The Place in the Sun

三文楽士の休日

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP
DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2008

2008鈴鹿 風の化身編

SUNLAKE EVOLUTION

エピローグ 「燃え残る拘心」


17:20 車両保管解除

 レース後のバッテリー封印などの確認作業が行われる車両保管が解除された。僕たちは第2ヒートを無事走り終え、目標性能に到達していたことが実証された安堵感と、タイヤさえ例年並みの物が入手できていれば、という悔しさと、不良品を見抜けなかった歯がゆさが入り交じった混沌とした心理を追い払うように撤収作業に没頭していた。・・・・・・・その時、

 「サンレイクさん、表彰式に出てください」の声

 え!?ミツバ賞 (U山さん御免なさい。全く頭に有りませんでした。)

 
17:40 − 18:00 仮表彰式

そういえば、一昨年も場内放送で呼び出されたっけ?
シャンパンファイトは無かったが勿論悪い気はしない。

 誰も口には出さなかったが、優勝できたら、そのまま勝ち逃げする気で今日まで全力で走ってきた。
「鈴鹿が終わったら、矢吹丈みたいになっちゃうかも。」と軽口を交わし有ったが、内心は冗談ではなく本気で燃え尽きるつもりだった。

 高飛車で論理的欠陥が目立つ新規格、
 規則書の不合理な朝令暮改、
 ソーラーカーレースを「ホントのレースではない」と失言するようなJAFの事務方、
 故意に事故らせたいのか?と疑いたくなるような助っ人制度、
 「大切な第一歩」などと公式プログラムに載せる一方で、全くやる気の感じられない担当者

年甲斐もなく、全てに噛みついてきたのはその覚悟故だった。

 しかし、紛れ込んだ一片のタイヤゴムがおこした不完全燃焼のために僕たちの拘心は燃え残ってしまった。シャーアラムとセパンサーキットで僕たちに取り憑いたソーラーカーの魔物も、ヘレニコン空港の格納庫とパトラ大学で手をさしのべてくれた古代ギリシャの神々も、僕たちに勝ち逃げすることを許してはくれなかったのだ。



僕たちには、まだやらなければならないことが残されている。



We have Olympian divine aid.


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2008鈴鹿 風の化身編

SUNLAKE EVOLUTION EPILOGUE

第一稿 2008.08.14.
公開稿 2008.10.15.

Copyright Satoshi Maeda@Team Sunlake
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