
はやく僕たちを追い抜いて引退させておくれ。



この日は貼り込み前の各部の細かな仕上げ

 前輪サス下カバーと一体化する、前輪カバーの内側部分の部品を外側と釣り合うように膨らませた。この部分は立命館チームが担当。

 彼らの先々代車両「ヴィマーナ」は、僕たちが譲ったサンレイク(1999-2002)ボディに合わせてシャーシを製作して組み合わせたサンレイクの兄弟車。先代の「αフィールド」を経て、現役の「ブラタリアス」はそのシャーシに合わせてボディカウルを、僕たちと同じユニセクシュアルファブリケーションで製作した、これまた兄弟車。この時の主力メンバーは既に卒業しており現役学生には、この工法の経験者が少ないということで、是非作業を経験したいとのこと。来シーズンは再びボディカウル製作か? 期待しよう。

 代替わりのある学生チームでは、いかに技術伝承するかが大きなテーマ。いまこの構図は日本の産業界全体の縮図と云えるかもしれない。大学側も学生の怪我を危惧して、「安全」の御旗の元に作業実習を大幅に削減し、機械系の学科を出ているにもかかわらず、工作機械はおろか、ろくに工具を扱えない新入社員も少なくない。立命館大学チームの面々の鉄工技術は大学ではなく、太田鉄工所での大ベテランの厳しい指導により磨かれたものだ。

 # 機械油で手を汚した経験のある学生は貴重ですよ、企業の採用担当者さん。

ところで、はたして試走会(6月30日)までに車体は完成するのか?

to be continue

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三文楽士の休日

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2008鈴鹿 予告編

「SUNLAKE EVO 製作記 Volume 2」

第一稿 2008.06.11.
微改訂 2008.06.19.
倫界点記事追記 2008.07.04.
3月4日付け記事追記 2008.08.14.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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