The Place in the Sun

三文楽士の休日 2007鈴鹿編

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿2007



結尾(コーダ)が欠けた夏の奏鳴曲(ソナタ)
"A Summer Sonata without Coda"

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§5.未完の結尾部 「終止形に導けない属和音」


2007年8月5日 日曜日 夕刻

17:30

 ドリーム&チャレンジクラス 総合優勝は予想通りブッチギリで芦屋大学ソーラーカープロジェクトAチームの芦屋スカイエースTIGA、97周。 総合2位には台湾から参加の高雄応用科技大学のアポロVI、88周。 3位にはドリームクラスの意地でチャレンジクラスの総合入賞を阻んだ東海大学チャレンジセンターのFalconが86周で入った。

 チャレンジクラスの1位は、昨年からチャレンジクラスに参戦していた紀北工業高校生産技術部の紀北ソーラー、84周。 2連覇を狙った「柏会(静岡県)」は同じく84周、チェッカーフラッグを受けてから逆転され17秒差で2位、3位はスローパンクに苦しみながらも83周を回った堺市立工業高等学校科学部、揃って総合でも4位、5位、6位に入った。



以下、チャレンジクラスは

長野工業高等学校81周  チャレンジクラス4位
バカボンズ80周チャレンジクラス5位
金沢工業大学夢工房 80周チャレンジクラス6位
Team Maxspeed78周チャレンジクラス7位
チームキョンシー78周チャレンジクラス8位
サンレイク77周チャレンジクラス9位
   サンレイクは総合14位。総合順位は兎も角として、チャレンジクラス9位という記録は1994年、ソーラーカーレース鈴鹿に初参戦した際のクラス7位を更新する自己ワースト記録となった。天候に翻弄され、全体に記録が伸び悩んだ中での結果とはいえ、77周という数字は2000年頃のレベルまで後退してしまったことを示している。







車は感性で作り、怨念で走らせる。
トラブルが無ければ面白くない。
ドラマがなければレースをする意味がない。
 公式プログラムのチーム紹介に、こう書いたのは2005年だった。照れで「感性で作る」と書いたが実際は「意地と執着」だった。洒落で「怨念で走らせる」と書いたが実際には「執念と情熱」だった。今シーズンは、そのどれもが欠けていた。スピンして第二コーナーに突っ込み、グラベルを多量に持ち帰ってしまうというハプニングもあったが、車両が潰れたりモーターが損壊した訳ではなく、トラブルの内には入らない。サーキット上やピット内外では、いくつもの熱いドラマが平行して演じられていた。しかし、最後の最後まで、僕たちのチームに舞台が回ってくることは無かった。






18:30

 夕暮れが迫る中、僕たちは黙々と帰り志度していた。

 不協和なテンションを含んだ属和音は、導音の動きとともに調和した主和音に導かれて終止し楽曲は終わる。僕たちの属和音には調子の外れた非楽音が混じり、必要な音が欠けていた。このままでは奏鳴曲の結尾部(コーダ)を書き上げることは出来ない。

 何が足りなかったのかは明らかだ。



2008年の夏、僕たちはこのグラベルを返しに行く



未完

公開 2007.10.06.


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