The Place in the Sun

三文楽士の休日

Some Days Spent in a Volcanic Island

火山島滞在記


 プロローグ  星の門
 セクション1 済州島
 セクション2 新羅 
 セクション3 天帝淵瀑布
 セクション4 漢拏山
 エピローグ  雲の衣
     Prologue : Stargate
 Section 1: Jeju Island
 Section 2: Shilla
 Section 3: Cheonjeyeon Falls
 Section 4: Halla-san
 Epilogue : Clothing of the Cloud

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プロローグ  星の門   /   Prologue : Stargate

2013年09月09日 22:00 Star Gate Hotel Kansai Airport/りんくうタウン

 誰が何をどう間違えたらこうなるのか解らないのだが、ある技術ジャンルの国際規格制定の委員に指名されてしまった。だからといってギャラが貰える訳でもなんでもない。形式上は間接的に、国=経産省から依頼されたことになっており、旅費の一部は補助されるのだが、足りない分はなんらかして工面しなければならない。



Star Gate Hotel Kansai Airport

 9月11-13日にかけて済州島で「ある分野」の国際学会(以下「学術会議」)が開催される。アジア地区持ち回りで開催されており、昨年は東京、今回が済州島(韓国)、来年は北京の予定である。こちらは学術会議だが、「ある技術ジャンル」の関係者が自主的に集まる訳なので、そういう機会に合わせて国際規格関係の会合(以下「標準化会議」)も設定されるのが常、というわけである。

 今回は私にとっては初めての国際規格会合である。一人で乗り込む訳ではなく、日本代表団の使い走りという位置付けではあるが、それなりに規格案の説明なりなんなりをしなければならない。国際規格の公用語は第二次世界大戦の戦勝国側の言葉であって、日本語、ドイツ語、イタリア語は使えない(日本語以外で解るのはイタリア語の音楽用語だけだが)。事実上は英語である。こりゃ、どう考えても私向きの仕事ではない。だから、相当に就任は渋ったが、それでも強引におしきられてしまった。結果、某国際規格制定組織のHPに、私の名前とメルアドがしっかり書かれている。時を同じくして、英語の転職勧誘メールがどっと増えた。



 使い走りでも、それなりに仕事はあり現地入り前の一週間は、ほぼ資料の事前調整作業に費やされた。りんくうタウンの高層ホテルに辿り着いた時点で既にクタクタ。ソーラーカーレースに例えれば、本戦一週間前から連日の徹夜作業、最後のだめ押しに、ピットで夜明かししているようなものである。



2013年09月10日 06:30 Star Gate Hotel Kansai Airport / りんくうタウン

 ホテルから関空行きの送迎バスに乗る。乗客は米国人夫婦らしき二人と私の3人のみ。関空離陸予定は09:00。平日の早朝便なので、比較的空いており、チェックインもスイスイいった。これなら前泊しなくても間に合ったかもしれない。



09:05 Kansai International Airport / 関西国際空港

 関西国際空港を離陸。3人席の通路側。窓側は妙齢の日本のご婦人の二人組。できれば少し居眠りしたかったのだが、諦めて少しパソコン作業を始めた。が、集中できず、結局空いている席に自主的に移動することとなった。



セクション1 済州島   /   Section 1:Jeju Island

10:45 Jeju International Airport / Jeju island / Korea  済州国際空港/済州島/韓国

 離陸が5分程遅れ、着陸も5分遅れで済州島に着陸。入国審査は順調。

 済州島は韓国の南西に浮かぶ、南北20-25km、東西60-70kmの楕円形の島。大きさは香川県、東京都と同じくらいある。中央に漢拏山(Halla-san、地元の人の発音ではハルラサンないしハンナサンと聞こえる。日本語読みでは「かんなさん」)という標高1950mの休火山が聳えている。島のどこからでも見えるはずで、空港から山頂までは水平距離10kmほどしかないのだが、山側は霞がかかっていて全く見えない。



一見、視界は良さげだが、画面左からうっすら伸びる稜線が空に溶けて消えている。
そのあたりに山頂が見えそうなのだが、よほど心が清くないと見えそうもない。

 済州島の北側にある空港から、島の南側の要所とを往復する600番系統のバスに乗った。料金は社内で車掌(?)が集めに来るクラシックスタイル。島を縦断することになるのだが料金は\400くらいと安い。ホテル運営の無料リムジンバスもあるのだが、運行間隔が少々長い。



バスは漢拏山を中心とする自然公園地帯を突っ切り、漢拏山の横をかすめて走る。
海側の霞がかかっていて、見えるはずの海岸線もぼやけている。



山側は牧場になっている。牛ではなく馬。元の時代に蒙古が島に持ち込んだとのこと。
火山が作った個性的な地形が続く。阿蘇にも似たような風景があった。



山側はこの程度の視界。うっすらと稜線が見えるような気のせいのような



セクション2 新羅   /   Section 2:Shilla

12:10 Shilla Hotel Jeju Island 新羅ホテル/中文観光団地/済州島/韓国

 これから5日間を過ごすことになる新羅ホテルに到着。日本からは、前日入りしているメンバーが2名、関空からは私含め2名、成田から6−7人が1時間ほど遅れて到着する予定。

 中文観光団地の「中文」は地名。観光団地の通り、外貨獲得のための観光施設を集約した人口都市である。巨大なホテルが複数集約されており、その周りをゴルフ場や、ミニテーマパーク的な施設が囲っている。普通の生活の臭いは一切しない100%レジャーに特化した非日常スペースである。韓国映画のロケにもよくつかわれるようで、その意味でも名所になっているようだ。



Shilla Hotel は漢字では新羅ホテル。経営はサムスングループ

 山側から見ると周囲のホテルよりこぢんまりしている印象・・・・・まるで平屋建てに見えるのだが、実際は急な斜面に沿うように立てられていて見えている=入り口があるのは5階である。チェックインカウンター含め、自分の部屋に辿り着くまでの間にホテル係員3人から、「ここは5階、お前の部屋は3階だからエレベーターで下りるんだ。」「間違うな、降りるんだぞ」と注意された。

 このホテル、普通に予約すると一泊¥35000程する。今回は(学術会議の方にも登録したので)特別レートで割安だが、それでも一泊\25000、である。これで周囲の他のホテルと同レベルらしい。しかも朝食は別料金である。

 部屋に入ってしばらくして真っ青になった。部屋にはLANケーブルのツナギ口が無いのだ !?

 他の人は無線LANで接続していたようだが、当方、無線LANはどうにも信用がおけないので設定していない。困った。いきなりネット難民である。英単語一つ調べるにもネットに頼っているというのに・・・・・・・

 

仕事で来てるって云っても、信じて貰えそうにない。


14:00 日本代表団事前対策会議

 日本代表団 ロビーに集合。まずは事前対策会議であるが、これがケンケンガクガク。実は離日直前まで方針がまとまらず、持ち越されていたのである。資料作りが手間取ったのはそのためだ。周りから見たら「なんやこいつら?」状態だったのは間違いない。隣ではずっと生演奏が続いていたというのに。いやはやミュージシャンにも申し訳ない。



 さて、この会合、最初は食事しながらでも・・・・というノリだったのだが、レストランに入ってビックリ。単品料理の一番安いのでも\3000である。単品料理ってのがステーキや海鮮盛りだったら驚きはしない。チーズバーガーとか「きつねうどん」なのである。



16:00

 某A国との根回し会議。こちとらは全てが初体験なので要領も解らず、当方説明も相当に怪しげであったが、いちおう通じたみたい。

18:00 日本代表団結成パーティ


 ホテル内のレストランは、先の通りなので、近くの済州式海鮮レストランへ繰り出した。済州島では焼き肉よりシーフードである。行きはレストラン送迎の自動車、帰りはテクテク徒歩。目的は行きに車中から見つけたセブンイレブン。

  

 ホテルのレストラン、基本的には朝昼晩いずれもビュッフェ形式のバイキングで朝が\3500くらい、昼は¥5500、夜は・・・・・怖くて見なかった。こんな食事を毎日続ける訳にはいかない。ということで日本代表団揃ってコンビニで明日の朝食の仕入れなのであった。

 


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2013年9月11日 Shilla Hotel Jeju Island 新羅ホテル/中文観光団地/済州島/韓国

09:00 某B国との根回し会議

12:00 ランチタイム



今日から三日間は学術会議の付録の食券でランチはOK

14:00-16:00 某C国との根回し会議
16:00-17:00 某D国との根回し会議
17:00-18:30 某E国との根回し会議

 この日から国際(学術)学会の方が始まっているが、根回し会議がこのスケジュールでは事実上、そちらを聞きに行く暇はない。会議の相手も、主には学術会議の方に講演に来ており、その合間を縫ってのスケジュールである。そんなバタバタとせわしい中、一応各国代表との顔合わせと事前説明はひととおり大過無く終了した。ソーラーカーレースで云えば車検無事終了といったところである。



椰子の木の向こうに漢拏山が見えるはずなのだが・・・・・

18:30 学術会議主催のバンケット

 Wellcome Party (代金は参加費に含まれている訳だが)である。これもソーラーカーレースに例えれば前夜祭みたいなものだ。車検の後に、本戦に向けた最終調整するのと同じく、個別会議での各国代表の反応を計算に入れて、最終プレゼン資料を調整しなければならないので、酔っぱらう訳にはいかない。



20:30 作業時間

 資料最終調整の方は、事前にゴタゴタした分、ケースバイケースに対応した様々なヴァージョンが出来ているので、比較的楽に済んだ。仕上げは完璧である。

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2013年09月12日 Shilla Hotel Jeju Island 新羅ホテル/中文観光団地/済州島/韓国

06:20 起床

 日常のリズムを崩さぬよう、いつもと同じ時刻に起床。経度はかなり西なので日照は遅く、6時頃はまだ真っ暗だ。昨夜の時点で「準備完了」のつもりである。

 

 少し余裕も出てきたので、明るくなってきた頃合いを見計らってプライベートビーチまで降りてみた。火山島故、済州島の海岸線のほとんどは岩場。ここは数少ない砂浜であり、観光団地に選ばれた理由の一つでもあるのだろう。



済州島の海女さん

09:00 標準化本会議 パート1開始

 ソーラーカで云えば第一ヒート出走前点検完了で、いよいよグリッドへの押し出しである。最も気分が高揚する時だ。ピットメンバーとしては、ここまで来れば、仕事は終わったも同然。
 本会議パート1は日本提案の説明。ここで各国了承を取り付ければ以後の仕事を日本ペースで進めることが出来る、という重要な場面だが準備万端、少しプレゼンしなければならないが、私の担当は5ページほどである。ドライバー交代の補助みたいなもので、後は、会議のメモ取りに徹していればよいだろう。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そんなに、甘く事が進まないのもソーラーカーレースと同じだった。事前の根回し会議を「都合が合わない」と避けていた某国代表から本会議冒頭で爆弾発言。結局本会議は事前の議事次第通りには全く進まず、プレゼンの順番も何もかもがゴチャゴチャになってしまった。

 第一ヒート開始早々にマキビシ踏んでパンク+スピンしてグラベルに突っ込んだみたいなものである。



 一人が別の会議に出ている専門メンバーを呼び出しに行っている隙に、別の人が話をそらせるマヤカシ説明で時間を稼ぎ、その間にこちらは説明資料を再構成。まさに第一ヒート中に、最出走を目指して壊れたソーラーカーの応急修理をしているようなものである。実際の所、メンバーはすべてお互いが競合会社である。呉越同舟、最初は様子見状態だが、かれこれ2年ほど一緒に仕事しているので、それなりにチームワークは取れてきたかなーとは思っていたが、実地に試されたのはこれが最初である。この方々、ソーラーカーチームに入っても立派にやっていけます。きっと。

 そしてまあ、なんとか再出走には間に合い、爆弾発言当人を一応は説き伏せることができた。ヨタヨタであるが、まあなんとか再出走できた、とまあ、そんなところだ。

12:00 ランチタイム



昨日は余裕乏しく、写真を取り損ねた
13:00 小休止&作戦タイム

15:00 標準化本会議 パート2

 午後の部の議事は日本以外の国からの仮提案の説明と議論。専門的には色々とあったが、まあまあ想定の範囲内。なんとかかんとか、第1ヒートはチェッカーを受けれたといったところだ。

17:00 小休止&作業タイム

 部屋に戻ると、テーブルの上にLANケーブルが頭を出している。お昼にはまだ無かったぞ。

 ケーブルを辿ってみると・・・・・・・

 こういう状態。

 こりゃLANコネクタが見つかる訳がなかった、というか、このコネクタ、最初から合ったのか疑問。今となってはこれ以前の状態は不明。

19:00 標準化会議主催のディナー

 昨晩と同じメニューだが、違うのは赤ワインではなくマッコリ飲み放題だったこと。しかし、明朝までに会議録(案)を仕上げねばならないので飲んでる場合ではない。レース中に応急修理した箇所を、翌日の第二ヒートまでに修理し、タイヤ交換も済ませて、足回りを調整しておかねばならない。



21:00 作業時間

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2013年09月13日 Shilla Hotel Jeju Island 新羅ホテル/中文観光団地/済州島/韓国

09:00 標準化本会議 パート3

 昨日に行われたパート1、パート2で、議題はほぼ出尽くしたので、各々の議題について結論を全員で再確認し、会議録を確定する作業。拡大投影された会議録(案)を皆で見ながら英文添削である。英語でだめ出しと赤ペンが飛び交う中での作業、こちらは半分パニックである。約20分超過したが、会議録最終版が合意。拍手で大円団となった。16:00-18:00まで予備的に準備されていた本会議パート4は無し。第2ヒートは無事に走り切れたといったところである。

 平行して学術会議の方ではポスターセッションが行われていたが、結局まったく参加できずじまい。



ホテルの部屋からの眺め。山側は海側の部屋より少しお安い。 左に見える
溶岩ドーム(塊状形火山)は、おそらく「山房山」(サンバンサン)。標高395m。


12:30 ランチタイム

 満員のビュッフェに並んでいたら、韓国代表団の方が「あっちのレストランでも同じチケットがつかえるよ」と教えてくださった。と、いうことで、この日の昼食はコリアン・レストラン。選んだのはメニュー写真で一番赤く無さそうな料理。今回の滞在で唯一の韓国風肉料理を頂いた。

13:20 学術会議 標準化動向セッション

 ようやく学術会議の方に参加である・・・・と云いたいところだが、学術会議のプログラムとして予定されていた各国の標準化動向を紹介するセッションである。



15:30 日本代表団 反省会 パート1

16:30 小休止

 部屋に戻って、カードキーを差し込むと・・・・どうも、挙動がおかしい。オートロックが壊れていて鍵が掛からなくなっているではないか。会議中はパソコン、資料、貴重品は持ち出しているから、問題はなかったものの、これでは外出もできないし安心して眠ることもできない。

 「鍵が閉まらない」と電話すると
 「部屋に入れなくなったのですか?」
 「だったら、こうやって電話できないだろう。鍵が掛からないんだ。」

こういう片言日本語のトンチンカンなやりとりがしばらく続き、ルームサービスが新しいカードキーを持ってきた。

 「カードキーの問題ではなくて、錠側の問題だと思うよ。」
 「解った。直ぐ修理するから」

ということで、このトラブルで小一時間。散歩がてらコンビニに買い出しに行こうと思っていたのだが計画が狂った。



ホテルの午後は生演奏が絶えることなく続くのだが、ゆっくり聞く余裕は全く無し

19:00 日本代表団 反省会 パート2

 日本代表団 ホテルロビー集合。これから、本当の反省会。初日とは別の済州風海鮮レストラン。けっこうアルコールも頂いたが、妙に覚醒していて頭は全く酔わない。でも疲労蓄積か、身体は酔っているのか、帰りの送迎車を途中下車したコンビニでは足がヘニャヘニャだった。学術会議もこの日で終わるため、昼食券があるのは今日まで、明日は一日サバイバルしなければならない。



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セクション3 天帝淵瀑布   /   Section 3:Cheonjeyeon Falls

2013年09月14日 08:00 Shilla Hotel Jeju Island 新羅ホテル/中文観光団地/済州島/韓国

 地図を片手にホテルを徒歩で出発。せっかくなのでチェックアウトまでの時間を付近の散策で過ごすことにした。目玉は「天帝淵瀑布」。7人の仙女が舞い降りて水浴した、と伝えられる滝である。天気予報は、唯一のオフ日だというのに「雨」。



最初の目印は毎晩のようにお世話になったコンビニ。隣にはドーナツ屋もある



テディ・ベア・ミュージアム。新羅ホテルの中にもテディ・ベアの専門店があった。



この奇抜な外観の建物は「Beleave or Not Museum」  こちらは正面画像



チョコレートランド・・・・・だが、閉鎖中。中身は別のところに引っ越した様子。



済州島は、韓国では最も南に位置し温暖なのは確かだが、緯度的には北九州と同じ
である。椰子の木は自生している訳ではなく、南国情緒を醸し出すための演出だ。



観光団地全体は、いかにもバブル的で、建築途中で放棄されたらしき建物も散見される。



途中にあった案内図 拡大

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 途中、雨は振ったり止んだり。少々濡れたがホテルを出てから20分ほどで「天帝淵瀑布」入り口に到着。この入り口は、徒歩来園者のための、いわば公園の裏口で、自動車用の表玄関はもっと上流にある。タクシーで10分、歩いていくのはちょっと・・・・・・と教えてくれた人もいたが、それは表玄関までの(湾曲した道を通った)距離だったようだ。

 

ここでもトルハルバン(岩爺さん=済州島固有の道祖神)がお出迎え

 「天帝淵瀑布」一体は有料(と云っても¥250くらい)の公園になっている。玄武岩大地を水が削ってつくった滝と淵が三段に渡って海まで続いているらしいが、時間の都合で見れたのは二段目まで。断崖は玄武岩の柱状節理である。



渓谷の両岸を徒歩で往復できるアーチ橋「仙臨橋」。側面に
7人の仙女の巨大なレリーフ。過剰な演出が少々鼻につく。



7人の仙女の伝説を説明している(と思われる)レリーフ  拡大



「天帝楼」。 滝を眺めることが出来る楼閣のはずだが登れず。



噴水「五福泉」 亀(長寿)、豚(富裕)。龍(名誉)、鴛鴦(愛情)、鯉(子宝)を表す。
往路はまだ水が出ていなかったので、これは往路に撮影した画像



「天帝楼」脇にある撮影スポットから。遠景には漢拏山が見えるはずなのだが、残念ながら、
この時は雲に隠れていた。奥の平らな橋の下が第一の滝、手前の見えているのが第二の滝



第二の滝、拡大



仙臨橋」から海までは1km少し。第三の滝がどこかに有るはずだが隠れて見えない。



案内図の写真。第一の滝が滝らしくなるのはよほど水量が多いときだけらしい



「仙臨橋」を見上げながら・・・・・・・・・

 

遊歩道を下っていく。目指すは滝の袂



第一の滝に到着。この池が「天帝淵瀑布」



 証拠写真。先の写真でカメラを構えている異国の若い女性に撮って頂いた。
ところで、何処に滝が??? 先の写真で木に隠れているあたりからチョロ
チョロと落ちてはいたが、それでは第二の滝の豊富な水量は説明できない。
実はこの池がそもそも湧き水で出来ているらしい。

 

さらに遊歩道を進む。画像は古い時代の遊歩道(立ち入り禁止)



第二の滝、この流れには「オオウナギ」が住み着いているとのこと。



公園の中には済州四.三事件被害者の慰霊碑があった。



済州四.三 中文面犠牲者慰霊碑

 

 済州四・三事件とは、朝鮮戦争前、1948-1954年にかけて、米軍と韓国軍(当時は南朝鮮国防警備隊)により、共産主義者ないしは共産主義者を匿ったと疑われた島民に対して行われた虐殺事件で、全島民の1/5にあたる6万人もの人の命が奪われた痛ましい事件である。韓国政府は長らく責任を認めず、大統領が慰霊祭に参列したのも2006年になってからである。この中文地区の慰霊碑の建立が2008年春と遅いのも、そういった背景によるものと想像する。詳しくはWikipediaを。

 中世以降、済州島は、朝鮮半島に成立した王朝に従う属国という立場の半独立国であった。誤解を恐れずに云えば、倭の国と琉球の関係に近い。その歴史が近代まで引きずられているのも同様だ。

 日本人の私が云うのも何だが、慰霊碑に手を合わせていたのは私一人であった。(おそらくは韓国本土=朝鮮半島からの観光客であろう)他の人たちは皆、目もくれずに通り過ぎていた。想像が何処まで及んでいるか自信はないが、問題はかなり根深いのだろう。



対岸には第三の滝に続くと思われる遊歩道が見えていたが、そろそろホテルに戻らなければならない。



お別れに「仙臨橋」の欄干の隙間から狙った第一の滝のクローズアップ



さらに第二の滝のクローズアップ



ホテルに着くと、南側(海側)はご覧のように良い天気。このトロピカルなシーンも見納め

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セクション4 漢拏山   /   Section 4:Halla-san

10:20 帰国準備

 部屋に戻り、荷物の最終確認と小休止。フライトは19:30。

11:00 チェックアウト

 ぎりぎりまで粘ってチェックアウト。外に出ると漢拏山が顔を出していた。


 初日のホテル到着時には全く見えず。初日夕刻に少しだけ顔を出したのがこちらの半分霞んだ画像。今回は雲を纏いながらも、ハッキリと山頂の形が解る。



ボーイさんが空港行きバスに誘導してくれるのを
振り切って隣のホテルまで歩き、山頂部を撮影した。

11:30 空港行きバス

 途中から雨が激しくなった。島の北側と南側では天気も気候も全く違うらしい。



空港行きバスから漢拏山



北に行くほど、山頂が隠れてきた。

12:30 Jeju International Airport / Jeju island / Korea  済州国際空港/済州島/韓国



雨脚は次第に激しくなり、空港のある済州市街に入った頃にはご覧の状態

 済州空港に到着。外は激しい雨。フライトは19:30なので、17:30頃までに確実に空港に戻って来れるのなら多少の観光は可能だが、この天候である上に、荷物を抱えており、さらに気力・体力減退中ということで冒険するのは避けた。空港ビルにあった済州島郷土料理の店でゆっくり食事。その後はPCを取り出して、まったり時間を潰すことにした。バッテリーは8時間分ある

15:30

 何気なく外を眺めると、いつのまにか雨は上がり 眼前に黒々とした山が聳えていた。ようやく見ることができた漢拏山の全貌である。



雲が高く上がり、姿を表した漢拏山全貌。

 山の表情は刻々と変わり、飽きることがない。本ページ冒頭の韓国旗と漢拏山の画像もこの時の撮影である。

エピローグ 雲の衣   /   Epilogue:Clothing of the Cloud




 さらに夕闇が迫り、搭乗時刻間近になって、漢拏山はまた別の表情になった。彼は、標高500-1000m付近に横に伸びる雲を纏い、彼は己の高さを誇示するような威風で誇らしげに手を振っていた。

안녕, 다시 만날 때까지 한라산



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三文楽士の休日

Some Days Spent in a Volcanic Island

火山島滞在記

公開  2013.09.17.
改訂  2013.09.18.
Copyright Satoshi Maeda@Solar Car Archaeolgy Research Institute
太陽能車考古学研究所
2006.01.01