The Place in the Sun

三文楽士の休日

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP MYNAVI SOLAR CAR RACE SUZUKA 2014

2014鈴鹿編 「継承される夢」

2014 SUZUKA / THE GENOME OF THE DREAM CUP


§1 「受け継がれる発動機ココロ

Section 1 "The inherited mechanical heart"


2014年05月01日 滋賀県某所

 サンレイクガレージでは新しいモーターのマウント方法について議論が続いていた。

 カレンダーを80日ほど戻そう。

2014年02月13日

 父の葬儀を終え、役所やら銀行やらの事務処理に頭を抱えながら数日ぶりに職場に顔を出して、たまっていた雑事を片付け、さらに週末には日野ウインドアンサンブルの定期演奏会(自作アレンジのASFJを指揮するので休めない)という、個人的には、なかなかハードなシチュエーションに届いた一通の電子メール。TEAM SUNSEALS(通称:アザラシチーム)の糸井さんからのチーム活動休止のお知らせであった。活動に使っていた倉庫の立ち退きを迫られており、ソーラーカーを解体した機材を保管する場所が無くなるので引き取って貰えないか?とのリクエストである。

2014年02月22日 大阪府内某所



 すぐにでも、ということなのでワゴン車でSUNSEALS本拠のある大阪港に向かった。彼らのソーラーカー製作中には何度かお邪魔したところだ。



SUNSEALSの本拠は船舶用造水機をルーツとする水処理関係の企業。

 TEAM SUNSEALSの本拠は「株式会社ササクラ」。SUNLAKEと同じ企業内のクラブチームである。チーム結成は1993年、ソーラーカーレース鈴鹿の誕生と同時期とのこと。実に18年にもおよぶ準備と積み立てを経て2010年、最後の「ドリームカップ鈴鹿」にてデビュー。試走会では最初の一周を待たずにシケインでコースアウトして車両大破に至ったが、本戦には修理して復帰してきた。車両製作には SOFIX DESIGN の大藪氏が自ら付きっきりで手伝ったとのこと。実質的に2013年には活動停止していたようだが、このたびチームを立ち上げた大ボスの神成氏(アザラシオヤジ氏)が会社を引退し、中近東にある関連会社に移るのを機に、ソーラーカーを解体しチーム解散に至ったとのこと。



この髭があれば、中近東でも問題なくやって行かれることでしょう。



お譲り頂いた機材一式、決して無駄にはいたしません。
必ず魂を入れて、再び大地を走らせます。



SUNSEALSの発動機(ココロ)、確かにお受け取り致しました。

 

しかし・・・・・・大阪港という立地で、長らく保管されていた
モーターには、かなりのダメージ。はたして使えるのか?


2014年05月01日 再びカレンダーを戻して滋賀県某所、サンレイク秘密基地

 以上が新モーターの経緯である。ともかくこのモーターを車体に取り付けて様子を確かめたい。モーター自体は、ミツバさんの手でオーバーホール兼改造済み(逆回転仕様)で、錆び付いた部品は取り替えられ、外装もキレイに塗装されてはいる。ところが、取り替えが思っていたほど簡単では無い。機械的互換性が無いのである。

 困ったのはモーターセンター部分の構造の違いである。

 SUNLAKEの後輪構造は、後輪には比較的珍しいダブルウイッシュボーン型だ。M1596では、センターの固定子部分に貫通シャフトを通し、モーター左側をフレキシブルに取り付け、モーター右側のシャフト中心と車体との間をつないだロッドの長さでアライメントを調整する構造である。調整の自由度は非常に大きく、そのため怪しい寸法で基準面すらはっきりしない手作りのシャーシであっても、高精度なアライメント調整が可能である(パラメータが多すぎて物凄く面倒くさいが)。

 ところが、M2096のモーター右側のセンター部分は回転子側であって、そもそもセンターにシャフトを通すような貫通孔が無いのである。本来、モーター左側だけで支持できるリジッドな片持ち構造で十分なのだが、元々、そういう風には作ってないので左側だけではモーターを支えられないのである。

  

あーでもない、こーでもない、と試行錯誤

2014年05月06日 滋賀県某所

 GW三日間を費やしたケンケンガクガクの議論と試行錯誤の末に辿り着いたのがこの図面。



軸付きロックリング

2014年05月15日 滋賀県某所

 モーター右側に位置するホイールロックリングの中央にベアリングを仕込み、あたかもセンターシャフトが飛び出ているようにする軸付きロックリングを用いたマウント手法。ベアリングの転がり抵抗分がロスになるため消費エネルギー的に最良の選択とは云えないが、従来と同じアライメント調整ノウハウが活かせるというメンテナンス性の良さを優先させることにした。

 

特製センター軸付きロックリングを用いた後輪マウント

2014年05月24日 滋賀県某所

 久々に高橋ドライバーが作業に参加。日本と中国の往復が日常化しているので、なかなか予定があわないのである。高橋が乗り組み試走してみるが・・・・・今ひとつ回転にスムースさが無い。こんなもんなのか???と悩んでいるまもなく来週があけると鈴鹿試走会である。

2014年05月31日 滋賀県某所

 試走会に向け、ユニック車へのソーラーカー積み込み作業。

 僕は前日から東京詰め、さらにその足で新潟へ。僕のアレンジ作(ASFJ)を柏崎市民吹奏楽団が演奏してくれるというので聞かせて頂き、日本海回りで帰ることに。と、いうことでこの日の作業と積み込みには欠席。代わりに東京から週末敦賀詰めだった平澤監督が参加した。


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2014鈴鹿編 「継承される夢」

公開  2014.08.18.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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