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2009年6月15日(月) 05:45 滋賀県某所を発つ。
朝日が眩しい。
06:29 鈴鹿峠
梅雨半ばだというのにやたら天気がよい。こちら(滋賀県側)が上天気だと、三重県側がイマイチなこともあるのだが、今日は鈴鹿峠を越えてもピーカンである。
旧国道一号線で亀山市内を抜けると出会える特徴的な道路標識
観覧車のバックは快晴の青
06:55 鈴鹿サーキット 第9番ゲート着
何より、車両搬入の妨げとなっていたパドック側の段差が無くなったのが、とってもありがたい。
07:04 鈴鹿サーキットピットエリア
本隊到着まで、ピットを散策していると・・・・・
往年の名車「太陽虫」発見。
しかも可変界滋モーターが載っているではないか。
07:26 サンレイク本隊到着
続いて東京組も到着
車両を下ろし、例によってタイヤ角度などの調整に時間を使う。綿密に各部ディメンションを合わせるには平らな地面が必要だが、サンレイク秘密基地であるガレージの床の平面度はかなり怪しい代物なのでサーキットに持ち込まないと作業出来ないのである。
お隣は柏会さん。手動での空気入れは武蔵工大時代からの伝統のようだ。
試走会受付は8:00〜9:00
ピットでは調整・・・・・・というよりメカの組み直しが続く。
08:39 アライメント最終段階
左右の前輪にL字アングルを渡し、車輪の前後の距離を測定する。この前輪平行度のチェックまで辿り着けば、調整ももうすぐ終わり。
08:50 太陽電池パネル発電チェック
太陽電池を搭載したボディカウルと、MPPT、バッテリー、計器類が載るシャーシを長い延長ケーブルで接続して発電量をチェック、次いでパネルを一枚づつ影にしてモジュールアレイ毎の発電動作を確認して行く。
09:01 太陽電池パネルの拭き掃除
発電チェックの前に掃除すべきだった。
09:20〜 ドライバー・ブリーフィング
コントロールタワー2Fブリーフィングルームでドライバーの為の説明会が開催される。高等学校チームや一部大学の学生チームでは、この試走会が初ドライブとなるドライバーが多い。高校生ドライバーの多くは原動機付き自転車の免許すら持っていない訳であるから、このブリーフィングの果たす役割は大きい。いや、この数十分間のブリーフィングに託してしまうこと自体に、相当な危険の芽が詰まっていると云わざるを得ない。
試走の午前の部は10:00−11:45の予定だが、20分ほど遅れて進行している。
10:02 コース下見バス出発。
初心者ドライバーにコースを解説するためのコースガイドバス2台が出発した。こういう手順にはいくら時間をかけて頂いてもかまわない。
10:20 試走開始
10分ほど前から、ピットレーン出口でウズウズしながら待っていたベテラン達が次々にコースに飛び込んで行く。
サンレイク午前の部のドライバーは平尾。ピットレーンに並ぶと暑いだけなのでオジサンチームは試走スタートギリギリまでピットで待機する。
調子は良さそうだ。消費電力も低い。
彼の最大の課題は体重を増やすこと。
10:41 生神様、現る。
2009年シーズンにZDP関係者が、鈴鹿、大潟の二大イベントに姿を見せたのは恐らくこれが最後だろう。彼等の視線は遠い南半球、しかも豪州ではなく阿弗利加大陸に向いていたのだ。
10:57 太陽虫ドライバー交代
11:15 モニター画面
ピットのざわつきにモニター画面を見上げると、何とTIGAがコースアウトしてグラベルに突っ込んでいるではないか。過去、雨天のレース時にシケインでスピンしたTIGAがコースを塞いでしまったのは見たことがあるが、これだけ派手にコースから外れているのを見たことはない。
11:21 モニター画面
芦屋大学チーム総出での車体チェック
大事を取って早々とトランポに格納し、午後の部はオリンピア仕様の新車「QUAD」のテストに充当された様子。
11:38 サンレイクピット
そんな騒ぎを余所に、サンレイクピットは、ナントカの前の静けさのように平和である。客人は府立堺工業高校の黒幕の二人組。なになに、今年は社会人チームで出るって?
12:00 午前の部 終了
サンレイクEVO 無事帰還
まずは充電。昼休みにはソーラーカーにも食事が必要になる。競技ではないので、プラグインで御勘弁。
さて、どうも右前輪のブレーキが調子悪い。ディスクにパッドが擦れているのである。ブレーキのスレはストレートにエネルギーロスになるだけで良いことは何もない。前輪を解体しての調整作業となったが、この調整作業の詰めが甘かった。
13:00〜 ピットにシエスタはない。
なんとか午後の部に間に合わせたい 左:和歌山大学チームと、 右:神奈川工科大学チーム |
朝方には分離されていたシャーシとカウルが、ようやく組み合わされて形が見えてきている。試走会ピットは半ば工房と地続き。今現在がこの様子であれば、どのようにして昨夜を過ごしたかも容易に類推出来る、が、納期前の2〜3日の徹夜続きくらい、笑って乗り切れないと技術立国日本のエンジニアにはなれないし、ソーラーカーレースを楽しむことも出来ないのである。
13:59 午後の部 直前
午後の部は14:00〜15:45。ドライバーはベテラン高橋。
EVOのシェイクダウンとなった昨年の試走会では積算電流計の調子が悪くてロクにデータが取れず、エネマネ的には本戦ぶっつけ本番になってしまったのだが、今日はそちらも順調。
14:19 サンレイク緊急ピットイン
サンレイクが緊急ピットイン
安心しきってピットビル3階席からの写真撮影に徹しているとEVOがピットレーンに現れた。慌てて階段を駆け下りると足回りのチェック作業中。右前から異音がするというのだが原因不明。ここで詰めの甘さが積み重なってしまった。
納得しきれないモヤモヤを抱えたままピットアウト。僕たちは約1時間後に、懸念材料の先送りは良い結果を与えない、という教訓を身に知らされることになる。
SUNLAKE EVO は何事も無いかのようにホームストレートを滑って行く。
15:07 外見的には極めて順調
背後に殺気視線を感じてピットビルを見上げると、
柏会に倣って、当チームも観覧席からの遠隔指示操作になったようだ。
平澤監督の携帯電話に高橋からの緊急連絡が入ったのはその直後。
「やっぱなんかおかしい。次、ピットインします。」
続いて、
「シケイン手前で止まった。なにか壊れた。」
とショッキングな連絡。
15:15 モニター画面
やがてピットモニターにも止まっている様子が映し出された。画面を凝視するも解像度の関係でよく解らないが、右前が落ち込んでいるように見える。タイヤか足回りの損傷なのは確かなようだ。
15:18 コース脇に待避
サーキットの係員が駆けつけ、とりあえず安全な場所に待避。自力では動けそうになり。診断するにも応急処置するにもボディカウルを外さないと様子は分かりようもないがドライバーひとりだけではどうにもならない。
15;28 救助隊出動
平澤と竹原が予備タイヤと工具を持ち、メディカルカーに乗って救援に向かった。
15:35 救助隊現場到着
到着2分後、カウルを外しての応急処置が始まった。ピットではモニターを見上げてトラブルが軽いことを願う以外に出来ることはない。
シャーシの前部を抱えるようにして移動させている。車体の影になってモニターから見ることは出来ないが、右前輪が機能していないのは確実な様子である。
15:44 応急処置完了
ボディカウルを外すと、右前輪のセンターロックが外れ、タイヤがホイールごとハブから脱落していたのである。シケインの入り際で、十分速度を落としていたのが幸いではあったが、ハンドルを切りかけたところでホイールがハブから外れたのだろう。ボディは胴体着陸状態だった。
15:46 脱出
15:48 サンレイク帰還
奇しくも、試走時間が終わり、チェッカーを受けるのと同じようなタイミングで車両を回収することが出来た。
恐る恐る、応急的に取り付けた右前輪を外そうとするが、外れた際にアルミ製のハブをコジているので素直には外れてくれない。事故直後は片前輪が外れた状態でシャーシがボディに吊られていたことになる。シャーシとボディの固定はM5のトラスネジ4本。よく保ったなあ・・・・というのが実感。
概観では致命的に壊れている部分は無さそうだ。しかし微妙な偏芯も、走行抵抗を極限まで低減したソーラーカーにとっては大きなダメージである。サスペンション含め、基地に帰ってシッカリと診断する必要がある。
胴体着陸してしまったボディの方も、心配だ。こういう事もあろうかと、特に車体の車輪周りをザイロン/カーボンの二重外殻構造にしておいたのは、杖の役割を果たしてくれた。路面と擦れた最外殻のカーボンは擦り切れて失われていたが、内側のザイロンは残っており、概略形状はほぼ原形を保っている。災害層を張り直せば復元することは出来るだろう。ただし、太陽電池パネルを貼り付けたままでボディカウルを裏返すことは出来ないため、車体の下側面にどうやってカーボンクロスを貼り込むかは思案のしどころになる。
タイヤハウスの中では外れたタイヤが暴れたのであろう、あちこちに亀裂が入っており、タイヤ側面の最底辺部分の折り返しを付けた部分も、カーボン層が折損してザイロン層のみで繋がっている状態である
面倒なのはサスペンション下のカバー。こちらは路面に擦れた部分が削り取られてしまっており、欠損部を再生しなければならない。
16:37 復路に発つ。
鈴鹿サーキットを後にして、サンレイク基地に向かう。改装により外見は新しく生まれ変わった鈴鹿サーキットだが、僕たちを楽しませようというサービス精神は全く失われていなかった。サーキットコースはフォーミュラの為にだけ存在しているのではない。それを一番よく知っているのは、彼自身だということだ。
6週間後の再会を楽しみにしていよう。
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2006.01.01