Solar Car Archaeorogy Research Institute

The Histrical Solar Car Museum
太陽能車考古学研究所 付属博物館


CSK Simon 90



こちらは、大阪産業大学・新産業研究開発センターに展示されていた写真「Simon90」
実車は大阪ATCグリーンエコプラザに貸し出し展示中とのこと。ならば見に行かねば。

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 「ATC」と云われても大阪の人以外は、あまりピンと来ないだろう。ATC:Asia and Pacific Trade Center アジア・太平洋貿易センター、複合型商業施設で運営会社の筆頭株主は「大阪」である。

 何処にあるかというと、「咲州(さきしま)」という大阪湾の人工島(埋め立て地)にある。住所は大阪府大阪市住之江区である。近くには、現在は大阪府の咲州庁舎となっている(元)WTCコスモタワー(WTC:World Trade Center)、国際展示場であるインテックス大阪等があり一帯は「コスモスクエア」と呼ばれている。例えれば、東京の「お台場」臨海副都心みたいなものである。バブル期に計画され、建設途上でバブル崩壊という道も「お台場」と同じだが、バブル後もなんとか開発が継続し遊興観光地となった「お台場」とは異なり、残念ながら関西の斜陽を象徴するような状態である。

 
 左の高層ビルが大阪府咲洲庁舎、右の(低く見えるが11階建て)建物がATCである。大阪府咲州庁舎は地上55階、地下3階、高さ256m。元々は大阪ワールドトレードセンタービルディング、通称「WTCコスモタワー」と呼ばれていた。こちらも運営会社の筆頭株主は「大阪」であった。建設当時は交通の便が悪くオフィスとしては不人気で、建設翌年の1996年には早々と債務超過に陥り、紆余曲折の末、「大阪」が買収して府庁舎の一部として使われることになった次第である。



 こちらがATC。本来は貿易のための施設として大阪市によって建設された。施設全体が保税地域(総合保税地域)に指定されており、関税なしで商品の輸入・販売が可能、つまりは超大型の免税店として期待されたが、WTC同様にアクセスの不便さから敬遠され、大阪市のお荷物施設の一つとなった。商都大阪でも、お役人が仕切るとこうなってしまうのである。現在は民間から招聘した経営者により黒字転換しているということだが・・・・・・・以下の画像のとおり、人影はかなり疎らであった。



ATCのエントランス。せめて万国旗の掲揚くらいして欲しいところだ。

 

目指すは11階。他のフロアにはWTCが大阪府の庁舎と
なった関係で移転してきた大阪市の行政部門の入居が目立つ。



前置きが長くなったが、ようやく辿り着いた目的地
おおさかATCグリーンエコプラザ

 

レイアウト拡大   出展企業1   出展企業2       ポスター拡大



入り口の横に・・・・



二代目の貴婦人がいた。



さっそく中に入り正面から



側面から。初代の優美さではなく、精悍さを感じさせる。

気になったのは展示の状態である。



タイヤはペシャンコ。キャノピーの覆いも無造作にパネルの
上に置かれている。あまり丁寧には扱われていない様子である。
自転車用の空気入れでOKなんで、入れて欲しいなあ。

 

ボディサイドにはWSC1990の公式ナンバーが光る。

 

コクピットの中は初代に増して窮屈そうだ。乗り込むのも、かなり難しそう。
出入り口兼フロントガラスになるサンシェードカバーの取り付け部分が割れている。
これは、某外国人見学者の一人が無断で乗り込もうとして、カバーを無理矢理に
こじ開けた際の破損とのこと。



フットペダル

 

コクピット部分を真横から。フロントには設計者の名前。



ボディサイドには協力者とスポンサーの名前が並ぶ。



少し角度を変えて。本体と側車は相当丈夫そうに作られたパネルウイングで
連結されているが、さらに低い部分にもパイプでトラスが作られている。



さらに前方裏側から。ウイング部分の内部構造がよくわかる。
トラスとは別に、さらにワイヤーによりブレスが入れられている。



「夢は挑戦から始まる」先代にも付けられていた同じスローガン



ウイング部分を後方下から



同じくウイング部分を下から。ウイングの下面は、フラットである。
車体に翼形状を導入して浮力を得て、車輪への負荷を軽減しようと
云う思想は、当時のソーラーカーでよく試みられたが、成功例は
あまり無いように思う。かえって空気抵抗を増やす結果となったようだ。



真後ろから。パネル面はほぼ左右対称になっている。



リアに大阪産業大学と、



チーム「シモン」の名前



小さな垂直翼にもよく見ると、 「手を離せ」とか押しちゃダメと。





コクピットのカバーを被せて、再び真横から



同じく斜め前方から



外に出てウインドウ越しに斜め後方



同じく斜め後方から、視線を低くして。

 

SIMON90 スペック表 拡大

「触るな」とのことだが、この保管状況では見るに見かねて触らずには居られなかった。

ついでに、「撮影禁止」の張り紙もあったが、係員には許可を得ております。念のため。
事務室から丸見えのところでパシャパシャやっていたのだが、誰も私に感心を示さなかったのは事実。



この広いスペース。もう少しなんとかならないかなあ。
ご覧の通り、私以外に訪問客は一人もいなかった。


このままでは、大阪市を解体すると公言している橋下市長(2012現在)に
潰されてしまいそうなので、その前に他の展示物も紹介しておこう。



CSK Simon 90 が、置かれているスペースの壁際には、



ご覧のパネルが並べられている。このスペースは団体見学者が
来たときにイントロ的な総論を説明するスペースなのだろう。



展示場内はご覧のように各出展者ブースが並ぶが、パネル展示がほとんどである。



珍しく実物展示されていたのは、ご覧の植物工場。しかし、これって
「グリーンエコ」なのだろうか? 究極的な人工環境だと思うのだが。



数少ない実物表示の2番目は小型の電気自動車コーナー



こちらのキュートな1シートカーは、昨年、郵便局への改造EV納入を巡る
ゴタゴタで、倒産してしまったゼロスポーツの「エレクシードRS」である。



真横から撮りたかったのだが・・・・・・



テールにはちゃんとブレーキランプに方向指示器にバックランプを装備。

 

カートっぽく見えたが、サスペンション装備
 
モーター。型式までは読めず。



コクピットは少し窮屈そう



ペダルは普通



こちらも紹介しておかなくては。 左が CQ Mortors 社の「Qi(QUNO)」、右はアラコ社の「COMS」



斜め横から



逆サイドから見ると、Qi(QUNO)が左右非対称なのが解る。

 こちらの3台の電気自動車も、最初に紹介したソーラーカー:CSK Simon90 と同様、
タイヤの空気圧はかなり低そうだった。タイヤが太いのでパット目には気にならないのだが。

  

拡大
 
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拡大


この他に気を引いた展示は↓これくらいかなあ・・・・・・・・・・




ケニス株式会社の エコ・エネルギー啓蒙玩具コーナー



ソーラークッカー



ミニ燃料電池車


小一時間、見学させて頂いたが、見学者は私一人だけの貸し切り状態であった。



附属博物館エントランス

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関連ページ:太陽能車考古学研究所 日本のソーラーカーチーム、ワークスの章 「紫紋」

Copyright Satoshi Maeda@Solar Car Archaeolgy Research Institute
太陽能車考古学研究所 2006.01.01