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三文楽士の休日 2005年夏編

 

FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿2005

 

サンレイク リローデッド

Sunlake Reloaded

Satoshi Maeda@Team Sunlake

 

 

プロローグ 2004年 秋

 

 ガレージには傷だらけのサンレイク号が車体を横たえていた。ギリシャで壊れたNGMの代わりにミツバ製ホイールインモーターが取り付けられていたとはいえ、Liポリマー電池は全てパンク。ボディは修復不能のダメージを負い、太陽電池も至る所でクラックが入っていた。

 

 ドリームクラスは高効率だが超高価なGaAs太陽電池と軽いLiイオン電池が支配するスピードレースに姿を変えている。ギリシャ遠征で全ての蓄えを使い果たしてしまった僕たちに、ドリームクラスで鈴鹿参戦を続けるだけの財力は無い。

 

 選べる道は二つ。一つの道は、僕たちの挑戦の原点でもあったチャレンジクラスに戻ることだ。だが、姿を変えたのはドリームクラスだけでは無かった。2002年に達成し、他のチャレンジチームには数年間、追い抜くことはできまいと高をくくっていたチャレンジクラス80周という記録は、僕たちがドリームクラスに移った2003年にあっさりと柏会により破られてしまっていた。記録には表れていないが、タイヤバーストのトラブルを乗り越えての80周回である。さらに昨年、台風で6時間に短縮されてしまったため、例年との直接的な比較はできないが、ただ一つ、確かな結果が残された。ドリームで参加した僕たちは、チャレンジクラスの柏会と堺市立よりも周回数が少なかったという事実だ。

 

 メンバーは人生の転機を迎えつつもあった。創設メンバーの一人であり、サンレイクをチャレンジ4連覇に導いた名監督の下村は、新に立ち上げられたベンチャーに移るため退職とチームからの引退を決意していた。昨年のホールショットを飾り読売新聞第1面にサンレイクの勇姿をデカデカと載せたロケットスタート高橋と機動力抜群のピットメンバー鶴野は、来春、岡山に転勤することが内定。平澤は既に大阪勤務の営業マンである。すなわちサンレイクの母体である事業所:東洋紡総合研究所に常駐するのは竹原と前田、二人だけになるということだ。

 

 再参戦するには、新しい車体を作り、割れた太陽電池をつなぎ合わせて貼り付け、全くデータが無いに等しいモーターと、一昨年から義務づけられた鉛シールバッテリーを使いこなせるようにならなければならない。サンレイクは企業内の同好会に過ぎない。総合研究所という事業所名が災いして、僕たちの仕事そのものがソーラーカーの開発であると勘違いしてくれる人が時々いるが、普段はただの会社員である。もちろん活動は休日に限られる。すでに中年にさしかかっているメンバーは公私ともに忙しく、休日とはいえ自由になる時間は多くはない。この人数と限られた時間で、それだけのことができるのだろうか?

 

 重い現実が僕たちの前に立ちふさがっていた。選べるもう一つの選択肢を、だれかが口にすれば、すべてはそこで崩れていたかもしれない。

 

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セクション1 諦めかけた朝

 

2005年7月24日 日曜日

 サンレイクNEO 動力系の電気配線完了。

 11ヶ月ぶりにミツバM1508Dホイールインモーターに電流が流された。

 

2005年7月29日 金曜日

 車検一週間前。宮城県に出張。関西在住の僕たちの感覚ではすぐ先に、まだ見ぬ地「大潟」がある。今、まさにそこで熱いラリーがくりひろげられているはずだ。週末、休めるのなら足を伸ばしてみたいが、もちろんそんな余裕はない。

 

2005年7月30日 土曜日

  太陽電池パネル搭載完了。ようやくソーラーカーになる。

 

2005年7月31日 日曜日

 せめて一度くらいは、パネルを乗せて「ソーラーカー」として駐車場で試走を、という思いは雨に阻まれた。空力改善に必須な前後輪スパッツはまだ完成していない。

 

2005年8月01日〜03日

 昼間は当然仕事。夕刻から夜半にかけてスパッツと充電台作製。こういうときに限って、7/25−8/04までのウイークデイ9日間に先の宮城を含め5回の出張が入った。まさか、出張帰りのネクタイ姿のまま、深夜にエポキシ積層作業や車体塗装を行うことになろうとは思わなかったが、毎週末、岡山から作業に駆けつける高橋に比べれば、ずっと楽だ。そうとも、この時点でまだ積層作業が残っていたんだ。

 

2005年8月4日 木曜日 19:30

 サンレイク母艦Takehara号への積みこみ完了。

 

2005年8月05日(金曜日)

   FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP  DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿2005 車両検査

 

4:00 起床。ソーラーカーレースの日はなぜか朝4時に目が覚める。夢の中でコーランが呼ぶんだ。

 

4:28 車で家を出る。拙宅はチームメンバーの中では最も鈴鹿に近い。

 

4:50 夜明け。何度も諦めかけた朝が、今、明ける。

  国道1号線に入り東進。鈴鹿峠を越えて亀山旧市街から平田に向かう通い慣れた道。

 

鈴鹿サーキット 早朝のピットエリア

 

5:45 鈴鹿サーキット到着。前夜からピットに泊まり込んでいるチームもいる。今回は4チームでNo.13〜15までの3台分のピットを使う。同ピットで既に到着しているのはギリシャでも一緒だったサレジオ高専(ドリームクラス)。6:00過ぎ 中日本自動車短期大学(エンジョイクラス)到着。サンレイクの到着は6:45頃。今回ピットに入るのは、竹原夫妻、平澤夫妻、園田、高橋、鶴野、大下、筒井、太田、前田。 少し遅れて、普段から、色々とお手伝いしていただいている立命館大学(チャレンジクラス)到着。大急ぎで車両を下ろし、車検用にセットアップ開始。

 

チームサンレイク本体到着           受付会場の行列   

 

8:00 少し早いが受付開始の放送。助っ人の筒井と一緒に行く。その間車検の順番待ちが始まる。車両列では5番目だが、ドライバーの体重測定受付にはサンレイク組が一番に並んでいる。体重を合わせるため高橋はスポーツドリンク1.5リットルを飲み干した。高齢化が進む平澤、高橋の二名に加え、万が一のケースに備え、鈴鹿本戦走行経験を持つ助っ人大下もドライバー登録。

 

9:00 車検開始 体重測定一番乗り

 

 既に日は高く暑い。今日は今年一番の暑さとのこと。車検受付にはソーラーカー長蛇の列。並んでいると倒れそうになる。

 

車両検査と体重測定順番待ち

 

9:30頃 サンレイクの順番が回ってきた。車体重量 3kgバラスト込みで198kg(前の車体より重くなっているぞ)寸法、電気系機械系のチェック大筋問題なし。ブレイカースイッチに目印に赤いテープを巻くよう指導が入ったのみ。ウインカーチェック。「少し見にくいなあ、ま、いいか」と指摘されたのは実はLEDが切れているので心配していた左ではなく右の方だった。角度調整と、ウインカー周りにアイシャドウを付けておくことを条件に合格。

 

 

いよいよ車検開始。まずは車体寸法のチェック   ブレーキテストと脱出テストに挑む

 

10:05 ブレーキテストと脱出テスト。いつもは平澤の役回りだが、過去2年連続失敗しているので、今回は高橋が挑む。車両完成は一昨日の深夜。したがってまともにスピードを出すのはこのテストが最初。初体験のぶっつけ本番に本人はかなり慌て、肩ベルトを外すのを忘れて首を吊るという失態もあったが、終わってみればどちらも一発で合格。すれちがったパンダサンチームの細川さんが「終わったのー? よかったねえ 一番だよ」。ガッツ!! かくして、サンレイクは一昨年来返上してきた車検一番の座を奪還した。

脱出テスト 華麗なる跳躍

 

 メンバー全員、車両検査であちこち指摘されて、一日中手直し作業に追われることを覚悟して臨んだ車検であったが、幸先の良いスタートだ。急にチーム内の雰囲気が柔らかくなった。しかし今年は車検が終わったからと云って、即プール&遊園地というわけにはいかない。連日の突貫作業で、細かい未仕上げの箇所は無数にある。まずはお化粧のステッカー貼り。斑々の外観塗装が隠れて、少しだけ、おしゃれになった。

 

お化粧タイム ステッカーは耐水インクジェット用クリスパー製

 

 ミツバのモーターコントローラの設定も変えなければならない。数日前から試みているのだが、平澤のパソコン、前田のパソコンでは、なぜかパラメータの書き込みができず、云うことを聞いてくれない。結局、同じモーターを使っている立命館大学の生田君の助けを借りて無事終了。このごろ学生チームに、お世話になりっぱなしである。タイヤを予選用に交換 こいつは手間がかかる。

 

 一昨日の夜中に完成した充電台を組み立ててアッパーボディーを乗せてみる。できあがった日には実際に乗せてマッチングを見るだけの気力が残っていなかった。乗せてみると、どうもバランスが悪い。急遽設計変更。

 

13:00 休憩。遊園地内のビュッフェで軽食をとり、DIYショップへ充電台改良のための材木買い出しへ。

 

16:00 充電台改造終了。

 

16:30 係官が来て、バラスト固定の封印終了。これで本日の仕事はすべて終了。

 

同ピットの中日本自動車短期大学 SUN BIRD 5  エンジョイクラス

 

製作が遅れているという噂に、各チームからの激励(偵察)が相次ぐ。キムヒデ先生登場。

「 (サンレイク) らしくないなあ。」

「えー? 細川さんは 『うんうん 特徴残ってるじゃん。こだわりだねー』 っていってくれたよ。」

 ボディ前面から見ると長方形だが、頭としっぽは絞っており、ボディサイドが極力薄くなるようにヒネリが入れてある。ありがちな平面組み合わせ構造とは一味違うのである。わかるかなー?このちがい。

「でもここはパネル貼ってないんだから削らなきゃ」

とキムヒデ先生がフロントノーズを指す。

「そうそう来年は、こういう曲線で仕上げるから」。「いや、こうした方がええのとちゃうか?」

「まだ走ってもいないのに、なんで来年のデザインの話をするの?」

今回のボディの設計&製作主任の平澤は少々機嫌が悪い。

 

 過去7年間のサンレイクのデザインは空力最優先。事実、実際のレースで得られたデータに基づき試行錯誤しながら作られたそのスタイルは、チャレンジクラスの一つの理想型とも云え、自動車評論家の国沢光宏氏にして「ボディシルエットは十分かっこいい」と言わしめた。空力性能の程は過去の戦績から云って異論のないところだろう。

 しかし空力優先の曲線的なボディスタイルは、ソーラーカーとしては避けられない2つの欠点を有している。第一は、太陽電池に対する日照の問題である。流線型ボディでは車両の前後、および左右で太陽電池の角度が異なるため、一カ所に太陽光を垂直に当てると別の場所では傾いてしまうため、トータルでパネル性能を最大限に引き出すことができないのである。第二は製作上の問題。太陽電池パネルは二次元平面である。ボディの曲線をいかに美しく仕上げたところで、2次元平面を3次元曲面に貼ることはできない。無理に貼り付ければ太陽電池セルに無理な応力をかけてしまうことになる。変換効率に悪影響を与えるばかりか、セルそのものが割れやすくなってしまう。事実、ギリシャヴァージョンの車両の最も曲率が大きいところに貼られたセルは全て割れていた。

 

 NEOのアッパーボディはこの点を考慮して全て2次曲面で構成されている。複数枚の太陽電池セルが組み合わされたパネルは、二次曲面に沿わせて多角形的に曲げることは可能なため、セルにかかる応力を低減することができるはずだ。空力性能上、前後で角度が変わることは避けられないが、左右は角度が変わらないように水平に配置。つまるところ、ソーラーカー初心者がよく使うタイプの基本形状の一つだ。通常、このスタイルだと寸胴に見えてしまうことが多いのだが、ボディ前後を絞り、さらにボディ下部を上側にキックアップさせたおかげで、当初の予想よりかなりスマートに見える。

 材質は強化繊維で表面補強されたスチレンボード。強化繊維はカーボン、ザイロン、ケブラー、ダイニーマなど、手近で手に入るあらゆる物を使用した。ここだけは母体が繊維系化学企業である強みである。

 

 パーツは先に述べたとおり、全て平面。あらかじめ両面に補強繊維を貼り付けておく。パーツの作製自体は年末から開始されたが、雪が舞う真冬の野外作業が捗るわけもなく、ゴールデンウイークが過ぎてもNEOの姿は、まだ不格好な積み上げられた平板パーツの山でしかなかった。助っ人にやってきた大下と筒井は僕たちの作業風景を見て、しばらく絶句した後に、こうつぶやいた「サンレイクって、もっとちゃんとした設備の中で作っていると思っていた」。

 

 組み上げ開始はすでに初夏。平板パーツを、くみ上げの過程で二次曲面の組み合わせになるように変形させながらパーツどうしを接合させてゆく。頼りは平面図のみ。展開図は無いので曲面にする部分のパーツの曲げる前の正確な形状は解らない。当然現物あわせとなる。現物あわせはサンレイクが最も得意とする工法であるが、今回は少々勝手が違った。両面繊維補強されたスチレンボードは予想以上に強く(それ自体は歓迎すべき事なのだが)ちょっとやそっとでは曲がらない。組み付けるための治具も作らなくてはならず、作業は困難を極め、車体の完成は遅れに遅れた。当初は形だけでも仕上げて、参加したかった6月27日の試走会の日がやってきても、車体形状の全体像はまだ見えていなかった。「レースまでに完成できるかどうか五分五分やな」(竹原)。

 

# 製作過程詳細は公式HP、2005年のNeo製作記録参照

 

観客席からホームストレートを挟んでピットを鳥瞰。

 

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セクション2 サンレイクNEO始動

 

2005年8月06日 土曜日 フリー走行、予選、本戦第1ヒート

 

6:30 ホテルロビー集合

 

7:15 サンレイクNEO セットアップ完了 

フリー走行へ出陣。まともにスピード出して走るのはこれが最初だ。

 

7:45 フリー走行開始 ドライバーはいつものように高橋。予備バッテリーが無いとはいえ、NEOがまともにフル装備で走るのはこれが最初。おそるおそるから次第にスピードを変えて、貴重な走行データを取る。フリー走行直前の42分からNHKの取材。あれれ、TVカメラを構えているお兄さん、どこかでみたことあるぞ?

 

フリー走行無事終了

 

9:45 予選終了 5分22秒と平凡なタイム。予選とはいえ貴重なデータを取るための周回でもある。本戦では使わないような無茶なラップのデータを取ってもしょうがない。本戦に備えてタイヤ交換と同時にバッテリーの充電。今の僕たちには予選用の予備バッテリーなんて贅沢な物は持てない。

 

11:30 交代でパドックサロンで食事に行った平澤が血相変えて帰ってきた

           「えらいこっちゃ、タイヤを替えなあかん」

なんと!今年鳴り物入りだったIRCのタイヤ、バカボンズさんから、フリー走行と予選だけでボロボロになってしまったとの話を聴き、注文したカレーライスをキャンセルして戻ってきたようだ。とにかく大あわてでタイヤをリムから外し、ダンロップのタイヤに交換する。その交換作業を無言で眺める人たちがいた。当のIRCさんである。製造上の問題で品質に斑が出てしまっているとのこと。出荷したタイヤが全部駄目なわけではないのだが、現場で分別する手段がないため全品引き取るとのこと。いつも仕事ではクレーム処理に追われているセールスマンどうしの心が触れあったか? 腹立たしい出来事だったが、平澤の対応はいつになくソフトだった。

 

大あわてでタイヤをダンロップに変更

 

12:30 出走前チェック

 

12:45 24番グリッドにつける。今回はドライバーの搭乗順序を入れ替え、スタートが平澤である。次第に緊張が高まる

24番グリッド

 

12:57 サポートメンバーがコースを出る。

 

13:00 第一ヒート スタート。平澤は高橋バリにロケットスタートを試みたようだが、前と左右を挟まれてしまい、身動きが取れない。それでも1周目15位 2周目13位でメインストレートに帰ってきた。

 

 

本戦第1ヒートスタート

 

開始約20分後、立命館大学、スピンしてストップ。残念ながら足回り全般に大きなダメージ。第一ヒートはここでリタイヤ。太田病院で緊急手術を行うことになった。レース中は車両をピットから持ち出すことができないため、あらかじめ修理に邪魔になる電装系を全て外し、チェッカーが振られると同時にトラックに乗せて搬出できるように解体作業が始まった。どうすれば明日走ることができるか、だけを考えての素早い判断と行動。彼らもまた、僕たちと同じように、昨年使った車両を捨て、この一年間、全くゼロから学生のチカラだけで新しい車両を作り上げてきたんだ。

立命館大学EV-Racing α-Field

 

13:25 グリッドに付けなかったキョンシーが ピットスタートする。ここからの追い上げは鬼気迫る物があった。僕たちは30分すぎる頃から、次第にペースを落としほかのチームより一足早く我慢大会に入る。順位的には18〜19位。第一ヒートで無理をしてバッテリーを放電させすぎると、明日の午前中の充電だけでは最後までエネルギーを保たせることができなくなる。柏会と堺市立は、僕たちより30秒ほど早いラップで走行している。

 

キョンシー トラブル発生か?ピットスター      同ピットのSALESIO(ドリームクラス) タイヤ交換

 

14:20 高橋にドライバー交代 所要時間1分20秒 サンレイクとしては上出来である。

 

サンレイク ドライバー交代              ダッシュ登場

 

15:20 芦屋大学 タイヤ交換 3輪替えて なんと1分45秒。

 

15:39 高橋から緊急連絡「足回りがおかしい。ふらついて真っ直ぐ走れない!」。ピットに緊張が走った。「たぶんステアリングまわりや。あまりに硬いのを無理矢理切っていたから遂に壊れたんとちゃうか?」(平澤)。

「なんやったら立命と一緒に二台担いで帰ってもええぞ。」太田パパさん、縁起悪いこといわないで。

 

ピット裏まで車を出し、充電しながら大急ぎで足回りをチェック

 

15:47 高橋は迷った末にショートカットせずになんとか車をコントロールして苦しいながらも一周稼ぎ、ピットに帰ってきた。すでに日は傾きだしており、ピット前は日陰になっている。車両を頭からピットにつっこみ、アッパーカウルを外して延長コードで太陽電池に接続し、4人がかりの人間スタンドでカウルをピット裏側の日向に出して充電しながら残りのメンバーで前輪側をチェックする。特に異常は無い。皆が首をかしげたとき高橋が叫んだ。「後輪がゆるんでいる!」なんとロックリングがゆるんで後輪ホィールがガタついているではないか。しかし、幸運にも、締め直せばなんとかなる程度で収まっていてくれた。すぐに再スタート 12分、約2周分の痛いロス。

 

リヤホイールを締め直し再セットアップしコースへ

 

17:00 チェッカー。トラブル後は順調に走り、最終37周回、総合16位、クラス5位で第一ヒートを終えた。車両保管が終わると充電タイム。例年サンレイクが充電する場所は残念ながら上位チームに占領されていたが、なんとか一番西側、夕日に近いフェンス沿いに場所を確保することができた。地球の自転を感じることができる時間だ。日照はほとんど真横からなので、各チームとも車両をほぼ横に立てている。

 

 

第1ヒート終了のチェッカー と 車両保管中のソーラーカー達

 

18:20  太陽が山蔭に半分隠れた時点で切り上げ、バッテリーを保管場所に持ち込む。バッテリーは今夕18:30〜明朝10:00まで不正充電防止のため厳重な管理下に置かれる。

 

日没前の充電タイム 横倒しのソーラーカー達

 

 台湾から参加のAy先生御立腹である。場所取りのために置いておこうとした充電台をオフィシャルから退去させられたようだ。「明日朝のために良い充電場所をkeepしたいのに、なぜ、場所を空けなければならないのか?」 今夜、花火があり、花火のカスが振ってくること。明日、朝10:00のバッテリー保管解除時には、みんなでカウントダウンして一斉に充電場所までバッテリーを運ぶこと。既に陽は高いので、あまり影には気を遣わなくてもよいことを説明したら納得頂けた。ちゃんと説明してあげてよ。彼らのアポロは第一ヒート終盤に止まってしまったようだ。トラブルか?と問えば、今回は新しいLiイオンバッテリーを使ったため、まだコントロールの仕方が良くわからないとのこと。エネルギー使いすぎだとすれば、ちょっと走行効率悪すぎますよ。

 

  

左:高雄応用科学大 Apollo-plus 充電中(第2ヒート前)

右:OSU 大阪産業大学 model S’

 

再輝 ENAX 今年のDreamCup のポスターにもなった美しいフォルム。10年前からこの形だというところが凄い。

鈴鹿にはモーターボート用の牽引台にENAXを乗せメルセデスの四駆車で引っ張ってくる。

豹柄シートにくるまれた流線型の物体を牽引しているメルセデスを見かけたら、間違いなく再輝チームだ。

丁寧に道を譲るように。

 

 Ay先生、2006年に台湾でソーラーカーラリーが開催しようと、プロモーションに各チームにTシャツを配り歩いている。Phaethon2004では南台湾工科大学だったが、いただいた名刺は高雄応用科学大学になっている。「大学の名前が変わったのですか?」「いいや、私が大学を移った。」ソーラーカーは大学の物ではなく、先生のものなのか?。そういえばドライバー氏の顔も見覚えがある。Phaethon2004のスピードレースでアポロが横転したときのドライバーだ。「最初はあらっぽかったけど、だんだん上手になってきたよ」細川さん、しっかり見ている。

 

 さて、僕たちの差し迫った問題としては明日のタイヤをどうするかである。元々IRCを使うつもりで、予備のダンロップを使ってしまったで、明日のタイヤが無い! 「とにかく倉庫にある新しそうなタイヤを全部持ってきてくれ」岡山から駆けつけた鶴野が今度は滋賀までタイヤを取りに行くことになった。

 いつもはタイヤ交換後に、夕食弁当を花火見ながら食べるのであるが、替えたくてもタイヤがないので、作業は例年より早く終わり、花火後の渋滞前にホテルに帰ることができた。すべてを前向きに考えることにしよう。

 

堺市立工業高校 科学部SCIENCE 705 ドライバー交代シーン

2000-2002年、エンジョイクラス三連覇。2003年からチャレンジクラスに参戦。

基本的なフォルムは継承しながら微妙に車体形状が変わっていっています。 

 

 明日の第二ヒートはサバイバルゲーム。エネルギーを使い果たしたところから順位を落としてくる。トラブルで失った2周分を加えても僕たちは39周。悔しいが僕たちが2年間チャレンジクラスを留守にしていた間に、上位とはこれだけの差が開いてしまったようだ。昨年と一昨年、チャレンジ優勝の柏会、42周だがエースドライバーの関さん入院中で、大ピンチ。二年続けて2位の堺市立、41周、いつも以上にチカラが入っている。例年柏会が先行し、堺市立が二日目に追い上げる展開。今年はどうなるか?

 同じ滋賀県の企業内クラブ「バカボンズ」も今年はチャレンジクラスにエントリーしてきた。過去、アモルファス太陽電池に拘り、上限480w、小型車両が多いエンジョイクラスの中でフルサイズの巨体で奮闘してきた名門である。昨年はどうしても甲羅干しをしてみたかったとのことでドリームクラスにエントリー、アモルファス太陽電池にLiイオンバッテリーという組み合わせで異彩を放った。太陽光発電の絶対量が小さいくせに車体は大きくならざるを得ないという非常に不利な条件の中で他チームと競り合ってきた技術力を侮ることはできない。今回は母体企業がアモルファスから撤退するため、やむなく看板をすげ替えての出場。新しいチャレンジボディはパンダサンのトライアシックダンディー(TriassicDandy)とそっくりで見分けが付かない。堺市立と同一周回の41周。

バカボンズチームの「スカラバイウス」 前の「湖上の風」とか「湖上の嵐」ってネーミングの方が僕は好きだな。

 

左:昨年、総合優勝のパンダサン「トライアシック ダンディー」 三畳紀の伊達男 この名前には昨年ノックアウトを食らった。

右:さあ、どっちだ???

 

東海大付属翔洋高校 Falcon 今年も壁一枚隔ててお隣のピットになりました。

 

 5年かけてつくられたキョンシーチームの車両が美しい。昨年パンダサンチームが優勝したときにはキョンシーチームがバックアップしていた。無駄のないパネル配置。通常パネル配置を優先すると車体はどうしても四角く角張った形になってしまいがちなのだが、なんと美しい曲線美なんだろう。テールが絞ってない点を除けば、往年のサンレイクの流線型ボディに形は似ているが、比べるのがちょっと失礼なくらい美しく仕上げられている。昨年、期待されながらも車検中に車両を壊して棄権したマックススピード。名門、太陽虫の流れを継承、構成メンバーは、実は私の母校でもある鈴鹿高専出身者が多い。

 

左:キョンシー    右:Team MaxSpeed の Flat Out スパッツは間に合わなかったか?

     

左:昨年、一昨年とチャレンジ1位の柏会の「武蔵」  

右:昨年チャレンジ3位のGIGA03 旧サンレイクを意識したのはご本人さん達も認めておられました。

 

 昨年までドリームクラスに出場していた金沢工科大学も今年は新車でチャレンジクラスに出場。4位に付けているが、レース終盤にはペースダウンしていた。実力は未知数。車体形状は、20012002に鈴鹿でテスト走行していた実験車両に似ている。 明日のチャレンジクラスは大混戦必至。

 

右写真手前 金沢工業大学 KIT GoldenEagle 4 犬鷲のネーミングは楽天に対し先使用権有り。

後方:800w太陽電池でドリームに挑む東海大学SolspiritsチームのTOKAI S8

左:5年ぶりに帰ってきた山口大学「ベリーナ」。クラシックなスタイルだが、前輪の車軸を

むき出しにした構造の上での空力追求姿勢に期待したい。一つの理想型はハマ零のヒトミ号か?

 

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セクション3 復活の足取り

 

2005年8月07日(日曜日) 本戦 第二ヒート

ひえひえグランプリ(充電合戦)スタートライン。10:00バッテリー保管解除時間にむけて

みんなでカウントダウンし、1秒でも早くバッテリーを充電場所に届けるために

ダッシュする。その後は発電効率を高めるために氷水を噴霧して太陽電池を冷やすのである。

 

8:00 ホテルロビー集合

 途中のコンビニで大量の氷を買い込みサーキットに向かう。読売新聞北勢版、郵政民営化法案のおかげで、ドリームカップの記事が小さいぞ!。昨年は一面トップだったのに。

 

9:00 タイヤ交換作業開始 まずホイールにタイヤを入れるのが一仕事。結局使えそうなタイヤは2本しか無く、立命館さんから一本譲って頂くことになった。感謝。

 

 

左:またまたタイヤ交換             右:新品タイヤのひげ剃り中

 

10:00 バッテリー保管解除。第二ヒート開始までに間、太陽光を利用した充電が許される。今回の充電台は2×4材を使った木製可搬組み立て式である。組み立てて据え付けるとかなり存在感がある。エンジョイ観戦に、一足早く会場入りした大下、筒井組が、ピットに近いなかなか良い場所をkeepしてくれていた。

 

サンレイク名物MPPTウチワ扇ぎ。本当に効果があるのか?毎年疑問を感じながらも、

誰も止めようとは云わない。時折雲がよぎるが昨年とは比較にならない良い天気。

でも充電電流はイマイチ、やはりパネルがかなり痛んできているようだ。

 

 

充電中のAurora101 前輪1輪と後輪2輪を結んだ三角形のフレームが全体を支えていることが良くわかる。

アッパー部、軽量化のため、障子の桟にも似た細分化されたリブで太陽電池セルを直接支えている。

 

「あれ?」園田がウインカーを覗き込む。「水が溜まってますよ」。やばい!大あわてでPETフィルム製のカバーを切り抜き水を抜く。見えるところの水は抜くことができたが内部に溜まって、点灯しなくなると出走前チェックで落とされてしまう。万が一ショートして壊れでもしたら替えの部品はない。祈る気持ちの出走前チェックは問題なく合格。来年は防水対策をしっかり行おう。

 

夜を徹しての修理の甲斐あって、立命館α-Field復活間近

手前は、日本最長老ソーラードライバー、シバタ御大

 

12:00 GaAs搭載のスーパードリームクラスは既にピットに移動している。彼らは、下手に満充電にしてしまうと、バッテリーをパンクさせかねないので、ほどほどで切り上げているはずだ。単結晶シリコン組は、少しで電力を貯えたいのでギリギリまで粘っている。

 

 

左:ピット前の日向にアッパーを出し、太陽光充電しながらアライメント調整。

右:太田パパとシバタ御大に後輪固定についてアドバイスを頂戴する。

 

12:30 ピットに戻り本戦用にセットアップ。

 

スターティンググリッドに向かう

 

12:50 コースに出る。第2ヒートのスターティンググリッドは、昨日より少し前になって 16番グリッドからのスタート。

第2ヒート スタート3分。サンレイクは16番グリッド。

前右後方17番グリッドは静岡工科自動車大学校 Bullet05 青を基調としていたデザインからオレンジにイメージチェンジ。

18番はキョンシー、19番は荏原製作所の企業内クラブHATレーシングチーム EBARA ECO-TECH 

20番ポリテクカレッジ滋賀、21番SolarGIGAと続く。

 

 ソーラーカーの中は暑い。が、少しでも軽くするために余分な物は持ち込まない。水筒を持ち込むなどもってのほかである(実際、昨年まではその通りだった)、といいたいところだが。昨日の第一ヒート後半、2時間半強を走った後に車を降りた高橋の姿には全員絶句した。レーシングスーツの上から下まで乾いているところが全く無く、水から上がってきたようにずぶぬれである。もちろん汗だ。目はくぼみ、足はもつれて自力で立つことさえおぼつかない。マレーシアで脱水症状になりかけた記憶が頭をよぎる。

ということで、今回は特別に持ち込み可、とした。とはいっても水筒やPETボトルから直接、飲み物が飲めるほどコクピット内は広くはない。ヘルメットはロールバーにすっぽりはまっているので、上を向くことさえ難しい。マレーシアでは、500mlのPETボトルの蓋にドリルで穴をあけ、ストローを差し込んで即席の水分補給システムを作ったのだが、ドライバー全員、最初の数周の間に全部飲み干してしまった。それくらいなら最初から飲んで乗り込めばよい。

 朝のコンビニで仕入れたのはチューブ入りで丸ごと冷凍されたスポーツドリンク。これなら、溶けるまでは飲めないから、少しは長持ちするだろう。ポケットに入れておけば、少しは身体の冷却にも役に立つ。

 

13:00 スタートドライバーは昨日と同じ順序で平澤。日照は抜群で昨日より早い5:45秒前後で調子よく周回する。柏会と堺は5分30秒前後で競り合っている。バカボンズ、金沢工科大含めチャレンジクラスは6分強で周回。平澤は持ち込んだドリンクを飲もうとしたが蓋が開けられなかったようだ。「こんなもん飲めるか!」。

 

1時間を超え、各チーム、ぽつぽつとドライバー交代。天候は下り気味、少々雲行きが怪しくなってきた。

 

14:28 16周目で高橋にドライバー交代。雨対策にビニルシートを電装系周りに押し込む。所要時間1分25秒。このころから陽が陰りだした。チャレンジクラスは皆ペースを落とし、我慢大会に入る。

 

 

 ドリーム上位3チームは別格で、天気など全く気にせずスピードレースを続けている。GaAs部門はスーパードリームとして独立させるべきだ。平澤が諦めたドリンクだったが、高橋はなんとか蓋をこじ開けることに成功したようだ。凍ったまま持ち込んだはずだが、あっという間に溶けてしまい。すぐに飲み干してしまったらしい。(来年からは保冷ボックスの装備が必要か?)

 

再輝チーム、キョンシー 同時にドライバー交代

 

15:00 雲行きはさらに怪しくなり、ピットから見える大観覧車の横に積乱雲がみるみる立ち上がっていく。西側の空は暗く陰りいつ雨が降り出してもおかしくない様相を呈してきた。各チーム、雨対策を兼ねてピットインし出した。高橋が稲妻を目撃。雷雲がすぐそこまで迫っている。各チームさらにペースを落とし、僕たちもギリギリ6分台キープ。ドリームもペースを落としてきているがそれでも5分前半。

 

西の空から積乱雲が

 

15:30頃 高雄応用科学大アポロがコース上にストップ。金沢工大ペースを落とし、サンレイク、チャレンジ4位に浮上。

 

16:00 後1時間 3位のバカボンズのラップが7分台まで落ちた。だが周回数差がありすぎるので止まってくれない限り逆転は難しい。老練な彼らがそんなへまをするとは思えない。

 

 

16:05 天候回復 結局雷雲はサーキット上空を通らず、太陽が戻ってきた。しかしコース上には次々と車が止まりだし、最後の逆転劇タイムが始まった。

 

16:07 なに??? 30周目のラップは7分20秒。1分近く遅い。トラブルか?、時計の読み間違いか?。プラットホームで計時していた鶴野も首をかしげながら帰ってきた。この周回、とうの昔に自分が持ち込んだドリンクを飲み干した高橋は、平澤が置き忘れていったドリンクを見つけ、身動き取れないコクピット内で必死にたぐり寄せていたらしい。

 

 エネルギーは十分ありそうだ、しかし新しく使ったバッテリーの限界を把握できていない僕たちはぐっと我慢してペースを守る。コース上で止まってチェッカーを受けられないという失態だけは絶対に避けなければならない。

創設年以来、サンレイクのピットにこんなに人がいたことがあっただろうか!?

 

16:49 TIGAが100周達成。拍手。スーパードリームクラスは新しい時代に入った。

 

  チャレンジクラスもドリームに負けず劣らず会場を沸かせている。柏会と堺市立がS字カーブで意地とプライドを張り合っている。両方とも一次の勢いはなく、ラップタイムは6分台に落ちている。鉛バッテリーの電圧はかなり落ちてきているはずだ。モーターにパワーを投入するには必要以上に電流を引き出さなければならず、それはさらにバッテリーの消耗に拍車を掛けてしまうことを意味する。エネルギーが有り余っているドリームクラスと異なり、7時間以上走り続けたチャレンジクラス同士のドッグファイト、それは相手に競り勝てるか、それともチェッカー前にエネルギーが尽き果ててコース上で止まってしまうという失態を演じるか、を秤にかけたギリギリの駆け引きなのだ。

 

17:00 そして、チェッカー。ピットにいた全員でプラットホームに繰り出して出迎える。ホームストレートのプラットよりをフルボリュームで走り抜けるサンレイクNEO! めちゃくちゃかっこいいぜ。

 

 総合1〜3位は  TIGA、OSU、Aurora。いずれも100周超を達成した。車検前日にはテスト走行でカウル破損し、超高価なGaAs太陽電池パネル2枚をショートさせるという不運を乗り越え、参戦5年目で表彰台獲得した AuroraチームのDevid Fewchuk 氏、満面の笑顔。WSC優勝経験のあるチームでも表彰台まで5年かかるのが鈴鹿サーキット。

 

 細川さんの表情が険しい。しかし資金力、組織力が桁違いの上位3チームと張り合い、手作りのソーラーカーが達成した94周は、同じ手作りで参戦し続ける僕たちの新しい目標となった。(サンレイクの最高周回数は、ドリームで参戦した2003年の89周。)

 

 チャレンジクラスは最後の最後で前日の柏会との1ラップ差を抜き返し、堺市立が念願の初優勝を飾った。3位はバカボンズ。初日飛ばしすぎたか、二日目はペースが落ちた。

 

 

左:喜びに沸く堺市立工業高校チーム  右:103周達成 芦屋スカイエースTIGA

 

サンレイクは、昨日の反省に基づいて実施した後輪のゆるみ止め対策が効き、本日の走行はトラブル無し。4周回差あったバカボンズに2周回差まで詰め寄ったが、彼らは最後まで止まることなく走り続け、見事ににげきられてしまった。第2ヒート39周、トータル76周で 総合11位 クラス4位。周回数は過去のチャレンジ自己ベストに届かないが、積みこみ前日に完成した車両で完走できただけで今は満足。高速走行時の消費電力は以前より改善されており、新しいバッテリーの充放電データと共に、次回への作戦と車両改良計画を立てるだけの十分なデータを取ることができた。

 

 

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エピローグ 新しい獲物達

 

2005年8月07日(日曜日) 夕刻 撤収準備

 

18:50 撤収作業には新しい顔ぶれが5人加わっていた。「本当に面白いのは日曜日の16時からだよ。」という言葉に二日続けてピットに応援に来てくれた彼らを、鈴鹿の魔物達が見逃すはずもない。

 

DreamCupよりも貴重なものを得て、2005年の夏は終わった。

 

History will begin anew

 


初稿  2005.08.09
第2稿  2005.08.13
第3稿  2005.08.14
第3c稿 2005.08.22
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三文楽士の休日 2005年夏編
Sunlake Reloaded

Satoshi Maeda@Team Sunlake
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