Solar Car Archaeorogy Research Institute
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ソーラーカーの歴史
(太陽に魅入られた人達の物語)
コーダ

Introduction for the History of the Solar Powered Vehicles

(1)書きかけの後書き
(2)謝辞


■■■ 書きかけの後書き ■■■

 科学者が小説を書く意味を問われ、    「研究開発の場には、新たな発見の喜びや、失敗した時のくやしさなど感情の動きがあるはずだ。しかし研究成果を論文にまとめる際にはそういった心の動きは全て切り捨てられ、客観的事実だけが記述される。そこに生じる欲求不満を解消したくなるのだ。」と答えたのは、御自身も小説を発表しておられる精神科医の香山リカ女史であった。*1)

 ソーラーカーの先人方の記録を探し求め、断片をつなぎ合わせている中で、レース結果の無機的な順位表の裏にある多くのドラマを知った。当初は「総説」的にまとめたいと考えて始めた作業であったが、書き進めるにつれ、単なるイベント結果のリンク集ではなく、太陽エネルギーで走ることに魅入られた人達の感情の動きを綴ってみたいと思うようになった。もとより文系の才など無く拙い文章だが、拙文を通して、読者氏が先輩ソーラーレーサー方の気持ちに少しでも近づくことができれば幸いである。

*1) 朝日新聞, 2006年4月頃


 4年ごとのオリンピックのプレイベントとして開催国でソーラーカーイベントを行うことを提案したデルフィ宣言とは裏腹に、ここ数年来、少なくとも日本のソーラーカー競技人口が減少しつつあるのは間違いないだろう。ソーラーカーを取り上げている教育機関への、自治体や企業からの補助は目に見えて減っている。国内のソーラーカーイベントの数もずいぶんと少なくなってしまった。

 過去に開催されたソーラーカーイベントに際しての主催者の言葉を読み返してみれば、求められていたのは勝ち負けよる技術の向上だけではなく、レース競技の形を借りたメッセージの発信であったということを思い起こすことができるだろう。もちろん、競い合うことによって技術は向上するし、競走のないところに技術の進歩はない。しかしながら競い合うことの目的を忘れ、勝負だけに執着してしまった時、あれほど鮮やかだったメッセージは色褪せ、失われてしまう。

 ソーラーカーイベントが開催されるようになった1990年前後に比べれば、今日(2007年現在)街中で太陽光発電システムを屋根に乗せた民間住宅をみることは珍しくなくなった。ソーラーシステム売り込みの電話もよくかかってくる。30年前は人工衛星にしか搭載することができない最先端技術は既にコモディティだ。もうメッセージは必要ないのだろうか?

 180cm×500cm、この広さを一人が道路上を移動するために占有することが許される面積であると仮定しよう。いまさら説明するまでもなく、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料は、遠い昔に地球が太陽から受けたエネルギーを貯蓄したおいてくれた物だ。私たちは、日々、過去に貯蓄された太陽エネルギーを食いつぶして生活している。少なくとも、180cm×500cmの面積で太陽光を受け止めて得られるエネルギーだけを使って走ることができれば、道路上を移動する、という目的において、貯蓄を目減りさせることはしなくて済む。

 WSC優勝車の平均走行速度は時速100kmを超えてしまった。その数字だけが一人歩きすれば、ソーラーカーは既に実用レベルに達しているかのような誤解を生むだろう。しかし、ソーラーカーは単独で走っているのではない。時速100kmでステュアートハイウエイを走るソーラーカーの前には先導車が走り、後ろには機材や、場合によっては代車までを積み込んだ大型トレーラーを含むコンボイが連なって、ようやくソーラーカーはその速度で走れるのである。
 一方で、スーツケースに分解したソーラーカーを詰め込んで運搬し、必要最低限の人数でWSCに挑戦する人達もまた健在である。鈴鹿や大潟をウオッチしている方であれば、毎回健闘している数人の核家族だけで構成されているチームがあること御存じだろう。「最初のソーラーカーは?」項に記したとおり、真のソーラーカー発明者はまだ現れていない。どちらが目指すべき姿に近いと考えるかは読者氏の自由である。

 駄文はここまで

 先にお断りしたとおり、本サイトは未完の状態で公開されております。浅学貧聞につき、錯誤、勘違いなど多々あろうかと思いますが、遠慮無く御指摘、御指導の程、お願い致します。また古いイベントに関する資料、記事などお持ちでしたら、是非とも御紹介頂きたく重ねてお願い申し上げます。

前田郷司@太陽能車考古学研究所


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■■■    謝辞     ■■■

 本サイトを公開するにあたり、
   当時の文献資料類や写真を残してくれたチーム・サンレイクのメンバーおよび先輩諸氏に、
 貴重な資料やお話をお聞かせいただきました、
   シバタファミリー・ソーラーカーチームの柴田茂壽様、太田龍男様、太田有彦様、
   立命館大学 我楽多連の皆様、
   HAMA零 山脇一様、
   パンダサン 細川信明様、冨高郎様
   ソーラージャパン 江口倫郎様、
   立命館大学理工学部 高倉秀行様、
   堺市立工業高等学校 山田喜夫様、吉田充男様
   株式会社テクニチューン(HAMA零、WSC1987メンバー) 冨田辰夫様
   芦屋大学 盛谷享様
   ISFジャパン 岩田孝弘様
   北海道自動車短期大学 山崎信行様
   三重県立上野工業高等学校 奥守孝様
   亥野隆司様
   東京大学先端科学技術研究センター 内田聡様
   東京電機大学 藤中正治様
   柏会 関徹也様、福北博史様
   オリンパスRS 山本武様
   H・A・Tレーシングチーム 村山卓郎様
   チーム・ジャンクヤード 小森裕介様
   太陽光発電技術研究組合理事長 桑野幸徳様
   オーロラ・ヴィークル・アソシエイション (故)デヴィッド・フューチェク様、

他、励ましをいただきました、たくさんの皆様に厚く感謝いたします。

 スターティンググリッドまでたどり着くことができたソーラーカーには、みな平等に太陽光が降り注いでいる。

Let's Enjoy Solar Racing.

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TOYOTA RaRa II radio controll model 琵琶湖岸にて


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Copyright Satoshi Maeda@Solar Car Archaeolgy Research Institute
太陽能車考古学研究所 2006.01.01