The Place in the Sun

三文楽士の休日

大英帝国見聞録
The Memoirs of Great Britain



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大英帝国見聞録 第一章:春の嵐
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 と、いうことで国内出張仕事をさっさと片付け、猛烈な春の嵐の中、コンサート会場に向けて、この日からの10泊11日分の大荷物を引きずって歩いていたのだがキャリーバッグに違和感が出てきた。妙に敷石にキャリーバッグの足(車輪)を取られるのである。


 原因はご覧の通り。車輪が縦に割れ、側面の一部が剥離して車輪が細くなり、敷石の隙間に車輪が挟まれるのである。

 なんとか今回の旅程の間は誤魔化せないかと、しばし楽観的に構えてヨタヨタ歩いていたが、車輪の崩壊はさらに進み、側面だけでなく接地面の一部まで剥がれ落ち、露骨にゴトゴトしてきだしてしまった。ようやく覚悟を決めた僕はコンサート会場に向かっていた進路を東急ハンズ方向に変更した。最低限、車輪が転がるという機能を失う前に、何らかの対策を講じなければ、雨と風の中で大荷物を抱えたまま立ち往生だ。


 東急ハンズ新宿店の鞄売り場で店員を掴まえ、「ここで修理できるか?」と問うと「無理」との即答。正規店に送付することになり、見積もりだけで2週間ほどかかるという。Samsoniteのサービスがこれほど貧弱とは思っていなかった。

 時間と道具とパーツさえあれば、これくらいは自分でなんとかする所だが、当方100%旅装束である。最近のキャリーバッグは小車輪の4輪が多く、このバッグのように大きな車輪を使っているものは売り場を見渡しても見あたらない。(大きい方が耐久性良いはずだ、と思って選んだのだが)


 悩んでいる余裕は無いので、代わりのバッグを購入し、レジの片隅を借りて、盛大に鞄中身の詰め替え作業を行った。よかった、着替え類、圧縮袋で一個にまとめておいて。

 さて、問題は壊れたキャリーバッグの始末だ。車輪以外は問題ないので廃棄するのは惜しい。中を工夫すれば楽器ケースくらいには流用可能だろう。
 「これ、家まで送って貰えませんか?」「購入品以外は送れない規則なんです。」「さっき買ったヤツを送ったことにすればいいじゃない。」「それはちょっと・・・・・」という交渉の末、
 「修理見積もりと云うことなら、送れます。」
 まずメーカーに修理見積もりに出し、見積もり次第で判断すれば良かろうとのこと。料金は二度払いになる可能性があるが、この風雨の中、大荷物の上に、さらに空のキャリーバッグを抱えて、宅急便取扱所を探す気力と体力は無い。ということで、この提案に乗ることにした。幸い、購入時の保証書をバッグのポケットに残しておいたのが役に立った。予定外の出費ではあったが、バッグが4輪タイプになり、ショルダーバッグの大きさともフィットし、さらにキャリーハンドルの高さも調整できるようになったので移動が楽になった。まだ日本国内であったことをラッキーだったと思うことにしよう。

 (2014.04.15.追記 ちなみに、修理見積もりは \11,275 であった。迷わずキャンセルした。結果、キャリーバッグは一円も使わずに自宅まで戻ってきた。)
   
before          after

 このトラブルシューティングの後、ようやく冒頭の東京オペラシティ、近江楽堂に辿り着けた訳である。晴れやかに始まるはずだった国内移動を含む10泊(内1機中泊)11日の大英帝国への旅は、冒頭から出鼻をくじかれたのであった。





DAY -1 14.Mar.2014 Tokyo-Narita
DAY -1 2014年03月14日(金)東京丸の内某所〜成田 声を涸らすクッキー売り


 東京丸の内 某業界団体事務所

 世はホワイトデーとやらで、街角でも駅前でも、義理チョコ返しのオジサン向けにクッキーを売りつける叫び声が騒々しい。が、当方は某業界団体の会議室に籠もって来週からの国際会議の準備である。

 前回同様、日本国内での議論はまとまらず、離日直前まで資料作りと修正に追われるのはお決まりのパターンである。この日に開かれた会議そのものは報告主体だったので一見スムースに終了。その後に渡英メンバーだけで作戦会議が開催されたが、実のところ日本代表全員が揃っていた訳ではなく、意思統一にはほど遠い。挙げ句の果てに、「別に日本人どうしの議論が現場で始まっちゃっても構わないじゃない。だって外国メンバーはよくやってるよ。」なんて不穏な発言まで飛び出す始末。
 さらに、成田のホテルでメールチェックすると、海外からのコメントメールが入っていた。本会議までになんらかの回答案を準備しておかねばならない。当方が策定に参画した規格案は昨年末に各国の委員に送り、質問・コメントは2月中旬までにとお願いしていたのだが、宿題提出がギリギリになるのは万国共通のようだ。




大英帝国見聞録 第二章

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The Memoirs of Great Britain

公開  2014.04.19.
Copyright Satoshi Maeda@Solar Car Archaeolgy Research Institute
太陽能車考古学研究所
2006.01.01