The Place in the Sun

三文楽士の休日

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2008

2008鈴鹿 予告編



2008 試走会レポート

 コラム
   助っ人制度について (1)  (2)  (3)
   オリンピクラス特例について
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2008年6月30日

05:00 出発



フロントガラスには水滴、空はどんより。西側から望む鈴鹿山系には厚い雲


05:50 国道一号線土山付近 空模様は相変わらず。

05:58 新名神高速道路の下をくぐる 路面はウエット



新名神高速道路の陸橋



鈴鹿峠に向かう。山は厚い雲に覆われている。

06:00 鈴鹿峠



峠のトンネルを越えると、東の空は明るい。

 関を過ぎ、旧国道1号線に入り、亀山市内を抜けた所からJRの踏切を横切って平田に向かう。

6:20 鈴鹿市に入る。

平地まで降りてくると雲の合間に青い空が見える。明るい夏の日差し 路面はドライ。




06:32 鈴鹿サーキット着



秘密のダート駐車場に車を置き、9番ゲイトから歩いて入場する。
門の手前で停まっているのは大阪産業大学さんのワゴン車。

06:39 前泊していた某監督と平尾の誘導でピットに到着。



先客の柏会さんと同衾である。



同じピットには尼崎工業高等学校チームも

 「あれれ、吉川先生、昨年で引退じゃなかったんですか?」

 「新車(ドリーム→チャレンジ)作っている最中にオリンピアクラスと既存クラス将来撤廃という発表があり、どーしよう?ってことで呼び出されちゃったんですよ。」

 やむなく前後切りつめて(三輪車のままだが)小さくしたのだが・・・・・・・という車体。元々TIGAと同じ型から起こした同型の兄弟車だったのだが、これだけ切りつめるとかなり印象が変わって見える。約半分はサンパワー社の真新しいセルに変わっている。

 そのまた隣は、静岡工科自動車専門学校

 

左:昨年のエンジョイクラスの車両  右:たぶんオリンピアクラスの車両

 仮エントリーではオリンピアとエンジョイにダブルエントリーしていた。エンジョイの方は昨年デビューした緑色の車両の様子。オリンピアの方は4輪なので、どうやらこちらのようなのだが、どう見てもEVフォーミュラ。太陽電池はいったいどこに???

その後ろに搬入されてきたのはタブラジ改め、



新生のアステカ・レーシングチーム

 ソーラーカーを格納したままトラックの荷台に載せることが出来る専用車両キャリアが目立ている。なんと工具類は床下収納。「試走会までに間に合わせるんだ、キョンシーチームに負けるなぁ!との掛け声で、突貫工事で作ったとのこと。車両本体よりこっちの方にチカラが入ってる感じでした。



ピットレーンから望む観覧車


サンレイク本体はまだ到着していないので、ご近所の散策を続けることにした。



OSUピットはガードが固い。




名古屋工業大学



龍谷大学チーム到着



地元三重県のHALチーム。家族連れメンバーが目立つ




こちら、堺市立工業高等学校

吉田先生、怪しく黒い謎のボックスをカッターナイフで加工中。

   「あ、吉田先生が工作しているの、初めて見た。」
   「なに云うてるの、マレーシアでどんだけ仕事したか、」
   「いつも腕組んで怒鳴ってるだけやしなあ」と山田先生
   「ソフトなヒゲ親父で行こうとしてるのに、変な先入観与えんといてよ。」

失礼しました。でも直ぐその後

   「おい、早よ用意せんかい!」と怒鳴り声が・・・・・・



和歌山大学




紀北工業高等学校生産技術部




再輝




長野県工科短期大学校

 お馴染みの特徴的なシルエットは残されているが、4輪にオリンピア化されている。昨年鈴鹿の公式プログラムでは新たにソーラーカーJ準拠の車両を製作中と予告されていた。好きなデザインだったのだが4輪化されたことで、失礼ながら率直に申し上げてバランス的に苦しそう。しばらくは試行錯誤が続くことになるだろう。


06:50 サンレイク本体到着



サンレイク母艦「タケハラ号」到着




立命館大学チームも隣のピットに店開き


 6月21日の学内試走時に車両を大破。今日は、助っ人制度のプロドライバーの指導会を兼ねるため、なんとしてでも車両を持ち込まなければならなかった。と、いうことで、太田鉄工所の親方自らが突貫工事で修復したシャーシに、ヴィマーナ号に流用されていた旧サンレイクボディ(1999-2002年)を被せての鈴鹿入りである。(製作記 Volume 4、6月21日の項参照)


助っ人制度(1)
 昨年の助っ人制度は、初めてソーラーカーを製作する学生チームに、ソーラーカー製作のベテランチームによるアドバイスを行うという企画であった。講師役はエンジョイクラスとチャレンジクラスで優勝経験があり、今もなお常に表彰台圏内という強豪チーム、さらにはソーラーカー製作のための入門書の著作もある堺市立工業高等学校チームである。これ以上、この企画にふさわしい講師役を探すのは難しいだろう。

 助っ人制度適用第一号となった千葉黎明高等学校は、ソーラーカー製作こそ初めてであるが、過去、エコランレースの参加経験を十分積んでおり、物作りと省エネレースのあり方について深く理解しているものと思われる。エコランレースから入っているという点は、堺市立工業高等学校の歴史と共通する。講師役のY田先生にとってもアドバイスし甲斐があったチームであったろう。TV放送で完走した千葉黎明高校チームと握手する「ソフトなヒゲ親父」氏の笑顔が、それを物語っていた。
 今回の助っ人制度は、ベテランのプロドライバーが現役学生ドライバーのいる学生チームを対象として、運転経験のない学生に、鈴鹿サーキットを走るための基本的なドライビング技術を指導する、という企画である。「安全かつ効率的なドライビング技術を通して、モータースポーツの魅力を感じてもらう 」というのが企画の目的である。

 講師は現役のプロレーサー。公式サイトによれば、1997、2000年全日本GT選手権GT300クラス・チャンピオン、2000年仏ル・マン24時間レース(LM−GTクラス)優勝、2003年に日本人初の米 NASCAR WINSTON CUP シリーズに参戦。一般ドライバー対象の「スズカドライビングレッスン(SDL)」の講師も務める人物であるとのことだ。

参考URL
 http://event.yomiuri.co.jp/2008/solarcar/news/news_009.htm
 http://event.yomiuri.co.jp/2008/solarcar/news/news_016.htm

 今回の助っ人制度については多くの方々が指摘しているように少々疑問がある。講師の履歴にソーラーカーはもとより、電気自動車レースの経験すら無いと云うことだ。ガソリン自動車の走り方と、省エネレースであり、かつ全く異なる駆動系を有するソーラーカーの走り方は根本的に異なる。このことはレースドライバー経験がほとんど無い僕でも解る。

 如何にベテランドライバーといえども、ソーラーカー・電気自動車レースの未経験者が、これまたソーラーカー経験のほとんど無い(加えて一般自動車の運転経験すら乏しい)初心者学生ドライバーにソーラーカーレースの走り方の指導ができるのか? 素朴に疑問だ。

 加えて、今回の立命館大学チームのドライバーは、
  一人はインドネシアからの留学生。日本滞在1年と数ヶ月である。彼の名誉のために書いておこう、非常に真面目で勉強熱心だ。ふやけた日本人学生に爪の垢を煎じて飲ませたい。とはいえ、今回のレースに出場するために慌てて免許証交付に必要な書類を母国から取り寄せたくらいなので、日本での普通自動車の運転経験はゼロ。年齢的に云って、母国でもそれほど経験があるわけではないだろう。

  もう一人は日本人の元気な一回生。免許は原動機付き自転車のみ。すなわち普通自動車の運転経験は無い。

 彼らの経験の乏しさを責めるつもりは毛頭無い。学生なのだから経験が無くて当たり前である。問題は、それを考慮に入れた指導を受けることが出来るかどうかと云う点である。

 学内試走時にソーラーカーをクラッシュさせてしまった時の様子を聞き、事故の原因が経験値の低さ=安全確認不足によるということを知った僕は、事前に、この点に留意して欲しいという趣旨のメール連絡を事務局に入れたのだが、その内容が講師に伝わっていた様子は無かった。


 ソーラーカーレースの走り方の基本を逸脱した指導を連発する彼に、横で聞いていた---ドライバー経験がゼロの---僕でさえ最後にはキレてしまった。もし、彼等が講師の指導を真に受けて、そのとおり実行したら自損・物損事故では済まない事態が生じるだろう。


 万が一、事故が起こってもドライバーに致命的な危害が加わらないように・・・・オリンピアクラス規格の頑丈さが求める趣旨自体は理解できる。中身が伴っているかどうかは別として方向性としては否定しない。でも、それ以前に必要なのは事故を未然に防ぐための対策だろう。

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07:09 チーム・アスカ到着



チームアスカ到着

 今日のメンバーは熟年2人にエントラントの3人で(有)氏は御留守番。お手伝いしてアンロードし、OSUチームの後ろに陣取った。



 そこに現れた世界最速運転手氏のN村氏 「気になるなあ、あのシートの下」

 

OSU車両にはカバーがかけてあって見えないのです。
昨年のオキシライド・プロジェクト協力の見返りに、
高性能太陽電池を入手したというもっぱらの噂。



07:20 受付



アスカさんに付き添って本日のエントラント初仕事の受付へ。

ひょっとして緊張してるの?

こちらはというと、サンレイクの高橋ドライバーが事故渋滞に捕まっているので受付できなずイライラ。もっとも本人は2時間ぴくりとも動かなかった道路上で、もっとイライラしていただろう。


見たこと有るような車体だなあ・・・・と思ったら



パネルを剥がしたマックススピードの旧車両でした。鈴鹿高専が譲り受けた様子。




マックススピードと鈴鹿高専はOSUの隣に陣取った。
ピット内に某サイト管理人さん発見




こちら芦屋大学チーム。カウルを吊す仕掛けの設置中




ポリテク・カレッジ滋賀 SPD

 今年はドリームとエンジョイにダブルエントリー。ドリーム車両は製作真っ最中。シートが間に合わなくて・・・・とビールケースが車体に埋め込まれていました。流石にこれは正規部品が完成したら取り払われる予定とのこと。




スリムな長野工業高校チームの車体




宮崎県から参加の日向工業高等学校ソーラーカープロジェクト


08:00 ドライバーさんたちは走行前ブリーフィングに出席

 こちらも、そろそろ準備を始めなければ


08:32 アスカさん、お色直し



チームアスカの準備開始

 といっても、こちらはかなり自立性が高い車両なのでカウルセットやキャノピーかぶったりというセットアップはほとんど必要なし。 単にレーシングスーツに着替え(着重ね)するだけ。



サンレイクEVO準備完了


08:58 試走スタート準備



初めてピットロードに出たEVO




ピットロードに並んでシグナルが変わるのを待つ。



09:00 試走開始

さて、タイムとデータは監督とK村に任せて、ノンビリしようと思ったら、いきなり緊急連絡。

「積算電流計が動かない。」

あれれ、

 サンレイクEVOには3系統の積算電流計が装備されている。
  (1)太陽光からの入力電流
  (2)モーターへの出力電流
  (3)回生電流

 実は、今回のモデルチェンジでは、電装系統は全く触っていない。取り外したのを、そのままインストールし直しただけである。細かい配線をやり直すのが面倒なので、ワイヤーハーネスをそのまま外し、そのまま取り付けたという手抜き工事であるのは認めよう。しかし、たいてい、ギリギリまで車体そのものの造形やメカ改造が続くため、電装系工事はいつも走行直前になる。作業効率的にはこいつが最も楽だ。

 太陽電池パネルは貼ってないので入力は動かない。不思議な事に、昨年本番で動かなかった回生電力用のは動いているらしい。しかし、肝心の出力電流がモニター出来ない。

 どこかの断線の可能性が高いが、配線をチェックしだすと時間が掛かる。試走時間は午前午後各1.5時間ずつしかない。原因解析と対策は昼休みにして、まずはドライバーに調子を見てもらうということで試走続行。



積算電流計トラブルで渋い顔の某監督


09:07 アスカ号、少し遅れて試走開始



アスカ号発進

 試走開始時刻の9:00に初心者がノコノコ出て行くと、他チームに迷惑がかかるだろうと、少し時間をずらしてピットロードに出て行った。なかなかオトナの判断である。ピット出口で一旦停止して左右確認。当たり前のことだが、普通自動車免許を持っていない若年ドライバーには、これが出来ない。図体がでかく、小回りが効かない上に、後進機能が付いていないことが多いソーラーカーは、ピットロードまではチームメンバーがサポートするのが常だが、この車両はかなりコンパクトで自立性が比較的高い(ただし、後進機能は無し)ため、熟年ピットメンバーは見ているだけで手は出さない。でも、この状態を見本にしちゃ行けないよ。某大学チームさん。

助っ人制度(2)



講師のアドバイスを受ける立命館大学チーム

 予想したとおり、アウト-イン-アウトや、レコードラインをなぞって走れなどという、ソーラーカーレースでは絶対やっては行けない走り方を教えていたようだ。もちろん、トップとボトムが一周しても数秒しかタイムが変わらないようなガソリン車レースでは、それでよい。ところがソーラーカーレースでは一番早い車両と遅い車両の速度差は2倍以上ある。レース開始10分後には周回遅れの車両が出てしまうのである。中位くらいの速度の車両は、速い車両に抜かれつつ、遅い車両を抜かねばならない。レコードラインに沿っての走りなど危険行為以外の何者でもないのである。

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立命館大学「ヴィマーナ」発進 まさか、この車体がもう一度鈴鹿を走る日が来るなんて




ベールを脱いだ OSU モデルS’

一昨年のサンパワー社製パネルが別の物に張り替えられているのは、この距離からでも解る。




堺市立工業高等学校の名ドライバー「ピンクツナギ」氏

堺市立の強さの一端を、何でもなさそうな、
このシーンに見ることが出来る。わかるかな?


09:45 サンレイク、ドライバー交代



午前の試走時間、半分経過
ここで、自分の巻いたモーターの調子を見るために、
乗りたくてウズウズしていた監督にドライバー交代。


09:47 BKボンズ・チーム 「黒幕氏」登場



「ねえ、例の女性紹介してヨ。」
「残念、(アスカなら)今、走ってるよ。」

ホントに予告通り見学しにきただけ?


09:50 チーム・アスカ ピット



こちら、チーム・アスカのピット。エントラントは感動の鈴鹿サーキット初走行中。
一方、超ベテランのピットメンバー熟年二人は、完全おくつろぎモード

第一回ソーラーカーレース鈴鹿のドライバー経験者は、おそらくこのお二人だけ


10:04 アスカ ピットイン



アスカ号 無事帰ってきました。

 一周15分ほどののんびりペースで4周。で車体を触ってみると、IGBTの放熱板が素手で触れないくらい熱くなっている。スロットル絞って中途半端なスピードで走っていたということがバレバレ。この熱になったエネルギーは車を前進させることには全く使われていないのです。



初走行、初ピットインの記念写真撮影風景

 それにしても熱いので こりゃ放熱板面積を3倍くらいにしなきゃいけないな、なんてやり取りをしている最中に現れたVIP軍団は、



IW田氏を初めとするJAFの電気・ソーラーカー部会と
鈴鹿サーキットのオフィシャル技術スタッフの面々だった。



オリンピアクラスの特例

 チーム・アスカの末席にも座らせて頂いている僕は、オリンピアクラスの説明会以後、アスカ号がオリンピア(特例)クラスに該当するかどうか?という点について、事務局と電子メールにて協議を続けてきた。本日は、その実況見分と云うことらしい。

 アスカ号は見ての通りのコンパクトな4輪車。元々この車両は、2&4系のジムカーナ競技や公園ラリーでの走行を前提としている。今回の鈴鹿へのエントリーはあくまで「鈴鹿サーキットを走ってみたい!」ということであって、耐久レースを走りきろうという設計思想は全くない。この車両の製作計画があることを知った際、サイズ的にはソーラーカーJにぴったりだなと思い、規格の存在をエントラントと太田氏に伝えたおいたのであるが、製作自体はソーラーカーJを全く無視して進められていた。従って自動的にオリンピアクラスも眼中には無かったのである。

 そのような製作状況の中、オリンピア騒動が始まったのであるが、オリンピアクラス導入初年度ということもあって、主催者側も少しは後ろめたいのか、あるいは制定してみた物の、あまりの厳しさに誰も当クラスに手を挙げないのではないか?と恐れたためか、

「今年の鈴鹿に限り、オリンピアクラスに整合しない部分が多少あっても、
 (二ヶ月前までに事前申請すれば、)
 その箇所によってはオリンピアクラスとして認める。」

 という、これまた難解な特例が設けられたのである。

 # ついでに云うと、
 # この特例の存在は2月の説明会時に口頭でアナウンスされた。

 # 説明会には定員が設定され、実際、関西説明会については満員御礼が出て
 # 受付が閉め切られたのである。参加したくても参加できなかった人がいる
 # 可能性が有るわけで、公正が期されたとは言い難い。

 # ソーラーカーレース鈴鹿の公式サイトに掲示されたのは、
 #  大会まで、2ヶ月+10日弱に迫った5月後半であった。

 この特例は、その曖昧さ故に、特例の存在自体が、火種の一つにもなり、某監督などはカンカンだった。僕はこの特例の曖昧さを利用する事で、逆にオリンピアクラスの位置づけを明確に出来るのではないか?と考えた。すなわち、アスカ号の現状が何処までオリンピアクラスないし特例オリンピアクラスに整合しているか、を質すことで、主催者側の持つオリンピアクラスのイメージを炙り出すことができるだろうと企んだのである。
 オリンピアクラスの出場台数は10台に満たないだろうし、ひょっとしたら数台。ならばエントリーすれば入賞?などとエントラントを、唆したのは事実だ。しかし、そのような唆しに安易に乗るようなアスカチームの面々では無かった。
 もちろん、その上で、アスカ号の現状がオリンピアクラスに準拠していると判断されれば、後はエントラントの判断に従うまでだ。当初の目的「鈴鹿を走りたい!」を達成するために、どのクラスにエントリーするか?はさほど重要な問題では無い。



バッテリー搭載箇所が「床」に該当するかどうかを検討中


事前に事務局とメールでやり取りした内容をまとめると以下の通りである。

項目規格アスカ号特例該当 事前判断
車輪数四輪、同一タイヤ
前二輪で操舵
四輪、前二輪で操舵
同一タイヤ
シートFIA公認シート公認シートに非ず。
ただし着座姿勢等は
ほぼ規格を満たす。
公認シートでないとダメ
ロールバーの材質スチールor
複合材料 *1)
アルミパイプダメ
後進機能必要後進機能無し特例として認める
バッテリー
搭載方法
床に固定フレームから左右に
張り出した棚に固定
写真での判断は困難。
試走会時に実物を見て判断。
回転部分覆いが必要後輪シャフトがむき出し。 当初は上から見て見えなければOKとの回答だったが、
画像を送ると「判断に悩む」旨の再回答。
*1) 規約原文は
 日本語版:スチールもしくは複合素材(アルミとチタンは許可されない)
 英語版 :Rollbars must be made of steel or composite material (aluminium and titan is not allowed)




むき出しの回転シャフトを隠すには?


 チーム・アスカの基本姿勢として、オリンピアクラスに準拠させるために、車体に手を入れようという考えは毛頭無かったため、公認シート必須、かつアルミロールバーはダメという時点でアスカ号がオリンピアに鞍替えする可能性は、ほぼ消え、当初の予定通りエンジョイクラスとしてエントリーする旨、回答はしておいたのであるが。 まずIW田氏の一言

「これこそ理想のオリンピアクラス車両に近い姿だ。」

 少々意外な一言だったが、これで主催者側が抱いているオリンピアクラスのイメージがかなり明確になった。やはり短距離走なのである。説明会で披露された玉川大のデザイン例も理解できる。ただ、この一言により規格前文にある「日常に使用されるプロダクションカーにもっと似た形状、デザインおよびスタイリングを有する安全なソーラーカーを目指している。」との違和感がさらに増したのも事実だ。

 バッテリー搭載法に関しては、これだけしっかり作ってあれば、この棚を「床」に見なして良かろうとの判断であった。実際問題としてアスカ号のバッテリー搭載棚は並のソーラーカーの床よりずっと丈夫だ。しかし構造的には、バッテリーがすっぽり嵌るようにアングルが組んであるだけで、裏から見ればバッテリーの底が見えるのである。そもそも規格上「床」とは何かが定義されていないので、なんとでも解釈できる、ということであろうか。

 「回転部分はカバーせよ」との項目が、これまた難解であった。極常識的な言葉の解釈として、回転部分という単語については特に定義は必要なかろう。タイヤもハンドルもまちがいなく回転部分だ。これを完全に覆ってしまったら車は走らない。条文そのものが意味不明である。  後輪のシャフトに関しては、単純に囲えば良いのだが、エントラントの主張はこれまた単純で「囲うのはイヤ」。論理的には絶対に整合しないこの背反要素なのであるが、連結部が外れた際に、そこが飛び跳ねてドライバーに危害を与えることが無ければヨシ、とのことで、無理矢理にシャフトの付け根を覆えば、という解釈に落ち着いたものの、正直な所、明確な線引きが出来そうには思えなかった。

 「公認シートベルトにするだけでも大変だったんです。」と訴えるエントラントを無視して、話題はFIA公認シートをどうやって取り付けるか、という点と、ロールバーをスチールに変えれないか、という点に移っていった。要するにその二点をクリアすれば、オリンピアクラス準拠と認めよう

(お願いだから、オリンピアクラスとしてエントリーして頂戴)

と云うことなのだが、

 Team Asukaの資金源は23才の機械部品商社勤務の女性事務員の財布である。主要パーツは、ほとんど使われていなかったソーラーカー(OtusSplint)を解体して得たリサイクル品か、Team Otus、Shibata Family Solar Car Team、Team Sunlake がストックしていた遊休品である。ホームが鉄工所なので、アルミパイプや鉄板はなんとでも融通できる。(人件費をまともに計算したらとてつもないことになるが、そこは目をつむっている。)現金での新規購入部品は極限まで切りつめられている。FIA公認シートなどを買ってでも付けよう等という気は全く無い。


 アスカはFIAからの熱いラブコールを袖にした女として歴史に記録されるだろう。


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10:58 試走会 午前の部終了



久々のサーキット走行に疲れながらも、満足そうな某監督



バッテリーは1セットしか用意してこなかったので昼休みは充電タイム


 僕はというと、まずは積算電流計のチェック・・・・あれれテスターが無いぞ? 前日にようやく動く所まで持ち込んだ所でチカラ尽きていたので、メンテ道具にまで気が回っていなかったのである。結局、芦屋大学のMR谷先生にお借りしました。ありがとうございます。

 道具は借りたものの、他人がやった配線って解らないんだよなあ・・・・・・・。サンレイクの電装系を仕上げた人物は、実は今はチームから離れている前監督である。半田付けが異様に上手く、車体の軽量化に人一倍情熱を燃やしていた彼の配線には全く遊びが無い。それはそれで凄いのだが、メンテナンス的には非常にやっかいな代物となる。 一度配線を外してしまうと、完全に同じパスを通さないと電線の長さが足りなくなるのである。パスが再現できたとしても遊びが全くないので、相当半田付けが上手でないと再接続できない。ついでに云うと、配線図なんて物は存在していないので、トラブル時は毎回、回路の読解から始まる。日頃、電気から離れている僕には良いトレーニング素材だ、と自分に言い聞かせて・・・・・・・やっぱり解らん。


12:00 試走、午後の部開始

 時刻は午後の試走タイムに入ったが、結局、なんとか回路が読めかけたところで昼休みは時間切れ。こうなったら、人間データロガーを使ってデータを取るしかない。と

 サンレイクのドライバーのラップ・コントロール精度は、保証値で±5秒、実力では±2〜3秒だ。指示されたラップを実現するにはサーキット上の各ポイント間を各何Aの電流を投入して走ればよいかというデータが身体に刻み込まれている。この体感データを利用して、体感ラップタイムと実際のラップタイムの差から効率を割り出そうという苦肉の策である。・・・・・・・うーーーん 信用していいのかなあ・・・・・・。

12:07 神話タイム

 

IK上尊師登場

神様の眼力の前では、サスペンション系が全く変わってないのがミエミエかなあ。


12:20 遅ればせながら試走開始



人間データロガーを搭載して発進




こちら、一足先にコースインしたアスカ号。
午後の部は超ベテラン柴田御大による模範走行




いたるところで囲まれているのは、「影の仕掛け人」ミツバのU山さん。



12:40 立命館大学チーム ドライバー交代



ようやく、なんとかピットメンバーにも動きが出てきた


12:45 柴田さんピットイン



「どーや?調子は」 「うん、まあまあ」

 アスカが恐る恐る15分ほどで回っていたコースを、10分そこそこでクリア。初乗りでポテンシャルを最高に引き出す所はベテランの技。因みにIGBTは全く熱くなっていない。「ちゅうことは、モーターの方がヤバイかな」と太田さん。予想どうり、モーターケーシングがアッチッチ。中途半端に電流を絞らずに、一気に電流を投入するタイミングと、電流を抜くタイミングをメリハリつけてドライブしたほうが、タイムもエネルギー効率も両方良くなる、という見本である。


12:58 アスカさん再発進




時間もったいないし、もう一回走ってくるか?

と、いうことで、モーター制御のコツの即席講義を受けてアスカさん、再びコースへ。



助っ人制度(3)

13:26 立命館大学 再度ドライバー交代



乗り降りもサポートしてあげてほしなあ。

それ以前に、本番でのドライバー交代場面を想定するなら、
車両の右側から乗り込むよう指導するべきところだろう。

 ピットロードを下り、作業エリアに入ろうとした所で再輝チームとニアミスを起こし肝を冷やした直後である。直ぐにエントラント君に謝りに行かせた。ドライバーにも同行させたかったが、講師は全く意に介す様子がない。 この時点で僕はかなり腹をたてていた。

 メンバーが、後輪からのショリショリ音が気になるという。カウル後尾が本来あるべき姿より、かなり下がっているので、そもそもセッティングがおかしいのである。(本来はもっと、ヒップアップしていてカッコイイのだよ。)どこかボディの一部がブレーキディスクにでも擦れているだけだろう。金属音で無ければ大丈夫だろうと、僕が車体後部を揺すって確かめていると、後輪の空気圧が低いのではないか?との某講師が云いだした。
「何kg/cm2入れている?」
「6kg/cm2です。」
「低すぎる。もっと上げた方が良い」
かなり苛ついていた僕は、講師を睨み付けて告げた。
「これで十分。夏の鈴鹿で、これ以上空気圧上げたらバーストするぞ。」

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「講師から聞いたことは全部忘れろ。」

立命館大学チームのメンバーは、後日、某平澤監督
(元ソーラーカードライバーライセンス講習会講師)による
熱い特別講義をみっちり聞かされることになった。

ついでに書いておくと、毎年の公式パンフレットに掲載されて
いるソーラーカー向けコース解説は、実は彼の筆によるのである。
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13:21 アスカさん、ホームストレート通過



この時は調子良さげだったのだが


13:30 あれれ?、ピットモニターに



オフィシャルに押されるアスカ号  拡大



流石に停まったときは「!?!?!」状態だったようだが



実は密かに「牽引願望」があったらしい。




なんとか惰性でピットロードを下ってきた
この時、モーターは完全に沈黙状態。




流石の熟練組もシンクロスコープまでは持ってきていないので故障解析は帰ってから。
ドライバー本人は、念願のオフィシャルによる牽引・押出しを経験できて御満悦である。


 こちらは、制御系がいかれていたらどーしよう・・・・と真っ青。IGBTが壊れていたら万事窮す、納期数ヶ月という代物なので本番までに代替部品が手に入る見込みが無いのである。後日、制御系の故障ではなく、モーターのブラシ配線が焼き切れていたことが判明し、胸をなで下ろした。


13:40 試走、午後の部終了



15時までには完全撤収のスケジュールなので、あたふたと片づけ開始




コンパクトだなあ、アスカ号




アルビー君とインドネシア語会話を楽しむ羽藤先生




柏会とサンレイク、並んで後かたづけ。やっぱり武蔵は薄いなあ。




撤収作業が続くピットレーン側 雲行きが少々怪しくなってきた。




三重県側から鈴鹿峠に向かう。山間の雲はご覧の通り




雨雲の中に突入




湖国側、雲は重そうだが何とか雨にならずに保っている。

 と、いうことで、試走会終了。ドライコンディションで走れたのが最大の収穫だったが、積算電流計が動かなかったのは痛恨の極み。

 ドライバー達は、感触が良かったみたいで、ニヤニヤしていたが・・・・・・・まだソーラーパネル貼ってないんだよなあ(貼ると10kgくらい重くなる)。・・・・・・・バッテリーボックスを置くフラップも修理( =カーボンクロス貼足し = 重量増 )しなければならないし、前輪下カバーは半分、どこかに飛んでいってしまったし・・・・・色も塗りたいなあ・・・・カーボンクロスの真っ黒も、ホクサンのPhebusみたいでカッコイイのだが、炎天下では触れないくらい熱くなり、ドライバーの照り焼きができてしまうだろう・・・・・意外に重いんだなあ、ペイントって。

 自分の所だけでも課題山積み・・・・さらにアスカ号は原因不明の駆動系トラブル、ブラタリアスは大破したままだし・・・・・・・

はたして、僕たちの夏はやって来るのだろうか?



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三文楽士の休日

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2008鈴鹿 予告編

2008 試走会レポート

微改訂  2008.07.26.
第一稿  2008.07.21.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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