Solar Car Archaeorogy Research Institute

The Histrical Solar Car Museum
太陽能車考古学研究所 付属博物館



KYOCERA 2

関連ページ:太陽能車考古学研究所 ワークスの章 「京セラ株式会社−北見工業大学」

Solar Commuter Vehicle SCV-3


 平安の都を縦に貫く油小路通り、俗に新堀川通りとも呼ばれる道を南に進むと突然、現れる黒く背の高い建物。京都は景観保護の観点から高層建築を禁じているが、京都南部のこのあたりは規制が緩くなっているのだ。


 建物の南側に窓はない。巨大なグレーティングのように見えるのは、やや斜めに設置された太陽電池パネルだ。


ここは太陽電池メーカーでもある京セラ株式会社の本社。



エントランス前には前庭と小さなロータリー



エントランスホールからエレベーターで二階に上ると
そこが京セラ・ファインセラミック館



出迎えてくれるのは小柄なソーラーカー



Solar Commuter Vehicle SCV-3



解説文 拡大

 以下は、展示に付されている解説文である。


ソーラーカー
大気汚染をもたらすCO2等の排気ガスが一切出ない太陽電池式電気自動車SCVの研究開発を進め、クリーンな自動車社会をめざしています。

Solar vehicles
Aiming for a cleaner environment, Kyocera is active in R&D for solar-powered electric cars (SCVs), which do not exhaust CO2 into the atmosphere.
 京セラは、太陽電池の開発・事業化と平行して1988年から北見工大と共同でソーラーカーの開発が開始された。当時のプレス発表では実用化を目指すとし、他のワークスチームがレース用車両に特化する中で、レーシングカーとコミューターカーを、ほぼ平行して手がけていた京セラ−北見工大は異色であった。一時的なブームになったEV開発に重なった面はあるが、当時は、太陽電池、二次電池ともに未成熟で、実用化を謳うには次期尚早であった。ソーラーカー開発は1993年に創業社主の稲森和夫氏の指示で打ち切られている。


寸法  Dimensions  3.3m(L)x1.42m(H)x1.4m(W)
重量  Weight  548kg
最高速度  Max speed  100km/h
登坂性能  Gradabillity  30%
走行距離  Mileage  210km (蓄電池のみ・40km/h const.)
  Only battery
  250km (快晴時・40km/h const.)Fine day
  3500km/year (太陽エネルギー・15モード)
  Solar energy 15 Mode
太陽電池  Solar Cell  350W 多結晶シリコン太陽電池
  Multicrystal silicon solar cells
蓄電池  Strage battery  8.6kWh 密閉型ニッケル亜鉛
  Sealed No-Zn battery
モータ  Motor  6kW 弱め界滋式誘導モータ
  Induction motor
ドライバー  Driver  PWMインバータ制御 PWM inverter control
 500kg超は少々重すぎだが、1/3〜半分位バッテリーかと思われる。年間の走行距離が3500kmということは、一日あたり10kmしか走れないということを意味する。この車重に対して、太陽電池が350Wしかないので致し方ない。現実的にはコミューターとして用いるには、夜間電力や定置型太陽電池からの充電を合わせて、ということになろう。



フロントの太陽電池は多結晶シリコンセル



屋根にも、同じく多結晶シリコンセル

 

普通車風のタイヤが使われている前輪。カバーされていて真横からは見えないが後輪にも同じタイヤが使われている。車体は、片側の車輪が台に乗せられた少々不自然な形で展示されている。


床にワイヤで固定されているのだが、
500kgの車体を停めるには少々非力に見える。



コクピットも普通の自動車風で、鍵穴まである。

  

ステアリング・ハンドルとサイドブレーキは普通乗用車用。
電気系操作用と思われるスイッチ類はコンパクトにまとめられている。


リアウインドウから車内を覗く。シフトレバーは見当たらない。
2ドアの4人乗りを期待すると・・・・大間違い。リアの座敷になるべき
場所は、荷台である。中身はバッテリーに占領されているのだろう。



「SCV−3」のエンブレムもシールではなく凝っている



車体裏側は概ねカバーされている。換気口が二つ。



サスペンション全体を見ることは出来ないが、Aアームが
見えているところからするとダブルウイッシュボーン



軽自動車風ではあるが、ガソリンエンジン車とはフォルムが全く違う。
強いて云えば、iMiEVを想起させるスタイルである。車体製作は「紫紋」



SCV-3の隣に展示してあるのはセラミックガスタービン  回転部拡大



同 説明パネル  説明文拡大



(順路的には逆だが)ここからは京セラ製品の歴史

 

左:リボン結晶シリコン太陽電池(1975年頃)   右:多結晶シリコン太陽電池



アモルファスシリコン太陽電池とソーラー電卓(1980年頃)



多結晶シリコン太陽電池 d-blue(2001年頃)



多結晶シリコン太陽電池 変換効率17.7%(2004年頃)



多結晶シリコン太陽電池 変換効率18.6%(2006年頃)



定置用太陽電池パネル



太陽電池応用製品群のコーナー



右隅に隠れているのは・・・・・・・



トヨタ RaRa II のラジオコントロールモデル



角度を変えて、もう一枚



壁面にもミニチュアのソーラーカーが二台



こちらは田宮模型製の「京セラ・ブルーイーグル」



フォーミュラ風の太陽電池学習キット



ソーラーエネルギー応用商品の歴史

年表部分の拡大表示



最後にもういちど「SCV−3」の全景を
ボディ製作は紫紋が担当した。

 SCV−3は、1993年に、作家の立松和平氏が主催する「チーム知床」に貸与され、ソーラーチャレンジin北海道(北見市)に出場した。あいにくの雨天で、「京セラチーム」として出場した「Son of Sun I」ともども浸水トラブルでリタイヤとなった。


撮影   2009.04.00.
公開   2011.07.24.

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太陽能車考古学研究所 2006.01.01