§3.ガムテープとの決別
2001.07.15(日) 09:30 滋賀県某所 サンレイク・アジト
仰向けになったボディを睨みながらメンバー間で激しいディスカッション。
SunLake号のシャーシとアッパーボディとの固定はボルト二本とガムテープである。空気抵抗を減らすために、車輪を覆うためのエアロパーツの固定もガムテープ。SunLake号がイマイチ、あか抜けない部分である。
マレーシアにおける高温多湿環境でのレースは、ガムテープに頼る SunLake の脆弱さを浮き彫りにした。、不快指数100%の環境下では、あらゆる物の表面が結露し、ガムテープの粘着力が著しく低下するのである。くっつかないガムテープに、やむなくさらに、ガムテープを重ねる悪循環、マレーシアのレース中、車体に使用されていたガムテープの総重量は軽く1kgを越えていたのである。
ガムテープからの決別は、メンバーの悲願でもあるのだが、現実的には困難を極めている。実のところメンバーの考えるところも一本化はされていない。
マジックテープ化を視野に入れて、材料探し開始。DIYショップ、手芸店を回るが、幅10cmの布テープが有りそうで、なかなか無い。
竹原 ガムテープをマジックテープに変えよう。それだけでもセットアップ作業はかなり楽になる。 平澤 ガムテープをマジックテープに変えても、固定をテープに頼るという意味で本質はあまり代わらない。ボルト固定が出来るようにしたい。 前田 鈴鹿は順調であればレース中にタイヤ交換の必要はない。よって鈴鹿は例年通りガムテープで乗り切り、次の湖東12時間耐久レースをターゲットに、案を練ろう。 下村 ・・・・・・・・
17:00 サウンドカクテル 訪問
サンレイク次期監督就任を嘱望されつつ、転勤辞令を嫌って退職し、自動車オーディオ専門店に再就職していた園田を訪ね、リアの方向指示器とブレーキランプの加工を託する。
2001.07.16(月)
下村監督 今日からまた韓国である。
2001.07.17(火) 18:00 滋賀県某所 サンレイク・アジト
自衛隊の制服用生地を入手した竹原 「これは丈夫でっせェ。」
SunLake号を前にディスカッション。
「如何なる案であれ、鈴鹿の前に勢いでやってしまわないと出来ない。兎に角、この生地を利用してマジックテープを取り付けて見よう。そして、韓国から帰ってきた下村を驚かせてやろう。」
竹原の勢いに押され「マジックテープを何とかして取り付けてしまおう」という腹は決まった。とりあえず、この日はマジックテープ化の可能性判断のために生地とカーボンコンポジットの接着性試験を実施して解散。
2001.07.18(水) 18:30 滋賀県某所 サンレイク・アジト
下村監督が帰国、入れ違いに前田は18-19と出張で不在。なんとも人手不足なのだが。 勢いに乗る竹原は、人出を手配してボディを裏返してマジックテープ張り込みの準備。次いで竹原夫人を現場まで呼びつけ、ザイロンと似た色の生地とミシンの手配を命し、マジックテープの下ごしらえをするようにと指示。
21:00〜? 竹原亭
この晩、竹原夫人は夜遅くまで新しいミシンで布テープを縫製し、さらにマジックテープを縫いつける作業に没頭した。
# 後日、竹原夫人は「ミシン買って貰えてよかったわあ」
# と我々に笑顔で語り、夫婦円満を印象づけたが、真相は不明である。
# 他の男性メンバーが、同じ事をしたら、間違いなく
# 家庭争議に発展したであろう事は容易に類推できる。
2001.07.19(木) 18:00 滋賀県某所 サンレイク・アジト
マジックテープの貼り込みを強行。布地に液状エポキシ樹脂をしみ込ませ、ボディの所定部分に乗せて荷重をかけ、硬化を待つお決まりの手法。ミシンまで購入した竹原の勢いに監督は押されっぱなしだったようだ。
ボディカウル裏面開口部のエッジに装着されたマジックテープ。
茶色の布の裏側にマジックテープが縫いつけられている。変色部がエポキシ
樹脂含浸部分。後付なので仕上げは不味いが、見えないところなので・・・・。
2001.07.20(金祝) 09:30 滋賀県某所 サンレイク・アジト
と、いうことで出張から僕が帰ってきたときには作業はあらかた終了していた。日頃は大阪勤務で、この日シッカリとボディに貼り付いているマジックテープを一目見た平澤はショックで泣き崩れた・・・が、しかし、意外にしっかりくっついているじゃないか。
# 以来、マジックテープの使いこなしは
# チーム・サンレイクの重要な技術の一つとなった。
後尾に貼り足した発泡スチロールブロックを削りだして成形し、 表面にザイロンクロスを、エポキシ樹脂で貼り付け、離型フィルムを 重ねて押さえつけ、硬化した後に、太陽電池パネルを貼り付ける。 |
ソーラーパネル貼り付け、コーキング。
後尾部のフニャフニャをカバーするためのバンパーブレード製作と取り付け。追突してくるやつをスパっと切り裂くほどに尖らせておかねばならない。一見金属だが、スチレンボードで裏打ちしたA−PETシートである。
マレーシアで破損した前輪エアロパーツの作り直し。
後尾に取り付けられた銀色のブレード
2001.07.21(土)
園田製ウインカーの取り付け。後尾の微妙なカーブに合わせて切り取った7mm厚のスチレンボードの芯に5mmφほどの孔を明けてLEDを埋め込み、結線後に高透明のPETフィルムでカバーした手の込んだウインカーユニットである。誰もが感嘆の声。
最終チェック 調整作業
後尾の両サイドエッジに取り付けられた特製極薄ウインカー
2001.07.22(日)
久々のオフ日。
2001.07.25(水) 18:30 滋賀県某所 サンレイク・アジト
積み荷の準備。 エアロパーツを忘れないように
2001.07.26(木) 18:00 滋賀県某所 サンレイク・アジト
車体、補充部品、および工具類の積み込み。いよいよ明日だ。
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三文楽士の休日
FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP DREAM CUP SOLAR CAR RACE SUZUKA 2001
2001 マレーシアから鈴鹿に続く道 §3.ガムテープとの決別
The Way form Malaysia to Suzuka 2001
Section 3 The Improvement of Body Joint
第一稿(テキスト版) 2001.08.04.
第二稿(WEB公開準備) 2006.09.25.
第三稿(微改訂、テキスト版公開) 2010.10.15.
第四稿(改訂・追記、画像追加) 2010.10.30.