The Place in the Sun

三文楽士の休日

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2010

2010鈴鹿 予告編



ソーラー日記 2010 冬:製作講習会〜春 

2010年1月21日 滋賀県某所 太陽能車考古学研究所

 出勤前の慌ただしい朝食の最中、不意に視界にソーラーカーが飛び込んできた。


 GGC2009での東海大チャレンジャー号優勝を特集する番組予告だった。とっさに僕が手にしていたのはビデオレコーダーのリモコンではなくデジタルカメラ・・・・・・・・だった。

 

まずは1993年以来、日本勢が優勝から遠ざかっているという下りで、
ホンダ・ドリーム(2代目)が登場。 監督は現ISFジャパンの岩田さん
1996年にもホンダが二人乗り4輪車で優勝しているのですけれど・・・・・・

NHKともあろう者が・・・・・情報の質が落ちたなあ・・・・・。

 

場面変わって、嬉しそうにシャープから届いた段ボール箱を開抱するキムヒデ氏
中身は特製太陽電池。製作風景はすっとばして、完成した東海チャレンジャー号

 

ライバルの強豪チームがトラブルに見舞われる中・・・・・
 左:豪州オーロラ・チーム 後輪バースト。
 右は突発的にコースアウトしたベルギーのユミコア・チーム



 ここまで無惨にクラッシュしたソーラーカーは見たことがない。少々解りにくいが、
画面左側が後尾。画面左斜め下に後輪のホイールらしいパーツが見える。
右前輪はもぎ取られている。ハブは見当たらない、アームはかなり華奢だ。


 先の場面の反対側と思われる画像。左前輪のホイール中央部がクシャクシャになっている。画面後方に見えるのは恐らく車体のアッパー部分。

 公式には「突風(ウィリーウィリー)に煽られた。」ということになっており、NHKでもそのように伝えられていたが、Youtubeにアップされていた動画で見る限り、車体が風に煽られた様には見えない。車体は浮き上がることなく、突然、右にはじき飛ばされるように逸れて、そのまま道路脇の林に突っ込んでいる。路上には、くっきりとタイヤの跡が残されており、接地していたことは明らかだ。

 おそらくは、時速100km近い速度での走行中に、前輪片側に異変が生じ、操舵機能を失ってコースアウトしたのであろう。本件については多くのベテランソーラーカードライバーの方々や後日NUONチームメンバーとも話したが、皆、同じ意見であった。

 2008年秋に見たユミコアチームの前車両(WSC2007で2位)のシャーシは、直径40〜50mmφのアルミパイプで組まれたスペースフレームで、相当に骨太な印象だった。恐らく優勝を狙って、極端な軽量化に走ったのだろう。
 

一度は行きたいな。憧れの豪州大陸


2010年2月12日 大阪府内某所

 

明日のプレゼン資料がまだ未完成だというのに



こういうメンバーで「お好み」大パーティである。

 日付が変わりそうな頃にホテルに戻り、酔いを覚ましながら明け方まで作業・・・・・さらに財布を紛失というおまけ付き(無事帰ってきました。)ソーラーカーが絡んでいる限りこの呪縛からは逃げられないのだろうか・・・・・。そもそも、パーティではなく電動二輪レーシングチームの作戦会議だったはずなのだが、何が、どう決められたのか、誰も覚えていなかった。


2009年2月13日 芦屋大学

 事の発端は、昨秋に届いた芦屋大学の盛谷先生からの一通の電子メールだった。内容は「講師引き受けの礼状」。「え!? 何?? 何か引き受けたっけ???」
 メール宛先にあった当チームの某監督に問い合わせると「製作講習会の講演を頼まれたので引き受けておいた。」との返事。おいおい・・・・・名誉な事なので断りはしないけれど。

「で、原稿締め切りは?」
「例年、キムヒデ氏は箱根駅伝見ながら書いてるらしいから、それくらいでいいんじゃない?」

 当時、既に年末年始に何とか片づけようと大量の仕事を抱え込んでいた僕は、殺人的スケジュールに埋没することになってしまった。

 ともあれ、1年ぶりに訪れた芦屋大学。



例年ロービーで出迎えてくれるTIGAがショーケースに



御近所には2号車のショーケース



裏に回ると大きな定盤。きっと車体はここで組み立てられたのだろう
 

ロビーに回ると、出迎えてくれたのは4号車QUADと、ソーラーカート達だった。

さて、今日の催しは、正式にはこちらである。


日本太陽エネルギー学会 事業委員会
電気自動車・燃料電池車・ソーラーカー製作講習会(西日本)
−エコ電気自動車の性能向上のための技術を学ぶ−
主 催:日本太陽エネルギー学会,芦屋大学
特別後援:クリーン・エナジー・アライアンス
後援(予定):読売新聞社,日本自動車連盟,モビリティランド,CAR GRAPHIC,
日本自動車研究所,国際ソーラーカー連盟,
日本環境エネルギー協議会,兵庫県教育委員会
日 時:平成22年2月13日(土) 10:00〜17:00
会 場:芦屋大学本館国際会議場 (〒659-8511 兵庫県芦屋市六麓荘町13-22)

講習プログラム (講演者敬称略,内容が変更される場合もあります.)
「講習会開催にあたって」 中川邦夫 (芦屋大学)
「新型ソーラーカー”Tokai Challenger”の開発 (機械編)」 池上敦哉 (ヤマハ発動機)
「ソーラーカー・ボディ形状の進化と ユニセクシュアル・ファブリケーションによるボディの製作」 平澤富士男・前田郷司 (Team Sunlake)
「Team MAXSPEEDの挑戦」 西川宜伸・蔵城剛憲・内海考司 (Team MAXSPEED)
「オリンピアクラスソーラーカーの製作と考え方」 三瀬剛 (芦屋大学)
「新型ソーラーカー”Tokai Challenger”の開発 (電気編)」 木村英樹 (東海大学)
「ソーラーカー競技会の今後について」 *** 公開討論 ***

 

聴講者は100名超というところか、



最初は池上氏による東海チャレンジャーの機械系についての講演

 

神様が設計しても、座席角度の制限が入ると、やっぱりハラボテ。


 次はサンレイク。おそらくは元も多様なボディ数を鈴鹿で走らせた実績のあるチームと云えよう。歴代車両のそれぞれの特徴と、消費エネルギー低減の歴史、独特の車体製作手法、さらに主催者であるキムヒデ氏のリクエストでFRPの入門的な解説を加えた内容を紹介した。

特設コーナー

ソーラーカー・ボディ形状の進化と
ユニセクシュアル・ファブリケーションによるボディの製作」

HTML版  PDF版  講演スライド前半  講演スライド後半

 昼食後は昨年鈴鹿、チャレンジクラスで優勝したマックススピード。

 

エネルギーマネジメント開始が2006年からというのは意外。
プロカメラマンの視線でのソーラーカー撮影講座がユニーク。

続いて芦屋大学の三瀬氏による芦屋スカイエース4号車になる「QUAD」誕生秘話の紹介



ベースは尼崎工業高校の「青いTIGA」だったんですねえ。



講演の最後はキムヒデ氏による東海チャレンジャー電気系とレース展開の解説


 雲に捕まった際、他チームがペースを落とす中で、逆にペースアップした判断を「NHKでは単にイケイケで行った」みたいに放送されちゃったが、ホントは雲の切れ間があることを解ってたんですよ。



最後は、ソーラーカーレースの今後についての公開討論会

ご興味ある方は傍聴記をどうぞ


2010年3月某日 東京ビッグサイト

 毎度お馴染み東京ビッグサイト



天気は絶好の太陽光発電日和



それそのはず、今日は「PV EXPO 2010」が開催されているのである。



真っ先に向かったのはシャープのブース



目当ては勿論これ「東海チャレンジャー」



スタイリッシュな角度



東海チャレンジャー・スペック



ほぼ真横から ポールが邪魔だな・・・・・



右斜め前方から



コクピットの中にはGGC特別ナンバープレート
「ヤマハ」もクレジットされているのは池上氏の参画以外にもあるのかな?



後輪スパッツ部分。タイヤはミシュラン製



前輪スパッツにはスポンサーの数々



シャープ製の特製セル 拡大



真正面から撮りたいがポールが邪魔



ポールを避けると近すぎる。ボディ表面は「顔が映るくらい」のきれいな仕上げ



ほぼ真後ろから。お尻が小さい人しか乗車できんなあ。



シャープ製の特別製セルの変換効率は30%



特大の展示パネル 説明文拡大



豪州大陸を走行中



ゴールシーンの映像

 シャープ・ブースをあとにして、仕事をしながらソーラーカーネタを探していると、

 

旭硝子のブースで見つけたのが これ



ソーラープリウスのパネル用基板ガラス



CIS系化合物太陽電池が形成されたのがこちら。
間抜けな自画像写真みたいになってしまった。



こちらはスイスのプラネットソーラー社のブース



スタイリッシュなソーラークルーザー。



コニカ・ミノルタとDSCで有名なコナルカ社が組んで薄膜セルを、との話題



ソーラーカー教育玩具は多々あるが



こちらは京セミ社の球状セルを使ったソーラーモデルカー



多くのソーラーチームがお世話になっているKIS社のブースには、

 

ソーラーシャツ ちょっとイマイチだが、昔見た、アモルファスセルを
使ったソーラーベストよりは普通の服に近づいたとは云えるだろう。


2010年3月28日 新神戸駅〜芦屋大学

 通過することはあっても、降りることは無かった新神戸駅。たぶんはじめて。

 

ホテルのロビーでトップガン野村氏と落ち合い、客人を待つ。

 

お客様はこちら、阿蘭陀国NUONチームの前リーダーと現リーダー

 

食事の後は芦屋大学へ、彼等の目的は鈴鹿参戦の為の情報収集



TIGAの後輪サスペンションをじっくりと観察

 GGCは、ほとんどカーブのない直線主体のコースだが、鈴鹿サーキットではそういう訳にはいかない。それは彼等も先刻承知。GGC用の足回り、特に後輪サスペンションは新調する予定とのことだが、予算の壁があるとのこと。


 単にオカネが無い、という訳ではない。車両を船便で先に送って、サスペンションだけ日本で取り付ければいいじゃないか、という訳にはいかないというのである。サスペンションを新調したら、それで十分にテストを行い、その上で日本に運びたい。と、なると時間がないので空輸になる。それはちょっと予算的に苦しい・・・・・というハイレベルな悩みだった。


 なんて話しをしながらも、恐らく今年の鈴鹿で、最大のライバルになるチームに全部見せちゃう太っ腹な羽藤先生でした。

 しっかしまあ、背、高いなあ・・・・・・・。

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2010鈴鹿 予告編   ソーラー日記 2010冬:製作講習会〜春

第一稿  2010.07.04.
微改訂  2010.08.20.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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