2010年7月31日(土)
FIA Alternative Energies Cup ドリームカップ・ソーラーカーレース鈴鹿2010 一日目
午前:フリー走行、公式予選
午後:Dream,Challenge,Olympiaクラス8時間耐久レース 第1ヒート
Enjoy II クラス4時間耐久レース(同時走行)
06:00 ホテルロビー集合
06:20 鈴鹿サーキット9番ゲート着
新人ドライバー北村にとっての貴重な練習チャンスになるフリー走行は7:00〜35分間。
最終コクピットドリル。表情は硬い。
07:00 ドリーム、チャレンジ、オリンピアクラスのフリー走行開始
血気盛んな強豪チームをやり過ごしてからレーンに押し出した。
07:15 芦屋大学チームは 野村ドライバーから三瀬ドライバーに交代
07:17 堺市立チームは ドライバー交代の練習
07:19 Aurora とMaxspeed もドライバー交代の練習
07:21 「どう? 調子は」
「ラップタイムが縮まない」
僕たちの目標は、8時間耐久レースで90周。単純計算で1周あたり5分20秒で回らなければならない。彼のベストタイムは試走会の最終周回で出した5分24秒、5分半を切ったタイムはこれ一回だけだ。北村は、もともと、あまり感情を顕わに外に出さないタイプ。しかしピットを離れる前の北村の顔は、明らかにこわばっていた。
プラットホームで北村の走りを見守る竹原と高橋
07:35 フリー走行終了
北村のタイムは6分前後で推移し、目標タイムには一度も届かず練習終了。平澤の表情は渋い。
07:50−08:25 エンジョイIクラス、エンジョイIIクラスのフリー走行
アザラシ号がピットレーンを通過。
チーム結成18年目にして初出場。試走会での初走行では、一周目のシケインでクラッシュしてしまったので、第一目標の鈴鹿1周は未達であった。今、ピットレーンを通過したと云うことは、少なくともその目標が最後のドリームカップを舞台に達成されたことを意味する。
08:40−09:25 ドリーム、チャレンジ、オリンピアクラスの公式予選
予選ドライバーはベテラン高橋 OSU、TIGA、堺市高に続いて早めに押し出す。車両が比較的少なく走りやすい間にタイムを出してしまった方が良い。
予選の義務周回数は「1計測周」。コントロールラインを二度通る必要があるので、ピットアウトして1周、コントロールラインを通過して1周して再びコントロールラインを通り、さらにコースを1周してピットに戻ってくることになるため実質3周することになる。
09:07 高橋ピットイン
高橋が叩きだしたタイムは 4分34秒405
チャレンジクラス2位、12番グリッド獲得
ドリームクラスのポールポジションは芦屋大学TIGA。プロドライバーまで引っ張り出した2位の NUON チームに7秒以上の大差を付け、トップガン野村が吠えた。シリコンセルのハンディがある Aurora は本戦ではかなわないと見て予選にエネルギーをつぎ込んだが3位。「3分48秒でも3位なんだぜ。まったくTIGAにはお手上げだよ。」とDavid。僕にまくし立てたくらいなので、よほど口惜しかったのだろう。
予選順位 | クラス | チーム名 | 車両名 | 予選タイム |
1 | DREAM | 芦屋大学A | Sky Ace TIGA | 3'40.362 |
2 | DREAM | Nuon Solar Team | Nuna 5 | 3'47.881 |
3 | DREAM | Aurora Vehicle Association | AURORA 101 | 3'48.289 |
4 | DREAM | OSU大阪産業大学 | OSU Model S' | 3'49.712 |
5 | OLYMPIA | 芦屋大学B | Sky Ace QUAD | 4'04.677 |
6 | DREAM | サレジオ高専 | SALESIO | 4'07.801 |
7 | DREAM | 呉武田学園呉港高等学校 | 夢創心 | 4'21.415 |
8 | CHALLENGE | 堺市立堺高等学校 | SCIENCE710 | 4'29.501 |
9 | ENJOY II | H・A・Tレーシングチーム | PET BAGUS ! | 4'30.386 |
10 | DREAM | 再輝 | U−1 | 4'33.063 |
11 | DREAM | 昭和第一学園 | Challenger | 4'34.126 |
12 | CHALLENGE | Team SUNLAKE | SUNLAKE EVO | 4'34.405 |
4位のOSUのタイムが平凡に見えてしまうが、予選タイムが4分を切るようになったのは比較的最近である。5位には芦屋大学Bチーム、Olympia規格のQUADが入り、昨年大会で満足に走れなかった憂さを晴らした。
09:24 毎度のタイヤ交換
予選から本戦までの間は、最も緊迫した時間であると共に、
岡田一家勢揃い
左:下村前監督 右:JunaSunの若松さん登場
年に一度の大祭に、ピットを訪ねてくれる賓客、珍客を迎え、出会いと再会を喜び、旧交を温める時間帯でもある。そこに突然、
09:40 「再車検するから車検場へ」との指示。なんだあ???
無作為抽出で車重測定するらしい。これまでには無かった運用である。
予選時の装備は、少なくと総重量的には本戦と同じで無ければならない。ソーラーカーの場合、ドライバーの体重(固定バラスト含む)とバッテリーが総重量に占める割合が極めて大きい。大雑把にドライバー70kg、バッテリー80kg、車体100kgといったところである。誤魔化して少しでも総重量を軽くしようとするならば、バッテリーを軽い物にすり替えるか、固定バラストを外すかといったところである。そんなセコイことをするチームはいない。
固定バラストはボルトとナットで車体に固定出来なければならなず、ボルトのネジ部先端には、封印のためのワイヤーを通すための孔をあけておくことが義務づけられている。(しかし今年は最後まで固定バラストは封印されなかった。)
固定バラストの封印は、例年は車検時に行われてきた。ところが一昨年、オリンピアクラス導入時の混乱で、一時的にドライバー体重制限(バラストを用いて70kgに合わせる)条項が削除され、以後運用面でも混乱が続いているのだ。バラストについては封印してあれば済む話しだし、すり替え用バッテリーが用意出来る財力のあるチームなら、最初から軽量バッテリーが使用可能なクラスにエントリーするだろう。そもそも仮に車重を誤魔化して軽くして予選順位を幾つか上げたところで、長丁場の8時間耐久レースではほとんど何の意味もないのだ。
本戦前の、一年ぶりに会う客人達との再会を喜びながら、最終調整にも気を遣わなければならない貴重な時間に水をさされた僕たちは、明らかに苛立っていた。
09:45−10:25 エンジョイIIクラス 公式予選
珍しく車体にチーム名が書いてある「パンダサン」チーム
細川さんと富隆さんは予選も本戦もリラックスムード満載
10:25−11:55 エンジョイIクラス 公式予選
キムヒデ登場
左:岩田(元)ホンダ・ドリーム監督 右:サンレイク初代チーフメカニック 宇野氏
レースキング&浜の女神様 登場
オランダからの客人
コースではエンジョイクラスの予選が行われているが、こちらは本戦準備でそれなりに慌ただしい。その間にも来客続々である
12:00−12:30 スタート前チェック
方向指示灯、ブレーキランプの動作が確認され、バッテリーが封印される。
12:30−13:00 スタート進行
フル装備した車両をスターティング・グリッドに押し出す時間帯。
北村の表情は少し緩んでいる。リラックス、リラックス。
僕は、自分の手によって作られた車両をグリッドに運ぶことができるこの時間帯が最も好きだ。この感覚を味わいに毎年鈴鹿に来ていると云っても過言ではない。それは、自分が書いた総譜を演奏するためのコンサートの幕開けを、自らもプレイヤーの一員としてステージの上で待つ気分によく似ている。
スタンドには「風になれSUNLAKE」の横断幕
「浜の女神様」のお嬢様の作品
ドリームクラス、チャレンジクラス、オリンピアクラスの8時間耐久レース前半(第1ヒート)とエンジョイIIクラス4時間耐久レースが同時に行われるため出走台数は57台と超過密。しかも、予選タイム的にはサーキット1周を3分40秒で回る超高速車両と、10分以上かかる車両が混走。最下位車両が1周する間に、先頭車両は3周してしまいかねないのである。
13:00 スタート
先頭の TIGA は既に画面から飛び出している。
北村の初スタートは、半ば予想していたとおり控えめ。もちろんソーラーカーレースのスタートは白煙を立てるほどタイヤを空回りさせたりはしないが、それでもスタート後のしばらくの間を気持ちよく走り抜けるためには、ここでいい位置に付けておかねばならない。北村の初スタートはカラブリ。ダッシュがワンテンポ遅れた北村のサンレイクは巨大障害物となってスタート直後の車列秩序を乱雑化させてしまった
13:05 いきなり立命館大学がコースアウト 何が起こった?
コースアウトしたわけではなく、スタート時にモーターが全く動かず、ホームストレートの坂道を単に惰性で転がり降りてそのままコース脇に待避させられたようだ。バッテリーボックス内での結線ミスという初歩的な誤りだった。ようやくエネルギーマネジメントの重要性に目覚め、WEMで活躍するOB氏の指導で充電メソッドなどにも工夫を凝らしていたところだった。70周回突破を期待していたのだが残念。
13:15 TIGA右タイヤカバー外れ
ヘアピンカーブを過ぎた短い直線でサンレイクを右から追い抜いた所に、さらに遅い車両(車両名確認出来ず)、やむなく右ダート飛び出て強引に抜いたところで右前のカバーが脱落した。「TIGAに悪いことしたなー」と平澤は述懐。57台が同時に走る第1ヒートが序盤から相当荒れているのは確か。鈴鹿最高速度域で走るTIGAにとっては相当なエネルギーロスになっているだろう。
当チーム北村のドライビング、1周目は5分45秒、その後は多少のブレはあるが5分30秒前後で落ち着いてきた。
13:40 ラップ5分30秒
「声が明るかった。」
ドライバー北村との定期交信を終えた監督が云った。サンレイクでは1周毎にドライバーと携帯電話で交信し、消費電力、入力電力とバッテリー電圧をドライバーが読み上げることにより取り込む。交信の際に交わす会話はドライバーの状態をモニターする貴重な情報である。
ラップタイムも安定してきている。後で聞けば、ペースがほぼ同じ紀北ソーラーの後ろに付けてラインと加減速のタイミングを学んでいたしい。この時の紀北ソーラーのドライバーは山本氏。鈴鹿屈指の名ドライバーである中岡先生とペアを組む人物である。
一方で、雲行きが怪しい。天候はくっきり影ができるほど晴れたかと思うと、太陽が比較的厚めの雲に覆われて日照量が落ちたりを繰り返すようになってきた。天気図ではまとまった雲は出ていないが、局所的に夕立が来る可能性は高い。
14:01
ラップは安定してきているが、残念ながら消費電力はベテラン高橋より1割ほど多いようだ。あまり長時間乗せると後で取り戻すのが難しくなるので、早めに交代することにした。
交代のイメージトレーニング
ドライバー北村も、初めてピットに入った瀬川も、ドライバー交代は初めてなので、いつもより念入りにイメージトレーニング。現場での危険予知訓練もこうあらねばなりません。でも何か、いつもと違うなー・・・・・・・・数えたら6人(定員8人)しかいない。忙しいわけだ。
14:06 ドライバー交代
北村から高橋への初のドライバー交代。小さなミスはあったが、初めてにしては上出来。
14:13
高橋から連絡「西コースに雨」。肉眼では積乱雲がいくつも見えるが天気図に大きな雨雲は無い。客人の一人からは鈴鹿サーキットまでの途上、平田付近では土砂降りだったとの情報も入った。局所的集中豪雨、先の雨はその流れ弾だったようだ。
気がつけば、第1コーナーから立命館大学ヴィマーナの姿が消えていた。
15時前後はドライバー交代のラッシュである。
TIGA ドライバー交代 14:47
そろそろレース状況も落ち着いてきたと判断し、ピットビル3Fに向かった。
15:10 ホンダドリーム特別展示
17時までなので、レースを抜け出さないと見ることが出来ないのである。ソーラーカーの歴史をまとめはじめて以来、写真では何度も見ており、文献や書物も漁るように読んできたが、実物を目の当たりにするのは実は初めて。ゆっくりと見ていたいが、そうもいかない。
15:14 モータースポーツ・ギャラリー
普通のオートバイや、レーシングカーには、ほとんど興味はないのだが、ピットの最東側に割り当てられたチーム・サンシールズのピットにお邪魔しようと移動する最中に、話の種にと1分だけ道草。レースの状況も確認しておこうとギャラリー内のモニターに目をやると、そこには宙を舞うレーシングカー!?。一瞬、度肝を抜かれたが、よく見ればF1レースでの事故の映像であった。
先を急ごうとギャラリーを出て、第二コーナーが見渡せる回廊に出た、その時、
15:15'30
サーキットにソーラーカーレースには似合わない衝撃音が響いた。
第1コーナーで、速度が遅い車両3−4台が団子になっているところを、エンジョイIIクラストップを独走中のオリンパスRS(以下、ORS)が抜き去り、第2コーナーで減速しているところに、同様に団子を抜き去った直後のサレジオが、おそらくカーブでコントロールを失って追突。ORSは右後方から、すくわれるように前のめりに、車体が垂直に起立するまで跳ね上げられ、そして車体を右回りに捻りながら裏返しに倒れたのである。
それは、つい1分前にモニター画面で見た光景が再現されたかのようだった。しかし目の前にあるのは記録映像でもアニメーションでもなく、リアルタイムで進行している現実だ。あり得ない光景に思考回路は一瞬停止したが、身体の方は反射的にポケットからデジカメを取り出して握っていた。
、
正気に戻った僕はデジカメのズームを最大倍率に上げて夢中でシャッターを切った。
左から 手前:熊本大 スピン気味にテールをコースインに向けてほぼ停止か? 奥 :大工大 ほぼ停止寸前まで減速、 裏返っているORS 津工業高校、あまり減速せずに通過 サレジオ 追突直後減速してコーナーアウト側に待避 |
車両が起こされたのは衝突後、約1分30秒後になる。
この時点では、事故の当事者がどの車両か、僕の視力では判別出来なかったのだが、3分近く経過して、ようやく、のんきにTIGAとOSUのファイトを伝えていた場内アナウンスが事故に気がつき「オリンパスRS」の名前を告げた。山本監督の温厚な顔が脳裏に浮かんだ。エンジョイIIクラス優勝の最有力候補であり、実際にトップを独走していたオリンパスRSのエンジョイクラス通算4連覇、エンジョイIIクラス2連覇、45周達成への夢は、第2コーナーの魔物に飲み込まれてしまった。
「ドライバーはどうなりました? 大丈夫そうですか?」
双眼鏡で第2コーナーの様子を伺っていた男性に尋ねると、既に車両からは脱出し、作業をしているとのこと。
「チームの方ですか?」「いいえ、でも良く知っている方々なので」
双眼鏡を借りて現場を見ると、青ツナギのドライバーが、コース・オフィシャルの手を借りながら、再発進を試みているところだった。
この時のドライバーはオリンパスRS 1stドライバーの関博之氏。とっさにロールバーを掴み、身体を車体に潜り込ませて自らを守ったとのこと。オリンパスRS(以下ORSと略記)は柏会の武蔵と同じ型を使った兄弟車だが、カウルはスパッツ一体型、アルミパイプで組まれたシャーシも、武蔵よりは一回り太いパイプが使われており、かなり頑丈に作られている。社会人チームでは、車体を何度も作りかえたりする時間資源を捻り出すのは難しい。一度作ったら車体は長期間使うことになるだろう。だから丈夫さを優先して作っておこうと思ったと、山本監督は述べている。
サレジオの先端がORSの後尾から車体の下に潜り込めばORSの車体後端がナイフエッジの如くサレジオのコクピットを水平に削ぎ落としていただろう。もし、そうなっていたら、車高を低くしてシート角度を立てている(WSCチャレンジクラスや、ニューエンジョイ規格を先取りしたかのような)サレジオのコクピットでは避けることは出来なかったはずだ。
後日明らかになったORSの破損箇所は右前車輪まわりに集中していた。サレジオはORSの後方、やや右側に追突し、ORS跳ね上げつつ右前輪にも衝突、すなわちORSの右側を突き抜けていったのであろう。ORSは跳ね上げれ倒立状態になると同時に、右前輪を押されて捻られ、倒立状態で逆時計回り3/4回転して裏返しに倒れたのである。
衝突した位置がORSの真後ろではなく、さらにお互いの衝突による反発が大きくORS車体が先に跳ね上げられたので、サレジオのドライバーは難を逃れることができたのだ。
サンレイクが直近にコントロールラインを通過したのは 15時15分25秒
コントロールラインから第2コーナーまでの距離は800mほど、平均秒速20m(時速約70km)で走り抜けたとして、第2コーナー通過は40秒後の15時16分05秒、つまり事故の35秒程度後のことになる。残念ながら私のカメラに画像は残っていない。
ホームストレートを全速で下り、第1コーナーから第2コーナーにかけて前方の遅い車両を追い抜こうとしていた高橋は、事故後即座に振られていたイエローフラッグに気がついて追い抜きを断念。しかし(監督曰く)サンレイクが第2コーナーをすり抜ける速度はソーラーカーレース鈴鹿随一。そう簡単には減速出来ず、無理なブレーキングで左前輪に過負荷をかけてしまった。この時の傷がサンレイクを負のスパイラルに導いて行くことになる。、
15:30 オリンパスRSピット
サンシールズのピットに立ち寄り、手短に状況を確認した後、急いで自チームのピットに戻ると、ちょうど隣のピットに、オリンパスRSが自走で戻ってきたところだった。
車両から降りた関ドライバーは、疲労困憊の様子だったが、少なくても外見から解るような怪我は無さそう。しかし、潰れて風防スクリーンが失われたキャノピーが、裏返しに倒れた際の衝撃の強さを物語っていた。
15:55 チェッカー後、バッテリー保管までの間の充電用に充電台を準備。
16:06 なんとORS 応急修理を終えてピットアウト!!!
連続優勝を狙っていたに違いなく、実際にエンジョイIIクラストップを独走していたチームにとって、この事故は相当にショックなはず。しかしORSピットにネガティブな空気は流れていなかった。ドライバー氏が車両から降りたとたん、猛烈な勢いでピット・メカニシャン達が被害状況のチェックとリカバー作業を始めたのだ。
「キャンバーがメチャクチャだよ。」
「いいよ、とにかく走れれば」
後日の診断で、右前輪関係はアーム以外、総取り替えに近い相当な重症だった模様。それを30分程度で、再び走れる所まで修復、日本の屈指の物作り企業、その中でも選りすぐりの強者が集っているであろうクラブチームの底力を見せつけた一幕だった。
16:10
レース全般的には、波乱の中盤を挟んだが、表面的にはサンレイクは順調である。チャレンジクラスは、マックススピードと柏会が共に34周で1位と2位、次いで、サンレイク、堺市立、紀北工業、バカボンズの順で4台が33周で並んでいる。
トップのドリーム4台は別格にして、第2集団として、1ラップ差の中に お互いの車両性能も、ドライバーの手腕も、監督の性格も、互いに分かり合っているチャレンジ6台がひしめく展開になっているのである。先行二台は逃げ切りを狙っているが、バッテリーは苦しいだろう。追う6台は、差を2周差に広げられないようにしつつ、少しでもバッテリーを温存しようと知恵を絞っているのだ。こいつは最高に面白い。
ピットに笑顔が戻ってきた頃に
16:21 平澤監督の電話が一瞬鳴って切れた。
「何事だ!?」
モニターにはEVOがヘアピンカーブを通り過ぎていく光景が映し出されていた。遠目には特に異常は見られなかったのだが、
16:22 再び平澤監督の電話が鳴った。
高橋からの緊急連絡 「デグナーで左前輪パンク!」
一気に緊張が高まるピット
16:24 サンレイク ピットイン
16:28 サンレイクピットアウト
先の急ブレーキが左前輪に想定以上のダメージを与えていた。
チェッカータイム直前にコントロールライン通過を狙って5分20〜30秒で刻んできたラップタイムも合わなくなってしまったため、バッテリー温存策に舵をとり、終盤のスピードを6分近くまで落とす。
16:36 神奈川工科大「AIOLOS」ホームストレートで停止
オリンパスRSがピットインしている間に、エンジョイIIクラスのトップ争いはパンダサンと神奈川工科大の一騎打ちの様相を示してきた。その神奈川工科大「AIOLOS」がなんとホームストレートで止まってしまったのだ。右前タイヤのパンクと軸受け破損により車輪がロックしてしまったのである。結果、最終的には2ラップ遅れで付けていた若葉会に抜かれ、順位を一つ落としてしまった。
16:46 サレジオピットイン
Phaethon2004では大変お世話になったサレジオ高専チーム。後輪に問題を抱えてる様子だが、あれだけ無茶な走りをすれば、如何に4輪車とてタイヤの消耗は激しいだろう。
17:00 チェッカー
結局この日は総合11位クラス6位に終わった。
1H順位 | クラス | チーム名 | 車両名 | 周回数 | Total Time |
1 | DREAM | 芦屋大学A | Sky Ace TIGA | 55 | 4:03:50 |
2 | DREAM | OSU大阪産業大学 | OSU Model S' | 55 | 4:04:38 |
3 | DREAM | Nuon Solar Team | Nuna 5 | 52 | 4:03:49 |
4 | DREAM | Aurora Vehicle Association | AURORA 101 | 50 | 4:04:40 |
5 | CHALLENGE | Team MAXSPEED | Flat Out | 44 | 4:03:25 |
6 | CHALLENGE | 柏会 | 武蔵 | 44 | 4:04:22 |
7 | CHALLENGE | 堺市立堺高等学校 | SCIENCE710 | 44 | 4:04:51 |
8 | CHALLENGE | バカボンズ | SCARBAEUS | 43 | 4:04:30 |
9 | CHALLENGE | 紀北工業高校 | 紀北ソーラー | 43 | 4:04:37 |
10 | OLYMPIA | 芦屋大学B | Sky Ace QUAD | 42 | 4:04:26 |
11 | CHALLENGE | Team SUNLAKE | SUNLAKE EVO | 42 | 4:03:50 |
12 | DREAM | 呉武田学園呉港高等学校 | 夢創心 | 42 | 4:04:37 |
13 | DREAM | アステカ | TABRADI R | 42 | 4:06:18 |
14 | DREAM | 再輝 | U-1 | 41 | 3:41:34 |
15 | CHALLENGE | 宮崎工業高校 | miyakou MT09 | 41 | 4:04:20 |
16 | CHALLENGE | 金工大夢工房 | KIT Golden Eagle | 41 | 4:05:50 |
17 | DREAM | サレジオ高専 | SALESIO | 39 | 4:02:48 |
18 | DREAM | 昭和第1学園 | Challenger | 39 | 4:02:58 |
総合上位4台はスーパードリームクラス。TIGA:55周、OSU:55周、Nuna5:52周、Aurora:50周と別次元の競技をしている。上位3台はいずれもGaAs系タンデムセルを搭載。サンパワー社のSiセルの Aurora は十分に健闘していると云って良い。
5位以下の第2集団はチャレンジクラス上位が占めている。ドリームクラスで絡んでいるのは武田理事長の駆る呉港高等学校の再輝型車両「夢創心」と、オリンピアクラスの第1ヒート史上最多周回数をマークしている芦屋大学QUAD
実力僅差のチャレンジクラスで、この2周差はキツイ。しかも24秒差とはいえ、オリンピア車両に先を越されてしまっている(芦屋大学Bチームさん御免なさい)無念。これだけは意地でも抜き返さなければならない。
エンジョイクラス優勝はパンダサン・チーム
2位に若葉会、3位が神奈川工科大学、
オリンパスRSは4位だった。
2010鈴鹿本編 セクション3 太陽は誰の物か?
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三文楽士の休日
FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2010
2010鈴鹿本編 セクション2 「コーナーに沈んだ青い夢」
第一稿 2010.08.12.
微改訂 2010.09.08.
Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
The Place in the Sun