Solar Car Archaeorogy Research Institute
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日本ソーラーカー史 第二巻

ソーラーチャレンジin北海道

Solar Challenge in HOKKAIDO

概要
開催日、主催者、開催地、競技内容
変遷
個別資料
  ソーラーチャレンジイン北海道
    第1回 1991年  第2回 1993年
    中 止 1995年  第3回 1997年
    第4回 1999年  第5回 2001年
    第6回 2003年  経 緯 2004年
  北見ソーラーカートレース大会
    第1回 2005年
    第2回 2007年
結果一覧表
参考資料

■■■ < 概要 > ■■■

 北見市は国内でも有数の日照率を誇り、寒冷な気候も相まって古くから北見工大を中心に活発な太陽エネルギー利用技術の開発が行われていた。1991年9月に行われた第1回大会は、北見市開基95年、市制50周年の記念イベントとして開催された「’91ソーラーフェスティバル・イン・オホーツク」のメインイベントと位置付けられ、日本最初の一般公道を使用したソーラーカーイベントとなった。

 二年後に開催された第2回も、一般公道を使用し、ほぼ第1回目を踏襲した形で開催されたが、1995年に予定されていた第3回大会は、警察当局が公道仕様を許可しなかったため中止された。

 1997年には、防災対策の一環として整備された常呂川河川敷管理道路の平常時の多目的利用という形で再開され、一周2.4kmの周回路を使ったレースが行われた。以後は隔年開催が定着, 1999年にはイベントの全国アピールのために福岡県柳川市から北見市までの公道をソーラーカーで走破するソーラーキャラバンが行われた。

 財政的には北見市からの補助金に頼る面が強く、地方行財政改革の一環で補助金が減額された際に見直しを行わざるを得ず、2003年を最後にソーラーカーレースは中止され、2005年からは小学生ソーラーカートレース大会に模様替えされた。

 地域活性化を目的とした「ふるさと創生事業」から生まれたソーラーカーイベントが、地方自治体の行財政改革の中で消えていくという無念な結末であった。


第1回ソーラーチャレンジin北海道にて
(1991.09.22.撮影 北海道自動車短期大学 山崎信行氏)

おそらく開会式直前の画像。正面に Hoxan Phoebus III 、その後ろに TOYOTA RaRaII。
いずれもレース参加リストには掲載されていないため、エキビジョン的な参加であると推定する。


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■■■ <開催年月日> ■■■

  ソーラーチャレンジイン北海道
    第1回 1991年 9月 20〜23日
    第2回 1993年 6月 24〜27日
    中 止 1995年 7月 22〜25日
    第3回 1997年 9月 19〜21日
    第4回 1999年 9月 10〜12日
    第5回 2001年 7月 20〜22日
    第6回 2003年 9月  5〜 7日
  北見ソーラーカートレース大会
    第1回 2005年 9月 10日
    第2回 2007年 9月 01日


■■■ < 主催者等 > ■■■

  第1〜2回
    主催:北見市、(株)北海道新聞社
    主幹:ソーラーフェスティバルインオホーツク組織委員会
    共催:日本経済新聞社
  第3〜6回
    主催:オホーツクソーラーエネルギ−開発推進機構(OSEDO)
       (株)北海道新聞社
    主幹:ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会


■■■ < 開催地、会場 > ■■■

  第1〜2回
    北海道北見市、北海道訓子府町
    導入路(4〜5km)と周回路(16.7km/周)を持つ公道を使用した特設コース

  第3〜6回
    北見市内常呂川河川敷(東4号朝日町〜東6号田端町)「香りゃんせ公園」を囲む
    特設長円形周回コ−ス 2.4q/周


■■■ <競技、審査方法> ■■■

  (1)耐久レース
     第1〜2回
      コース全域を、制限速度を守りつつ、指定された最終ゴール締め切り時間までに走行を完了すること。
     第3〜6回
      所定時間内の総周回数を競う。
  (2)最高速度コンテスト 所定区間内の最高速度、ないし0-400m所要時間。予選を兼ねる。
  (3)デザインコンテスト デザイン及び車両の独創性を審査する。


第1回ソーラーチャレンジin北海道にて
(1991.09.22.撮影 北海道自動車短期大学 山崎信行氏)


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■■■  < 変遷 >  ■■■


日本初の公道ソーラーカーレース (1991、1993)

 北見市は国内でも有数の日照率を誇り、寒冷な気候も相まって古くから北見工大の金山研究室等を中心に活発な太陽エネルギー利用技術の開発が行われていた。

 1991年9月に行われた第1回大会は、北見市開基95年、市制50周年の記念イベントとして開催された「’91ソーラーフェスティバル・イン・オホーツク」のメインイベントと位置付けられ、日本最初の一般公道を使用したソーラーカーイベントとなった。

 1993年に開催された第2回目も、ほぼ第1回目を踏襲した形で開催された。北見の看板である高い日照率を背景に、青い空の下で北海道の広大な大地を颯爽とソーラーカーが走るはずであったのだが、第1回、第2回共に雨に見舞われ、レース運営には色々と苦労があった模様である。浸水トラブルに泣いた参加車両も多く、ソーラーカーといえども雨対策が重要であることを先人達は強く胸に刻んだに違いない。大会関係者に余程の雨男がいたのだろう。

公道レース中止と河川敷特設コースを用いての再開 (1995、1997)

 1994年頃から、警察当局が一般公道を使用したソーラーカーイベントを許可しない方針に転換、当大会も例外扱いはされず、1995回に予定されていた第3回大会は中止に追い込まれた。

 1995年の阪神大震災を契機に、国レベルでの防災対策強化策の中で常呂川河川敷の整備が進められ、河川敷管理道路の平常時の多目的利用としてソーラーカーレースが取り上げられた。
 1997年には、北見工大の金山教授を中心とした産官学合同により、ソーラーカーの開発と、ソーラーカー大会の開催を主目的とするOSEDO:オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構が結成され、整備途上の北見市常呂川河川敷に特設されたコースを使ってのソーラーカーレースが再開され、以後は隔年開催されることになった。

ソーラーキャラバン、200wクラス新設 (1999)

 1999年にはソーラー都市「北見」のアピールとイベント前宣伝を兼ねて、プレイベントとして福岡市から北見市までをソーラーカーで走破するというソーラーキャラバンが行われた。キャラバンに用いられたソーラーカー「テルリン」は再輝チームの高崎氏が製作したもので、ミニカー扱いで北見市のナンバーを取得した。
 この時期(推定)車両規定に200wクラスが新設された。運搬コストが節約できる小型ソーラーカーの参加を認めることで、道外チームの参加を促す狙いがあったものと想像する。

市販車改造クラスの新設 (2001、2003)

 2001年からは市販車改造クラスが新設され、公道競技再開に向けた地道な試みが始められた。再開された1997年以後は北海道内のチームが主体ではあったが、2001年以後は朝日新聞系のイベントが中止された時期に重なり、道外からの参加チームも徐々に増えつつあった。

ソーラーカーレース中止、小学生ソーラーカートレースへの模様替え (2005〜)

 北見市行政からの補助金に頼っていた財政面は、今世紀に入ってからの地方交付税削減、地方自治体の行財政改革の影響をモロに受けた。2003年度にはソーラーカーレースは縮小され、小学生向けのソーラーカートレースが併催された。2004年の時点で主催団体が次回のソーラーカーレース中止を決め、2005年度からは北見市を中心とした小学生向けのソーラーカートレース大会に模様替えされた。



第2回ソーラーチャレンジin北海道にて
(1993.06.27撮影 北海道自動車短期大学 山崎信行氏)

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■■■ < 個別資料 > ■■■


1991年 第1回 ソーラーチャレンジin北海道

 北見市の開基95年、市制施行50年の記念事業と「ふるさと創生事業」として「ソーラーフェスティバル・イン・オホーツク」が開催され、その中で、太陽エネルギーに関するシンポジウム、エネルギー活用展、ソーラーカー競技「ソーラーチャレンジin北海道」が開催され、同時期に協賛行事として北見工大にて日本太陽エネルギー学会と日本風力エネルギー協会共催の合同研究会が行われた。 *1a)*1b)*1c) 開催にあたっては、オイルショック以前から太陽エネルギー利用について息長く研究を行ってきた北見工大の金山教授のグループの功績が大きいと思われる。

日程
  1991年 9月20日 車検、予選
        22日 10時〜タイムトライアル競技開始予定(雨天中止)
        23日 一日順延で実施された。

開催地
 北海道 北見市〜訓子府(くんねっぷ)町

競技内容
 (1)技術部門
 (2)タイムトライアル部門
   コース:
    北見工業団地をスタート点とする、導入路+周回コース
    全長56.4kmの一般道(市道、町道を閉鎖して大会に充てられた)
    周回コース内に追い越し区間、4.5kmの直線区間あり。
   競技内容:
    周回コースを4周し、コース内の足きりポイントまで指定する速度以下で走行し、
    かつ、指定時間内に到着するというラリー競技。
 (3)デザイン部門

クラス分け
   クラス I  クラス II 
車体サイズ5m(L)×1.8m(W)×1.0〜1.6m(H)6m(L)×2.0m(W)×1.0〜1.6m(H)
太陽電池サイズ6平方m未満6m×2m×1.6m以下の立方体以内
太陽電池容量480w以下、ただし乗員1名
増加で120w以内増設可
無制限
蓄電池容量 1kwh以内
乗車定員無制限

参加チーム、車両、結果  一覧表 1991   *1b)

 参加車両は、クラスIが17台、クラスIIが5台、合計22台
 全22台中、北海道内からの参加は8台であった。

 全長56.4kmの公道コースを使ったタイムトライアル競技(ラリー)は、当初22日に予定されていたが雨天にて翌23日に延期された。23日の天候も良好とは言い難く、当時は雨天時の走行を想定していなかったソーラーカーが多かったため、浸水による電装系のトラブルに泣いたチームが多かったようだ。1990年のWSCにも出場した京セラ・北見工大チームのブルーイーグルが総合優勝した。*1d) 参加車両の貴重なカラー画像を資料*1e)*1f)*1g)に見ることができる。

 全体記録は現在の所入手できていないため、極一部を除き、順位、デザイン部門の結果、特別賞等については不明。美濃ファミリーチームが優秀テクノロジー賞を獲得している。*1h)


第1回ソーラーチャレンジin北海道にて
(1991.09.22.撮影 北海道自動車短期大学 山崎信行氏)



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1993年 第2回 ソーラーチャレンジin北海道

 第2回大会は1993年の6月に開催された。梅雨が無いという北海道特有の気候を利用した絶妙の日程設定かと思われたが、残念な事にこの回も天候には恵まれず、雨の中での苦しいソーラーカーレースとなった。参加台数全35台は1991〜2003年まで続いたソーラーチャレンジイン北海道での最多参加台数となった。

開催地
  北海道北見市 訓子府町
  北見モイワスポーツワールド

主催
 ソーラーフェスティバルインオホーツク組織委員会

日程
   1993年6月24日(木)受付、搬入、ブリーフィング
      6月25日(金)車検
      6月26日(土)再車検、ソーラーカー製作技術発表会、開会式、ウエルカムパーティ
      6月27日(日)本競技、表彰、閉会式

競技内容
   クローズド(一般車両の通行を禁止)されたコース全域を、制限速度を守りつつ、
   指定された最終ゴール締め切り時間までに走行を完了すること。

  競技コース
   道道、北見モイワスポーツワールド付近の、下り最大6.0%、登り最大6.9%の
   高低差の多い丘陵地帯が続く全長74.948kmのコース

   導入路 片道4.25km
   周回路 16.7km/周

   (本大会当日雨天のため、周回路4周の予定を3周に短縮、58.288kmにて実施)

クラス
  クラス1 太陽電池出力 480w以下
  クラス2 太陽電池出力 800w以下
  クラス3 太陽電池出力 無制限

参加チーム、車両、結果、  一覧表 1993 *2a)

  参加車両全35台の内訳は以下の通り、
    クラス1 480w以下 17台
    クラス2 800w以下 12台
    クラス3 無制限     4台
    オープン参加       2台 

  北海道内からの参加は17台と、前回に比較して倍増している。

 第二回目となった1993年の大会も天候には恵まれなかった。レース中太陽は全く顔を出さず多くの車両が電欠でゴールにたどり着くことが出来なかった。チーム・ベルタデザイン-DDS編「ソーラーウイング'93総括」にはソーラーウイング号の本レースにおける電力収支表が残されているが、ソーラー入力の覧は全て「0」である。*2a) 北海道自動車短期大学サイトに掲載された画像には雨傘を差しながらスタートを見守る観客の姿を見ることが出来る。 *2d)
 アモルファスシリコン太陽電池を用いたソーラーカーにて参加したル・ソレイユのサイトには「レースの方は、雨、雨、雨。結局レース中 太陽は全く顔を出さず、バッテリーを使いきった北見号はゴールを通過することなくレースを終えたのである。」と、雨に祟られた無念さが記録されている。*2c) 
 テクノ北見21(北見工業技術センター)チームのサイトには「ソーラーカーレースとしての盛り上がりには欠けたものの、第1回に比較して参加者も増え、イベントとしては軌道に乗って定着へ向かうという期待を抱かせるものだった」*2b) と記録されている。北見工業技術センターは立場的には主催者の一員と云ってもよい位置づけではあるが、その点を差し引いたとしても前回に比較して参加チームが倍増した北海道勢の勢いが感じられる記述である。


第2回ソーラーチャレンジin北海道にて
(1993.06.27撮影 北海道自動車短期大学 山崎信行氏)

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1995年 (幻の第3回)

日程
  1995年7月22〜25日(予定)

結果
 1995年には第3回大会が開催される予定であった。前年より警察当局が、ソーラーカーレースへの公道使用を許可しない方針を打ち出し、国内だ最初に公道を使用したレースであった本大会も例外扱いはされず、中止になった。*3a)

 従来より、本イベントは
  (1)ソーラーチャレンジin北海道(ソーラーカーレース)
  (2)ソーラーエネルギーシンポジウム(ソーラー利用に関する講演会、パネルディスカッション)
  (3)ソーラークリエイティブin北見 (太陽電池パネルを装着したミニカー工作コンテスト)
 を3本柱とするソーラーエネルギー活用を啓蒙する総合イベント「ソーラーフェスティバルinオホーツク」として実施されてきた。メインイベントであるソーラーカーレースの中止はイベント存続に大きな影響を与えたと思われるが、北見に灯った火を絶やさまいという関係者の熱意にて「ソーラークリエイティブin北見」は継続された。*3b)


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1997年 ソーラーチャレンジイン北海道'97

 1995年の阪神大震災を契機に国レベルで防災対策の強化が打ち出され、その一環として、北見市常呂川河川敷に災害時緊急避難用管理通路の整備が計画された。この管理道路の平常時の多目的有効利用の一つとしてソーラーカーレースが浮上、93年次の大会関係者と北海道開発局 網走開発建設部の尽力により97年大会開催に向けての作業が開始された。*4a)

 元々第1回が北見市の市制50周年記念行事として企画されたために、イベント主体は北見市を中心とした「ソーラーフェスティバルインオホーツク組織委員会」が担っていた。1997年の再開に当たっては、4月に常呂川流域自治体を含むオホーツク地域市町村と連携したより産官学連携の大きな枠組みとして「OSEDO:オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構」が設立され、その中に「ソーラーチャレンジイン北海道'97実行委員会」が組織された。*4a)*4f) 前者は、名前こそ仰々しいが、実体はソーラーカーレース開催のためのバックアップ組織であり、後者はイベントの実行部隊という役割であったようだ。オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構の会長には北見工業大学の金山公夫教授、ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会の委員長には小川香潤氏が就任、準備期間は半年に満たなかったようだが、実行委員会メンバーには第1回、第2回大会の運営に参画した面々も多く、4年ぶりに北見でソーラーカーレースが開催された。

日程  *4a)
1997年9月19日(金)10:00〜 受付、車両搬入(〜20日15:00締切)
13:00〜 車両検査、最高速度テスト
      20日(土)13:00〜 デザインコンテスト
16:30〜 最高速度順位確定
17:30〜 ウエルカムパーティ
      21日(日)09:30〜 開会式
10:00〜11:00 1時間耐久レース 第1グループ
12:00〜13:00 1時間耐久レース 第2グループ
13:10〜 ソーラーカー(近畿通産局 川端氏提供)一般試乗
 ソーラーバイシクル(山脇氏提供)一般試乗
 ソーラーカートちびっこ試乗
13:40〜14:30 閉会式・成績発表・表彰式
開催地  *4a)
 北海道 北見市朝日町(東4号)〜田端町(東6号)の常呂川河川敷特設コース(楕円形、2.4km/周)

主催者等  *4a)
  主催 オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構
     株式会社北海道新聞社
  主管 ソーラーチャレンジイン北海道'97実行委員会
  後援 環境庁、北海道通商産業局、北海道運輸局、北海道開発局、
      新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
      北海道、日本太陽エネルギー学会、北海道市町村振興協会、訓子府町、北見市
  協賛 オホーツク21世紀を考える会 *4c)  他

競技種目  *4a)
   (1)耐久レース  1時間以内の総周回数を競う。
   (2)最高速度コンテスト  所定区間内の10mの走行速度を2回測定。
   (3)デザインコンテスト  デザイン、独創性を競う。

車両規定、クラス分け  *4a)

   車体サイズ       全長6m×全幅2m×全高1.6m 以内
   車輪数         3輪以上、6輪以下
   ソーラーパネルサイズ  前後4.4m、幅方向2m、総面積8平方m以内

   クラス 太陽電池出力  バッテリー種類  バッテリー容量
     A    480w以下     鉛    0.6kwh(1時間率)以下
     B    800w以下     鉛    0.5kwh(1時間率)以下
     C    無制限       無制限   0.5kwh(1時間率)以下

参加チーム、車両、結果、  一覧表 1997

  参加車両全22台の内訳は以下の通り、
    クラスA:480w以下 19台、
         19台中5台は近畿通商産業局「夢創」チームから車両を借用したオープン参加
    クラスB 800w以下  2台
    クラスC 無制限     1台

 1997年には、鈴鹿、秋田の二大イベントの他、朝日ソーラーカーラリー等のローカルイベントがほぼ定着しており、北見の大会に道外からの参加チーム減ってしまうと云う点は致し方ない。4年ぶりとなった本大会では、全参加車両数は22台と、前回から13台減となった。しかしながら、オープン参加を含む北海道内からの参加チーム数は1993年大会より1チーム増え18台となっている。裏を返せば、それだけ道内のソーラーカー愛好者からは再開が熱望されていたものと云えよう。また、この時期に道外から参加した美濃ファミリーチーム、ハマ零チーム、並びにオープン参加に車両を提供した「夢創」チームの義理堅さも特筆されよう。

 実施報告書に掲載された大会スナップ写真他によれば、第1日目の天候は雨。レース時には曇りで、時折太陽が顔を出したようだが、地上に写るソーラーカーの影は力無い。前二回に比較すればずいぶんとマシではあるが残念ながら、この回も天候には恵まれなかった。*4b)*4d)*4e)
 競技は参加車両を二つのグループに分けて、各々1時間というソーラーカーの耐久レースとしては少々物足りない内容であった。一般のソーラーカーレースに比較すると搭載バッテリー容量がかなり小さく設定されており、技術的にはエレクトリックカーの省エネレース的な意味合いが濃い。競技会場が縮小された訳ではあるが、一定時間での走行精度を競う公園ラリー形式ではなく、周回数を競うスピード競技=ソーラーカーの性能競技という形を残した点は評価できる。競技規定が時流に合わなくなっていた点は主催者側も認識しており *4a)、 翌1999年大会では競技内容が大幅に変更されることになった。

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1999年 第4回 ソーラーチャレンジイン北海道’99

 再開された「ソーラーチャレンジイン北海道」を北見を代表するイベントとして全国に発信しよう、という目的で、大会に先立ち、ソーラーカーによる全国縦断キャラバンが企画実行された。 *5b)*5c1-5)*5e)
 キャラバンのために再輝チームの高崎氏の手により製作された小型ソーラーカー「テルリン」は、福岡県柳川市から本州を経由して北見市までの一般公道2600kmを走りきり、ソーラーエネルギー利用の啓蒙と北見でのソーラーカーレース開催をアピールした。さらにテルリン号はレース当日に自由参加のデモカーとして使用され、神田孝次北見市長自らがレースカーに混じって競技コースを走行体験するなどロビー活動に貢献した。*5b)*5c1-5)

 日本初のソーラーカー公道レースを開催した土地柄として、大規模な公道レース再開への期待は高く、主催者側としては、市民との一体感を醸成するために、市内の主要道路を使用したパレードなども企画したようだが95年、97年に引き続きナンバー付き車両でなければ許可できないという警察当局の姿勢は堅く、実現されなかった。*5b)

 市民あげてのイベントに育てたいという関係者の祈りと、近隣の保育園、幼稚園、19園の園児が作った1200個のてるてる坊主が天に通じ、大会当日は天候に恵まれ、24500人の観客が観戦したと記録されている。 *5b) 実に4回目の大会にして、ようやく日照率日本一の北見市の面目を保ったのであった。

日程  *5b)*5c4)*5C5)
1999年  8月 01日 ソーラーキャラバン隊、柳川市を出発
 07日 ソーラーキャラバン隊、東京到着
 20日 ソーラーキャラバン隊、東京出発
 24日 ソーラーキャラバン隊、八戸市到着
1999年  9月 04日 ソーラーキャラバン隊、八戸市出発
 09日 ソーラーキャラバン隊、北見市到着
1999年  9月 10日 車検
10:00〜 最高速コンテスト
 11日10:00〜 ソーラーカー全国キャラバン
 ゴールインセレモニー
10:45〜 開会式
11:30〜13:30 Aクラス二時間耐久レース 第1ステージ
11:30〜14:30 BCクラス三時間耐久レース 第1ステージ
14:30〜 デザインコンテスト
 12日10:30〜12:30 Aクラス二時間耐久レース 第2ステージ
10:30〜13:30 BCクラス三時間耐久レース 第2ステージ
14:00〜 閉会式

開催地  *5a)*5b)*5c2)
 北海道 北見市朝日町(東4号)〜田端町(東6号)の常呂川河川敷特設コース(楕円形、2.4km/周)

主催者等  *5a)*5b)*5d)
  主催 オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構
     (株)北海道新聞社
  主管 ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会
  後援 環境庁、北海道通商産業局、北海道運輸局、北海道開発局、
      新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
      北海道、日本太陽エネルギー学会、
      リニューアブルエネルギー有効利用・普及促進機構
      北海道市町村振興協会、訓子府町、北見市
  協賛 オホーツク21世紀を考える会 *5d)  他

ソーラーキャラバン  *5b)*5c4)*5c5)*5i)
 大会に先立ち、ソーラーカーにより、福岡県柳川市から本州を縦断して北見市までの一般公道2200kmを、クリーンエネルギーの啓蒙と大会PRをしながらデモ走行するソーラーキャラバンが企画実行された。キャラバンに使用された公道走行可能なソーラーカー「テルリン号」の設計とメカ部製作は「再輝」チームの高崎氏、ボディは高崎氏から依頼された斉藤クラフトにより製作された。なおソーラーカーの名称は全国からの公募により選ばれた。*5f)
 キャラバンの実施要項経過ソーラーカー製作秘話等の詳細は公式サイトに紹介されている。

 テルリン号は道路交通法上は電動の「ミニカー」扱いで、ソーラーパネルの出力は85wと小さい。実際には複数の別途充電したバッテリーを積み替えながらの走行であったことがスナップ写真より解る。テルリン号と同時に高崎氏所有の「FA和興」の同型車も用いられた様子である。また北海道内に入ってからは MiNO Family Team の MiNO EV SPECiAL が併走している写真が残されている。

 なお、本ソーラーキャラバンについては全国青年市長会において2001年の第5回ソーラーチャレンジイン北海道と共に、北見市の特色ある施策として報告されている。*5j)

競技内容

 公式サイト、実施報告書共に詳しい内容が掲載されていないため詳細不明。
 結果から逆算するところによれば、1日目、2日目共に、Aクラスについては各2時間、BCクラスについては各3時間での周回数が計測され、二日間合計の周回数にて競われたものと考えられる。

クラス分け
 同じくレギュレーションが公開されていないので確定的ではないが、参加車両画像とクラス分けから判断して2001年と同等のクラス分けがなされた物と推察される。

参加チーム、車両、結果  一覧表 1999  *5b)*5c3)*5h)*5i)

 参加車両の内訳は以下の通りである。
    Aクラス(推定200w以下) 10台
    Bクラス(推定480w以下)  8台
    Cクラス(推定無制限)     4台

 台数的には22台と、前回と同じであるが、Open参加が無いため実質的な参加チーム数は増加している。北海道内からは15台と、前回の道内参加チーム数からOpen参加を除いたチーム数と大差なく、参加チームの実質純増分は道外からの参加が増えたことによるものである。

 200wクラスの新設は、運搬コストが節約できる小型ソーラーカーの参加を認めることで、道外チームの参加を促す狙いがあったものと想像する。

 Aクラスの上位2台はHAMA零チームの一美号と莢号、BCクラスの最高位が往年の名車「SON OF SUN(二号車)」を引っ張り出した北見工大チームであった。*5g)

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2001年 第5回 ソーラーチャレンジイン北海道’2001

 第5回大会は、香りゃんせ公園と命名された旧常呂川河川敷にて開催された。併催イベントとして太陽エネルギーを実際に体験するソーラークリエイティブin北見が同じく香りやんせ公園で開催された。*6d1)*6d2) また同日に同じく香りゃんせ公園にて「香りゃんせフェスティバル(旧ペパーミントフェスティバル)」も開催されている。*6b)

 今回からは新に市販改造車のSクラスが設けられ、将来的にナンバー取得車を用いた公道競技の開催へと繋げたいというイベント関係者の期待を感じることができる。開催にあたり100名のボランティアスタッフが募集された記録が残されている。ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会の委員長は滝沢秀樹氏(前事務局長)に交代した。 *6a1-4)

 本大会は、全国青年市長会において、北海道北見市の特色ある施策集「事業名 新エネルギー活用推進事業」として、
 ・全国各地から集まった30台のソーラーカーが市内パレードするなど大いに盛り上がり、
 ・市民あげてのホスピタリティあふれる大会として、北海道を代表するイベントに成長、
 ・今後も、この取り組みを軸として、環境に配慮したまちづくりを進めていく。
と紹介されている。 *6e1)*6e2)
 一方で、公式サイトには「北見市中心街において、予定していたソーラーカーパレードは、ナンバー取得車のみで実施することになりました。 *6a2)」とある。前回大会時の警察当局の対応から察するに、公式サイトの記述の方が事実と整合している物と考えられ、実際には多くて5台程度のパレードであったものと推定される。

日程  *6a1)*6a2)
2001年7月20日(金)08:00〜09:00 車輌搬入、受付
09:00〜11:00 テストラン、車検
11:00〜13:00 最高速度コンテスト
18:00〜21:00 ウェルカムパーティー
21日(土)09:15〜 アトラクション・出走式
10:00〜12:00 Aクラス耐久レース
10:00〜13:00 BCクラス耐久レース
13:30〜14:00 Sクラス耐久レース
14:30〜15:30 デザイン審査
16:00〜17:00 ソーラーカーパレード
22日(日)10:00〜10:30 Sクラス耐久レース
11:00〜13:00 Aクラス耐久レース
11:00〜14:00 BCクラス耐久レース
14:00〜14:30 表彰内容確認・アトラクション
14:30〜15:30 閉会式・表彰式
開催地  *6a3)
  北見市内常呂川河川敷(東4号朝日町〜東6号田端町)
  特設長円形周回コ−ス 1周2.4q

  開催地は従来と同じ場所であるが、一部の記述に「香りゃんせ公園の周囲2.4kmの特別コース」とあり、河川敷のハーブ公園としての整備が進み、「香りゃんせ公園」と名付けられたことが伺える。*6b)

主催等  *6a2)
  主催  オホーツクソーラーエネルギ−開発推進機構(OSEDO)
      (株)北海道新聞社
  主管  ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会
  協賛 オホーツク21世紀を考える会 *6c)  他

競技内容  *6a2)
   (1)耐久レ−ス        所定時間内の総周回数を競う。
   (2)最高速度コンテスト    所定区間内の最高速度を競う
   (3)デザインコンテスト    デザイン及び車両の独創性を審査する。

クラス  *6a2)
  Aクラス  太陽電池の発電量 200Wp以下
  Bクラス  太陽電池の発電量 480Wp以下
  Cクラス  太陽電池の発電量 無制限
  Sクラス  Aクラスの市販車両改造型
  搭載バッテリー:全クラス 1.2Kwh(1時間率)

  200wクラスの設定1999年からであろうと推定される。
  レギュレーション作成には山脇一氏が参画していた物と推定される(文体に氏特有の癖が認められる)。

参加チーム、車両、結果 一覧表 2001  *6a4)*6f)*6g)
  Aクラス12台
  Bクラス11台
  Cクラス 5台
  Sクラス 2台
 
 総参加台数30台、道外からの参加台数は9台であった。
 太陽電池出力200w以下のAクラス(小型部門)の上位は静岡県のハマ零チームの莢、一美の二台、福岡県の柳川ソーラーボートチーム名義で出場した再輝によって占められた。鈴鹿のエンジョイクラスに相当するBクラスでは、北見市役所のブルースカイチーム、前回は不調に終わった千歳科学技術大学チーム、第2回大会からの常連、くんねっぷソーラーカーを走らそう会といずれも北海道勢が占めた。大型の本格ソーラーカーCクラスのトップは北海道自動車短期大学のスリスVモデルU、周回数は前回を大幅に上回っている。
 市販車改造クラスであるSクラスには北見文化センターチームと青森県八戸工業高等学校定時制省エネ研究部チームが参加した。
 デザイン部門、特別賞に関しては公式サイトには記録されていない。

 競技内容は1999年と同じであるが周回数は大幅に増えている。参加各車両の改良による部分も当然あるわけだが、搭載バッテリー容量が前回の約2倍に増量されている点、ソーラーパネルからの電力以外に夜間のバッテリー充電が許可されている点が関係している物と考えられる。*6a2)

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2003年 第6回 ソーラーチャレンジイン北海道’2003

 第1回からイベントの中心的な存在であった北見工業大学の金山公夫名誉教授が勇退し、オホーツク新エネルギー開発推進機構の新会長には北見工業大学教授の高橋信夫氏、ソーラーチャレンジイン北海道実行委員会の新委員長には安部彰人(99年大会時の競技部長)氏が就任し、新体制での第6回開催となった。イベント期間は従来どおり3日間であるが、最終日は小学生によるソーラーカートレースとなっており、ソーラーカーレースは1.5時間×2ステージと縮小された。*7a1)*7a2)

 大会の約1.5ヶ月前にあたる2003年7月22日の北見市長の定例記者会見では今回のイベントが「ソーラーカーレース:ソーラーチャレンジin北海道」「小学生ソーラーカート・レース」、「エコエネルギー活用展」の3本柱からなる大会の説明を行っている。*7j)
 また、2004年度の北見市環境白書では、1991年から続く本大会の意義、2003年大会の様子とともに、併催された「小学生ソーラーカート・レース」、「エコエネルギー活用展」など、市民が参加できる催しにより大いに盛り上がったと報告されている。*7k)

 一方で、地方交付税削減により地方自治体の行財政改革が進められており、北見市に於いても2002年の事務事業改善提案の中でオホ−ツクソ−ラ−エネルギ−開発推進機構と北見地域太陽エネルギ−活用推進協議会が、内容が近いという理由で統合すべきとの答申が出されていた。*7l)
 2003年度の北見市の事務事業評価における本イベントの位置づけは「改善が考えられるもの」となっており、次年度からの補助金の7割カットが決定され、イベント内容についても、より一層の市民参加の拡大が求められた。*7m)

 以上がソーラーカーレースが縮小され、小学生ソーラーカートレースが取り入れられた背景である。


日程
2003年9月5日(金)08:00〜11:00 車検
13:00〜15:00 予選(0−400mタイム測定)
16:00〜 ウエルカムパーティ
6日(土)09:00〜10:30 ABCクラス1.5時間耐久レース第1ステージ
13:10〜13:40 Sクラス30分耐久レース
14:00〜15:30 ABCクラス1.5時間耐久レース第2ステージ
16:00〜 表彰式
7日(日) 小学生チームによるソーラーカートレース
場所
  北見市内常呂川河川敷(東4号朝日町〜東6号田端町)
  特設長円形周回コ−ス 1周2.4q

主催者等
  主催 オホーツク新エネルギ−開発推進機構(ONEDO)
     (株)北海道新聞社
  主管 ソーラーチャレンジ・イン・北海道実行委員会

クラス
  Aクラス  太陽電池の発電量 200Wp以下
  Bクラス  太陽電池の発電量 480Wp以下
  Cクラス  太陽電池の発電量 無制限
  Sクラス  Aクラスの市販車両改造型
  搭載バッテリー:全クラス 1.2Kwh(1時間率)

 Aクラスについては蓄電池を分割して搭載することができ、レース中1回のみ交換することができる。

競技種目
  ABCクラス    予選  0〜400mの所要時間決定
   本戦  1.5時間耐久レース×2セット(午前、午後)
       1.5時間での周回数を競う。
     午前の部終了後午後の部開始までの間(レギュレーションでは3時間、
     実際には3.5時間の間は自車ソーラーパネルからの充電可)

  Sクラス
   予選  0〜400mの所要時間
   本戦  30分間耐久レース
       30分間での周回数を競う。
 
参加チーム、車両、結果 一覧表2003
  Aクラス  9台
  Bクラス  9台
  Cクラス  4台
  Sクラス  4台
 全26台、道外からの参加は10台であった。

http://www.haec.ac.jp/Solarcar/sch.htm
 レースの様子については北海道自動車短期大学のサイトに短いながらも緊迫感のあるレポートが残されている。  予選で好位置につけた日本工学院北海道専門学校の「SOUTEC-3」はモータートラブルでスタートすることが出来ずリタイヤ。曇天のため各チームとも、バッテリー残量を気にしながらの我慢のレース展開の中、発電量に勝るCクラスの北海道自動車短期大学のスリスVIがリードしていたが、第2ステージ終盤に、同じく1ラップ差で追っていた、くんねっぷソーラーカーを走らそう会の「大地くん」と接触事故を起こし、両車とも順位を落とした。結局、北見最後のレースの総合優勝を飾ったのは、昨年のAクラスから本来のBクラス480w仕様に戻し、1ステージ、2ステージとも変わらぬペースで周回数を重ねた往年の名車、HAMA零チームの「一美号」であった。*7g)*7n)

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2004年 ソーラーカーレース中止
ソーラーカートレース大会への模様替え

 2002年度から財政的な締め付けが始まり、2003年度の北見市の事務事業評価において、次年度より補助金の大幅減額が決定され、よりいっそうの市民参加が求められた事については先に述べたとおりである。

 2004年の事務事業改善提では、さらに厳しく、
オホーツク新エネルギー開発推進機構の在り方について
 「これまでの普及啓発イベント主体から、研究・調査、具体的新エネルギー導入プロジェクトの企画・立案などにシフト」すること、
ソーラー工作教室についても
 「環境啓発事業、社会教育事業との統合を検討すること。」とされており、さらに
ソーラーカーレース「ソーラーチャレンジイン北海道」そのものについても、
「啓発事業として、一定の役割を果たした。事業の継続について、縮小、代替、中止なども含めて抜本的見直しが必要。」と断じられている。*8a)

 2003年大会に取り入れられた小学生ソーラーカートレースも、この方向性を探るために導入されたものであった。結果的には2005年大会に於いてはソーラーカーレースは中止され、小学生ソーラーカートレースのみが実施されることになり、ソーラーチャレンジin北海道は2003年大会を最後に幕を閉じることになった。表向きの中止理由は観客、参加チームの減少ということになっているが、実際の理由は北見市行政からの補助金カットであると考えて良いであろう。*8b)

 全国的に見れば、朝日ソーラーカーレース、朝日ソーラーカーラリーが中止される状況の中で、これまで地理的な問題のために出場に二の足を踏んでいた道外のチームが、出場に向けて検討を始めていた時期だけに中止の決定が何とも惜しまれる。

 「部外者が何を」という誹りを恐れずに云うならば、主催団体であるオホーツクソーラーエネルギー開発推進機構設立の際には、北見市だけでなく、常呂川流域自治体を含むオホーツク地域市町村と連携した枠組みが設定されていたわけであるが、財政的に北見市に依存していた体制から脱皮できず、北海道内から多くのチームの参加があるにもかかわらず、「北見市民の参加」という狭視野的な価値観が優先された点を非常に残念に感じる次第である。

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2005年 北見「ソーラーカートレース大会」

 2004年11月、オホーツク新エネルギー開発推進機構は来年以降のソーラーカーレースを中止し、市民参加型イベントへの転換を決定した。表向きの理由は参加者、観客の減少であるが、本質的には行政補助の減額によるところが大きいと思われる。新イベントの大会経費として計上された金額は、減額後の補助金額にほぼ等しい。経済的バックアップを北見市行政一本に頼る主催団体としては苦渋の選択であったものと想像する。

 滋賀県の立命館大学チームは1999年から参加要請を受けており、2005年には初参加をと準備を進めていたが、残念ながら彼らのソーラーカーが北海道の地を走ることは無かった。筆者の知る例はこの一例だけであるが、2003年に朝日ソーラーカーラリーが中止された以後の時期でもあり、相当のチームが参加検討を行っていた物と想像する。

 新イベントとなる「ソーラーカートレース」は、2003年度に市内から公募した16チームにより行われたイベントを発展させたもので、2005年には全国から28チームが募集された。応募チーム多数の場合には合併により(新)北見市となる地域からの応募を優先させるとの但し書きが付されている。レースに用いられるソーラーカートは主催者側が準備し、小学5、6年生5人(身長140cm以上)でつくるチームにより1周約2`のコースを1人1周、チームで5周し、速さが競われた。

日程
   2005.09.10(土)

場所
  香りゃんせ公園 周回2kmコース

主催者等
  主催  オホーツク新エネルギー開発推進機構(ONEDO)
  共催  端野町 常呂町 留辺蘂町 北見市
  後援  北海道開発局網走開発建設部 北海道網走支庁
  主管  ソーラーエネルギー実行委員会

参加チーム、結果  *9a1)*9a2)*9b)
  参加チーム数  25チーム
  結果
      優勝   TEAM K
      準優勝  マイケルーズ
      3位   勝山ヤセイジ
      4位   端野剣道ベースボールBOYS

 小学生主体のイベントは、直接の参加者に加え参加者の保護者が集まるため、見かけの動員数を増やすことが容易である。しかしながら波及効果は地域限定され、全国的なレベルでの広報効果は低下する。ブームが過ぎたとはいえ、全国から参加チームが集まるソーラーカーレースの方が全国版でのニュース価値は高いだろう。

 子供の理科離れが進み、理工学系学生の学力低下が嘆かれ、物作り大国日本は大きな危機を迎えている。本イベントでソーラーに触れた小学生が科学の心を育てていってくれることを望む。

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2007年 第2回北見「ソーラーカートレース大会」

日程
   2007.09.01(土)   *12c)

場所
  香りゃんせ公園 周回1.4km特設コース   *12c)

主催者等
  主催 オホーツク新エネルギー開発推進機構(ONEDO)
  後援 北海道開発局網走開発建設部、北海道網走支庁、北見市教育委員会、北見市
  主管 ソーラーエネルギー実行委員会

参加資格  *12a) *12b)
  北見市を中心とする近隣の小学4〜6年生

参加チーム、結果  *12a) *12b)
  参加チーム数  27チーム
  結果
    優勝 美幌K2Oジュニアーズ
    準優勝 ときわファイターズA
    3位 三輪ファイターズ☆[スター]

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参考資料

1991

*1a) 読売新聞社編,「電気自動車の時代」,p.202,1991.12.24.
*1b) 後藤公司(Kouji Gotoh)著,「ソーラーカー」日刊工業新聞社,1992.02.29
*1c) 平成16年度版 北見市環境白書
   http://www.city.kitami.lg.jp/kankyo/h16hakusho/h16evr.html
   http://www.city.kitami.lg.jp/kankyo/h16hakusho/chapter13.html
*1d) 掲載紙 中日 掲載日 1991年9月26日
*1e) http://www.kitami-itc.or.jp/techno21/page_5.htm
*1f) 木下電機 http://www.kdenki.com/divelop/jikkenn2.htm
   http://www.kdenki.com/divelop/jikkenn2/ohotuku.jpg
*1g) http://www.haec.ac.jp/Solarcar/solar91.htm
*1h) http://www2.ocn.ne.jp/~ikuho/mino02.html

1993

*2a) ソーラーチャレンジイン北海道'93,"ソーラーウイング'93総括", チームベルタデザイン-DDS,1993.12.
*2b) http://www.kitami-itc.or.jp/techno21/page_5.htm
*2c) ルソレイユ http://www.bekkoame.ne.jp/~soleil/soleilpas_j.html
*2d) http://www.haec.ac.jp/Solarcar/solar93.htm
*2e) ソネットシステムズNo.55(1993 Summer), p.93, ソーラーシステム研究所, 1993.07.30.

1995

*3a) http://www.motobayashi.net/8j-station/tokubetsu_s.html
*3b) ソーラーチャレンジイン北海道'97実施報告書, オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構,1997.(立命館大学EV-Racing提供)

1997

*4a) ソーラーチャレンジイン北海道'97実施報告書, オホーツクソーラーエネルギー開発推進機構,1997.(立命館大学EV-Racing提供)
*4b) http://www.hiroaki.knc.ne.jp/solar97.htm 閉鎖中
*4c) http://www.ok21.or.jp/    http://www.ok21.or.jp/ivent.html
*4d) http://www.kitami-itc.or.jp/techno21/page_5.htm
*4e) http://www.muratasystem.or.jp/~OK-2KEN/solar.html
*4f) 1999年6月 通巻216号掲載 太陽エネルギーの研究 株式会社アイワード http://www.iword.co.jp/iword/k99_06.html
*4g) http://k-mint.okhotsk.or.jp/users/kaori/page/4.html

1999

*5a) ソーラーチャレンジイン北海道'99公式リーフレット(出場車募集),1999.
*5b) ソーラーキャラバン、ソーラーチャレンジイン北海道1999実施報告書
*5c1) http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/index.html
*5c2) http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/course.html
*5c3) http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/challenge.htm
*5c4) http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/caravan.html
*5c5) http://www.kitami-itc.or.jp/solarcar/keika.htm
*5d) http://www.ok21.or.jp/ http://www.ok21.or.jp/ivent.html
*5e) 1999年6月 通巻216号掲載 太陽エネルギーの研究 株式会社アイワード http://www.iword.co.jp/iword/k99_06.html
*5f) http://www3.coara.or.jp/REPORT/1999/08/0802solarcar/
*5g) http://www.kyocera.co.jp/news/2002/0508.html
*5h) http://www.kitami-itc.or.jp/techno21/page_5.htm
*5i) キャラバンとレースの画像 http://www.haec.ac.jp/Solarcar/solar99.htm
*5j) http://www.pear.ne.jp/seinensityokai/sesaku15/kitami.html

2001

*6a1) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2001/index.html
*6a2) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2001/kaisai.html
*6a3) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2001/course.html
*6a4) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2001/challenge.htm
*6b) http://k-mint.okhotsk.or.jp/users/kaori/page/7.html
*6c) http://www.ok21.or.jp/ivent.html
*6d1) http://www.reunion.kitami-it.ac.jp/index.html 北見工業大学同窓会
*6d2) http://www.reunion.kitami-it.ac.jp/info2_2001.htm 北見支部だより
*6e1) http://www.pear.ne.jp/seinensityokai/right.html 全国青年市長会
*6e2) http://www.pear.ne.jp/seinensityokai/sesaku15/kitami.html  特色ある施策集
*6f) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2001/volunteer.htm
*6g) http://www.haec.ac.jp/Solarcar/solar01.htm

2003

*7a1) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2003/index.html
*7a2) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2003/2003regulation.htm
*7a3) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2003/course.htm
*7a4) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2003/challenge.htm
*7a5) http://www.kitami-itc.or.jp/solar2003/kartrace.files/frame.htm
*7b) http://www.city.kitami.lg.jp/shogyo/solar/solar.htm
*7c) http://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/teireikai/810/810_015.pdf
*7d) http://www.city.kitami.lg.jp/540-01/solarteam.pdf
   ソーラーチャレンジイン北海道2003ソーラーカーレース出場チーム一覧 (PDF)
*7e) http://www.ikeda-th.ed.jp/topics/topics.htm  長野県立池田工業高等学校
*7f) http://www.zdp.co.jp/2003/2003summer1.html
*7g) http://www.haec.ac.jp/Solarcar/solar03.htm
*7h) http://www.haec.ac.jp/Solarcar/sch.htm
*7i) http://www.nedo.go.jp/nedohokkaido/konna/report/sora2003.html 大会の様子 カート画像
*7j) http://www.city.kitami.lg.jp/540-01/540-07-200307.htm 市長記者会見内容
*7k) 平成16年度版 北見市環境白書
   http://www.city.kitami.lg.jp/kankyo/h16hakusho/h16evr.html
   http://www.city.kitami.lg.jp/kankyo/h16hakusho/chapter13.html
*7l) http://www.city.kitami.lg.jp/gyozai/itiran14-2.htm
*7m) http://www.city.kitami.lg.jp/gyosei/15nen/itiran15-2.htm 平成15年 北見市の行政評価について
*7n) INFORMATION,NEDOニュース北海道,vol.41,新エネルギー・産業技術総合開発機構北海道支部,2003.09.26.

2004

*8a) http://www.city.kitami.lg.jp/gyosei/16nen/16kaizenteianitiran.pdf
   平成16年度 事務事業改善提案一覧
*8b) http://matuszawa.que.ne.jp/1005j.html
   Sapporo Hinode Sky ソーラーカーレース中止

2005

*9a1) http://www.city.kitami.lg.jp/sanshin/solar01/solar01.htm
*9a2) http://www.city.kitami.lg.jp/sanshin/solar01/kart2005/kekka.htm
*9b) http://www.city.kitami.lg.jp/sangyo/solar2005/050530.htm
   閉鎖中 「2005ソーラーカート・レース大会」
*9c) http://msdemo.mediasite.co.jp/Mediasite/Viewer/FrontEnd/Front.aspx?cid=0247ddab-c3ea-4bc7-9e5f-87ca173f8be0&shouldResize=False 2005 ソーラーカート・レース大会
*9d) http://www.denshobato.com/
*9e) http://k-mint.okhotsk.or.jp/cgi-bin/new/hato/news_view2.pl
   北見「ソーラーカートレース大会」9月10日

全般

*10) 金倉忠之, 北見市の産業構造特性と地域産業の可能性, p56, 北見工業大学研究報告, vol.34.No.1(2002年9月)
   http://www.lib.kitami-it.ac.jp/kenpo/34_1/kenpo34_1_11.pdf
*11) カメラハウス<ビデオ・DVD アーカイブ VP番組制作>
   http://www.camerahouse.tv/data.html
   全国縦断ソーラーカーキャラバン (ソーラーチャレンジ in 北海道 実行委員会)
   ソーラーチャレンジ in 北海道’97
   ソーラーチャレンジ in 北海道’2001「太陽の恵みで走る未来の車」

2007

*12a) http://www.city.kitami.lg.jp/sanshin/solar2007/070822.htm
*12b) http://www.city.kitami.lg.jp/sanshin/solar2007/kekka.htm
*12c) http://dairock.blog102.fc2.com/blog-entry-162.html

第一稿  2006.07.27.
第二稿  2007.01.02.
文献追加 2007.01.07.
文献追加 2007.04.14.
HAEC山崎氏提供画像追加、2007年ソーラーカートレース追記 2007.09.11.

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太陽能車考古学研究所 2006.01.01