三文楽士の休日

Phaethon2004

ギリシャ・ソーラーカーラリー道中記

*** 番外編 ギリシャ拾遺物語 ***




DASH

日本からPhaethon2004に参加したソーラーカーチームは5組。それとは別に日本からはもう一つの専門家集団がPhaethonに参加していた。その名は取材チーム「ダッシュ」。

  「仕事でギリシャ行けるなんて、いいじゃないですか」「とんでもない、どのチームより早く起きて準備して、全てのチームの活動が終わるまで取材、さらにその後は翌日のヴィデオテープの準備やバッテリーの充電で、ほとんど寝る暇なんてないんですよ。観光なんてとんでもない。」 彼らの悪い予感は的中した。サンレイク含め、各チームとも大なり小なりのトラブルを抱えてのラリーレース。取材陣は早朝から深夜までカメラを抱えて飛び回る。我々が一日24時間活動していたとき、彼らは一日に26時間働いていた。

 

開会二日前のグリファダの格納庫にて。まだ日焼けしていません

 

日本からの最年少参加者にインタビュー中。 日欧のプロ対決


神出鬼没 

コーナーで待ち伏せして撮影していたかと思うと、

 

今度は追いきながらの撮影




筆者のお供の楽器達


    

 

 

左画像のポケットトランペットは東京下倉楽器のショップブランド「マルカート」。通常のBb管トランペットと同じデカベルであり、Jupiterなどのチビベルに比べると吹奏感は自然。通販グレードのポケトラとは一線を画し、楽器としては十分な品質である。ただし、XenoやBachとは比べるのは可哀想。あくまで価格相応。乾燥+陽射しで唇はガサガサ。リップクリームは必需品でした。

 

右画像の親指ピアノはヒュートレイシー社(南ア)製のカリンバ。山田晴三師匠に倣って手製のシェイカーをガムテープで貼り付けてあり、楽器ごとシャカシャカ降りながら弾く。簡単そうに見えるが、難易度は高い。師匠は、シャカシャカと小気味よいビートを刻みながら、ポロンポロンとさわやかな分散和音を奏し、さらにその上、それを伴奏に歌を歌ってしまうという三位一体プレイヤーだが、修行途中の筆者は同時に二つまでしかこなせない。




ギリシャの楽器達

左上から 小さいラウド、ペルシャ型ラウド、ギリシャ型ラウド、サズ、ウード
下段はブズーキ


ジャンクの金管楽器類

 

本編にも書いたとおり、5月29日午後にはガラス越しにしか対面できなかったブズーキであるが、

実は翌5月30日午前中の超特急アクロポリスツアー中に直に見ることができた。蚤の市風の骨董金管楽器類も同様。しかし、それは帰路に発つためのタクシーを探しに大通りに向かう途中の出来事、写真を撮るのがせいいっぱいであった。右端のはブージーのポケトラ。ピストンは動いたが抜き差し管がビクともしなかったので見送った。値切れば100EUくらいになっただろう。正直なところ、少し後悔している。

 





ギリシャの伝統音楽

 

残念ながら、ギリシャ音楽には、ほんのサワリしか触れることができなかったが、それでも十分にその特異な性格を感じ取ることはできた。

 

ギリシャ正教のお祈り

ギリシャ正教はギリシャの国教であり、かなり古いスタイルを残したキリスト教の一派である。

ギリシャ正教の教会は、日本の田舎町でのお寺や神社に匹敵する密度で、いたるところにあった。教会の屋根は、比較的見慣れたカトリック教会の鋭角的な屋根ではなく、丸みを帯びており東洋的な雰囲気が感じられる。

古い教会の前で。演奏家のコスチュームは北米先住民風だが
演奏されていたのは南米のフォルクローレ

 

アテネ市内には神具を扱う店もあった。キリスト像はやや漫画チックに目が大きくかかれ、黒と金色の縁取りが、なんとも浄土真宗の仏具のイメージと重なる。教会の内部の祭壇は、まるで仏壇である。お祈りのトーンは、イスラム教のコーランと節回しがそっくりであった。

敬虔な教徒氏が、この頁を読んだら、ずいぶんとお怒りになるかもしれない。しかし、私には揶揄している気持ちは毛頭無い。キリスト教もイスラム教も仏教も、根ざすところには共通点がありそうだ、ということを感覚的に感じたということを申し上げたいのである。ギリシャは間違いなくオリエントの一角であった。

 

ふたたびブズーキ

古来、現在の弦楽器類の原型となった古代リュートには長竿と短竿の二つの流れがあった。短竿の本家筋はペルシャに伝わるウードである。シルクロードを通って東に伝わった短竿リュートは中国で琵琶(ピパ)となり、日本で琵琶(びわ)になった。ウードは西にも伝わり、東欧に残る中間種を経て、ルネッサンス期には欧州でリュートになった。大小つくられたリュートののなかで一番小さいのがマンドリンであり、いまはこれだけが生き残っている。

一方長竿はというと、これまたペルシャには本家筋のサズが伝わっている。東にはいろいろと変形しながら伝わり、革張りになったり、弓弾き楽器になったりして、ついぞ原型が解らなくなってしまっているが、日本の三味線もインドのシタールも元をたどればどこかで長竿リュートと通じているはずである。西に伝わった長竿リュートはボゾックとなり、ギリシャでブズーキになった。長竿と短竿の中間的な楽器であるラウドもまた、同様に中近東からギリシャにかけて少しずつ形を変えて生き残っている。前述の楽器屋には、この流れが、博物館の展示物ではなく、今を生きる商品として陳列されていた。これは感動物であった。時間が許せば丸一日でも居座って片っ端から手にとっていただろう。


こちらは5月29日夕方にガラス越しに対面したブズーキ
日本製のエレキギターやエフェクター類の中に、普通の顔して並んでいました。

 

夕暮れになると、テラス式のカフェからポロポロとギターとブズーキのアンサンブルが聞こえてきた。ブズーキでコードをかきならすと、深いボウルに、長い複弦の豊かなコーラスと余韻が響く。それは同じ丸いボウルと複弦を持つマンドリンのコードストロークとは異なり、中近東の共鳴弦を持つ楽器の響きに近かい。旋律を奏するとき、ほとんどが即興の速弾きであるが、そのスケールはまたオリエンタルな香りの残るものであった。先の(コーランに似た)ギリシャ正教のお祈りの節回しに通じるのである。

 

結婚式

グリファダのフェニックスホテルには都合5泊したことになるが、その間、ホテルを会場にして結婚式が2回あった。20時頃から着飾った人たちが集まってきて、延々と宴会が続く。深夜0時頃はまさに宴たけなわである。ホールはプールがある中庭に向かって開け放たれ、プールサイドでは大音量でギリシャ音楽が流れ、文字通り、手をつないで輪になって踊り続けるのである。東欧と中近東の音楽が混ざったようなダンス音楽は、「フォークダンス」そのものであった。こちらは連日くたくただったので、それでも眠ることはできたが・・・・・。

 





Posters

Zappionの玄関に並んで貼られたDreamCupとPhaethonのポスター

何の因果か、DreamCupのポスターは、実は筆者がギリシャまで運んだ。

 

 




Boeing 747

グリファダの旧国際空港の一角には、エンジンが取り外された大型機が
並べられていた。一部は解体されていたので、スクラップ待ちかと思ったが、
そうではなく、航空機博物館が計画されているとのことであった。
ポーズをとっているのは先発隊のメンバー。

 





Scrutineering

「車検」の意味。
車検の中身は、車両寸法の計測、車重測定、太陽電池総面積のチェック、バッテリーのチェックと封印、ドライバーの体重チェックとバラストのチェック。ウインカー類は動作のチェックだけで寸法や取り付け位置など細かいことは不問。

車検一番乗りはヘリオデットであった、太陽電池パネルは単純な長方形なので面積の算出は簡単だ。二番目がサンレイク。太陽電池パネルは、長方形に組み合わせてあるユニットと、単位セルが混在していたので、面積の算出に少々手間取っていた。エール大のJohn-Leeの太陽電池面積は全部数えたのだろうか?

 

 




FH-Bochum and Sunlake

独のFH-Bochumチームに「ローターを貸りれないか?」と相談中のサンレイクチームがソーラーカーの窓に映っている。この頁までたどり着いたあなたなら、この車両の名前は先刻ご承知であろう。

 

ところで、この写真は狙って撮ったか?はたまた偶然の産物か?



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