The Place in the Sun

三文楽士の休日 2007鈴鹿編

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿2007

結尾(コーダ)が欠けた夏の奏鳴曲(ソナタ)
"A Summer Sonata without Coda"

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§2.提示部 「不揃いな夢(ドリーム)」


2007年8月03日(金)

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿2007 車検


04:50 出発 堅田組も5:00前には出ているはず。心配していた雨は降っていない。


 東の空はきれいな赤色に焼けているが、これから超えなければならない鈴鹿の山々には濃い雲がかかっている。

05:19 風が強い。雲が恐ろしく速い速度で流れてゆく。

05:28 国道1号線に合流。


05:40 鈴鹿峠を越える。県境のトンネルを抜けるとそれまで乾いていた路面がウエットに変わり、山肌は霧に霞んでいる。やはり稜線の東と西ではこれだけ違うのかと。しかし風は急に凪ぎ、標高が下がってくると路面も乾き、陽の光も差すようになってきた。

06:12 鈴鹿サーキット着。

   昨年は、車検日の入門チェックが例年になく厳しく、入門証にナンバーを記載されてしまうと車の入れ替え許可しないという頑固な運用に、楽しいはずのレースの初っ端に気分を害してしまった。
僕の車は積載能力が低いので、今年は別の駐車場に停め、歩いてピット入りである。



 旅行用ハンドキャリアに書類等々一式が詰め込まれた鞄と、看板代わりのチームポロシャツと小道具を入れたペーパーバッグを結わえ付け、キャンプ用折りたたみ椅子を担いで、てくてくと入門ゲートへ。「ソーラーですね?」「そうです。よろしく」、最初はこうでなくっちゃ。

06:20 てくてく歩いてようやくピット。

 今回は13〜15の3ピットを
   尼崎工業高等学校(ドリームクラス)
   立命館大学(チャレンジクラス)
   サンレイク(チャレンジクラス)
   ポリテクカレッジ滋賀SPD(チャレンジクラス)
   ポリテクカレッジ滋賀SPD Core(エンジョイクラス)  (敬称略)
の5チームで使う。

 事務局案がどうにも窮屈そうに思えたのと、壁面が使えないチームが出てしまうということで事前に打ち合わせ、
 尼崎工業高等学校には事務局案どおり13ピット側1/4を使って頂き、
 間仕切りを一カ所出して、
 実質一チームで二台出場のポリテクカレッジ滋賀(事務局案では二台で全体の1/4の広さ、手続き上は2チームなので全体の2/5の権利があるはずだと思うのだが)に1ピット分=全体の1/3を使っていただき、
 中央部分を前後に分けて、サンレイクと立命館大学で臨機応変に使うという形にさせていただいた。2チームは事務局案より専有面積はやや狭くなるのだが、その代わりに間仕切りを壁がわりに使うことができる。

ポリテクカレッジ滋賀チームは前日にピット入り、早出のメンバーが既に打ち合わせ中。

06:35 尼崎工業高等学校チーム到着。



06:45〜06:50
    堅田組(恵島、平尾、東)、大阪組(高橋)、東京組(平澤夫妻)が前後して到着。ソーラーカーを搭載運搬している竹原組(竹原夫妻)が到着していないが、コントロールタワー方向に目をやると、台湾の高雄応用科学大学チームがピットに車体を押し出しているではないか。

  これはいかん。

 「私たちは、いつも(車検終了が)早いサンレイクさんの後ろに並びますから、早くしてください。」ポリテクカレッジの可部先生にプッシュされるのだが、車体が来なければどうしようもない。

07:01 車両到着。



07:13 車検ポールポジション

 早速、車体を降ろしてシャーシだけ兎に角とコントロールタワーに向かう。



 高雄応用科学大学チームの車両が引っ込んでいる間に車検ポールポジション獲得。その後ろにキャノピーと名前入りビールケースで順位確保した柏会、続いて慌てて並んだ高雄応用科学大学アポロ。その後は瞬く間にゾロゾロゾロと。みんな天気を睨みながら・・・・雨、振るなよーーー。

08:00 受付開始
 ドリームクラスが08:00〜 チャレンジクラスが08:20からなのだが、油断していると最後尾になってしまう。



08:45 なんやかんやで受付終了。
 ドライバーさんのレーシングライセンスだけでなく、メディカルフォームと通常の運転免許証もお忘れ無く(忘れていて、届けて頂いた)。運転免許は「たまに免停中の人がいるんですよね」ってことらしい。車検書類も持ってこいと書いてあるが、受付ではチェック無し。


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 試走会で耳にしたとおり、優勝候補の一角で今年のポスターにもなっているOSU:大阪産業大学は不参加とのこと、大変に残念だ。オキシライド乾電池による時速100kmへの挑戦日は明日。どちらを選択するかは苦渋の判断であったと思う。僕たちはOSUチームの決断の重さを理解しているつもりだ。

 さらに残念なことに豪州Auroraチームの姿も無い。車両完成を間に合わせるのは厳しいが頑張る、との便りを頂いていたのだが、やはり車両輸送に要する時間を計算に入れると無理だったのだろう。

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08:50 車検が行われるコントロールタワー下のゲートが開けられ、準備が始まった。まずは前哨戦となるドライバーの水飲み合戦が始まる。



09:00 車検開始



 検査自体は手慣れた物で、昨年と一緒なので(良いのか悪いのか)車体規格は問題なし。曇り空なので指示器系統も楽勝だろう、と油断していたら、後ろが一寸見にくい、ということでアイシャドウ指導。

 いわゆる指摘事項ではないので、アイシャドウするのは後で良いよ、ということで、


ウインカーテスト


09:20 ブレーキテスト開始待ち



 ここで問題発生。ドライバーが体重測定等々でトラップされており不在なのである。そうこうしている間に車検二番手の高雄応用科学大学チーム。お先にどうぞ、ということで譲り、さらに柏会に譲り、いや撮影の準備が(台湾のTV会社)ということで、また順序を入れ替え・・・・・

 サンレイクは一度、平尾にやってもらおうと、急に変更。指名された平尾は緊張の面持ちだが、気合いがようやく入ったかなというときに

「シートベルト、もう少しきつくして(高橋サイズだと平尾にはゆるい)、ところでバラストは?」

 積んで無いやないか、ということでバラスト取りに走り(ドライバーの体重を70kgに統一するためのバラスト。体重が重い方は固定バラストでよいが、軽い方は差分のバラストを持ち込まねばならない。差分バラストは10kg近い鉛の塊)、なんてしている間に、結局最初の試技は柏会。これはやり直しと云うことで、二番手が高雄応用科学大学チーム、見事一度で合格。次いでサンレイクも一発目で合格。

 比較的失敗の多い脱出テストも、なんと14秒台の好記録で一発合格。



 車両検査一番の座は高雄大チームに進呈したが、「日本チームの中では一番」(Phaethon2004でも同じ事云ったな)と僕は謙虚に主張しておこう。番組撮影でモタついている高雄大チームより先に車検合格証の意味もあるゼッケンナンバーをいただいたのはサンレイク。さらに「これを貰ってこそ車検終了ですよネ!」と車検官氏に念押しし「そうだ。」の一言を引き出した監督は「サンレイクが車検1番」と、おそらく公式サイトでは宣言するだろう。

09:57 ピットに無事帰還

 「終わったの? 良かったじゃん仕事行けるねえ」とバカボンズの黒幕サン。

 そうなんですよ。僕はこの日16時から大阪でどうしても外せない会議があって、何があっても午前中に車検を終えなければならなかったのだ。



 その後、約一時間 アライメント調整、細かな手直し等々の後、泣く泣く鈴鹿を後にしたのでありました。


車検終了の記念写真



大阪に向かう途中の近鉄津駅で見つけたドリームカップのポスター


では、続きは また
仮公開 2007.08.03.
加筆再公開 2007.09.20.

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